ノート:第2次吉田内閣
臨時代理・事務取扱の記録について
[編集]今般、次のとおり修正を行いました。
- 組閣当初から外務大臣だけは首相が兼務していたかのような表記だったのを、10月19日までは他の各省大臣と同様臨時代理であり、10月19日以降兼務となった、という内容に修正。
- 地方財政委員会委員長について、組閣当初から首相が事務取扱をしていたかのような表記だったのを、10月19日までは空席であった、という内容に修正。
外務大臣
[編集]1.については、昭和23年10月15日付け官報号外第14号の官庁事項欄に次のようにあります。
- ⦿主任の各國務大臣臨時代理 主任の各國務大臣が今十五日欠員となつたので、内閣法第十條によつて、内閣総理大臣吉田茂が、臨時に、主任の各國務大臣の職務を行うこととした。
次いで、同月19日付け官報号外第16号の官庁事項欄です。
- ⦿外務大臣の職 今十九日内閣総理大臣吉田茂は、行政官廳法第二條但書の規定により、外務大臣の職に自ら当ることとなつた。
15日の各省大臣臨時代理発令において「外務大臣を除く。」等々の文言もありませんし、19日の官報に「今十九日…自ら当ることとなつた。」とある以上は、この4日間は直接的な兼任でなく、他省大臣と同様、臨時代理であった、としなければなりません。これは、首相官邸ホームページでの表記でもそうなっています。[1]
地方財政委員会委員長
[編集]2.については、同年10月15日付け官報号外第14号の敘任及辞令欄に次のようにあります。
- 経済安定本部総務長官事務取扱を命ずる
- 物價廳長官事務取扱を命ずる
- 中央経済調査廳長官事務取扱を命ずる
- 賠償廳長官事務取扱を命ずる
- 行政管理廳長官事務取扱を命ずる(十月十五日総理廳)
次いで、同月19日付け官報号外第16号の敘任及辞令欄です。
- 國務大臣に任命する
- 地方財政委員会委員に任命する(以上十月十九日内閣)
- 経済安定本部総務長官事務取扱を免ずる
- 中央経済調査廳長官事務取扱を免ずる
- 物價廳長官事務取扱を免ずる
- 行政管理廳長官事務取扱を免ずる
- 賠償廳長官事務取扱を免ずる(十月十九日総理廳)
「地方財政委員会委員長事務取扱を命ずる(免ずる)」との辞令は全くありません。官報検索のテキスト画面はたまにOCR読込の欠落・誤読があるので、画像画面でも確認しました。確かにないのです。ここで注意が必要なのが、同じ「国務大臣から充当される委員長職」とは言え、地方財政委員会委員長の例と、現行の唯一の大臣委員長である国家公安委員会委員長の例とはかなり異なる面がある、ということです(以下少々乱暴ですが前者を「財政長」、後者を「公安長」と略記します。)。
公安長の場合は、警察法に「国務大臣をもつて充てる」と明示されているため、国務大臣に「任命」された人に対して、公安長に「命ずる」という「大臣任命/委員長命ずる」の2段階の辞令が出ます。しかし、財政長の場合は(昭和25年に全く同名の後継委員会が新規立法で設置されているので混同しやすいのですがあくまで本件の昭和23年当時の(旧)地方財政委員会については)、まず国務大臣に「任命」された人がいて、で地方財政委員会法で委員を複数「任命」することになっていて、そのうちの一人は各省大臣を兼ねない国務大臣とする、という規定になっていて、続けて、国務大臣たる委員を委員長に充てる、という「大臣任命/委員任命/委員長充てる」の3段階規定になっています。
上掲の辞令をよくご覧ください。岩本氏は「地方財政委員会委員に任命する」ですね。「委員長」でなく「委員」だし、「命ずる」でなく「任命」。「国家公安委員会委員長を命ずる」と表記される公安長とは明らかに違いますね。また、この(旧)地方財政委員会はそもそも「内閣総理大臣の管理のもとに、臨時に、地方財政委員会を置く。」という時限的なものとされていて、独自の規則はおろか告示すら制定することが1回もなかった(計画を立案して総理に提出するだけだった)ため、そもそも国務大臣による署名及び官報公布を要する文書がなかったので、「地方財政委員会委員長事務取扱」のような代理職名を国務大臣用に用意する必要もなかったわけなんです。委員長が空席の場合に議事を行う必要があるときは他の委員が代理すれば済む話ですし(国家公安委員会も規則制定などは他の国務大臣が「事務代理」の署名をしますが、議事の進行は委員の一人が「委員長代理」として執行しますね。署名には国務大臣格が欠かせないが、通常の議事には必ずしも国務大臣は必要ない。)。
というか、もっと簡単に言うと、内閣総理大臣や他の国務大臣のような「任命」レベルの職の人物が、一段階下の各省大臣・長官のような「任命不要」の「命ずる」レベルの職に空き・不在が出来たときに「何々代理を命ずる」のような形で一時的に兼務することには障壁はありませんが、「任命」レベルの職に空きや一時不在が出来たからと言っていきなりその任命レベルの話をすっ飛ばして一段下の「命ずるレベル」に直に踏み込んで「委員長代理を命ずる」という発令をすることはできないんですね(越権になる。)。地方財政委員会の委員(委員長含む。)にはそのように「任命」という垣根があっため、総理がこれを兼ねることはできなかった、ということなのです。だから官報にも財政長の代理等についての言及がないのです。
ということで、首相官邸ホームページ[2]における「地方財政委員会委員長」の左に冠された「▲」は、官報の辞令及び地方財政委員会法(昭和22年法律第155号。これに対する累次の改正法を含む。)を見る限り、また、財政長が「委員長としては命ずるレベルだとしてもその前に委員として任命レベルの垣根を持っている」という点から見ても、これを総理が「事務取扱していた」とするのは明らかに同HP作成担当者の錯誤と言わざるを得ず、「地方財政委員会委員長及びその事務取扱・事務代理と称する者」は10月19日まで存在しなかった、と判断せざるを得ないため、そのような表記に改めました。--無言雀師 2008年6月11日 (水) 04:31 (UTC)
ちなみに、岩本氏は衆議院副議長に当選したため、翌昭和24年2月10日に国務大臣を辞しており、当然に地方財政委員会委員(さらにはその委員長)の地位も喪失していますが、その6日後の2月16日の新内閣発足まで、後任の委員(にして委員長)が任命されることはありませんでした(また空席になったわけです。)。ただ、昭和23年10月26日に地方財政政務次官に任命された寺尾豊氏が同内閣喪失の昭和24年2月16日まで在任されていたので、内閣始期の委員長空席時(10月15日から19日まで)は政務の代理者はいなかったけど、終期の空席時(2月10日から16日まで)の政務の代理者はいた、ということになります。無論、議事の代理者は他の委員の誰か、です。--無言雀師 2008年6月11日 (水) 05:15 (UTC)