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ノート:穀物法

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記事の復活

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削除された「資本家は、最終的に地主に勝利し、イギリスには安価な穀物が流入した。比較優位となったイギリス軽工業は世界を席巻した。」を、元に戻したいと思うのですが、文面のどこかに問題はあるでしょうか。 Nikka 2005年11月21日 (月) 03:58 (UTC)[返信]

まず穀物法廃止をめぐる論争が地主貴族層と産業資本家層の争いに単純化されてしまっています。反穀物法同盟は確かに自由主義者と産業資本家が中心となって結成されたものですが、同時期に労働者階級によって展開されていたチャーチスト運動の影響も無視できません。人民憲章に穀物法廃止は含まれていませんが、労働者階級一般の利益を主張するものとしてチャーティストたちも地主たちの既得権益を激しく攻撃していました。1848年という革命の年に向かって全ヨーロッパ的に旧秩序に対する批判の波が高まりつつある中、激しさを増す反穀物法同盟とチャーチスト運動に対して、地主貴族は勝ちを譲り沈静化を図ったというのが、既存研究の穀物法廃止に対する基本的な理解です。従って「資本家は、最終的に地主に勝利し」というのは正確ではありません。また資本家といっても産業資本家以外にも商業資本家や金融資本家などがあり、単純に資本家と地主という対比は大雑把過ぎます。特にイギリスにおける金融資本家はこの頃には地主貴族との融合を進めており、産業資本と地主貴族(農業資本ないし土地資本という見方もできます)であれば明らかに地主貴族寄りの立場にありました。
次に「イギリス軽工業は世界を席巻した」についてですが、穀物法廃止はイギリスにおける産業革命が一段落した後の事であり、イギリス軽工業が世界を席巻したとすれば、それは穀物法廃止以前に、既に席捲していました。穀物法廃止以後はむしろ、西ヨーロッパにおけるイギリス繊維業のシェアは低下を始めていたとの事です。そもそも穀物法の廃止をイギリス海外市場の拡大に関連付けた研究はあまり無いように思います。ですので穀物法廃止によってイギリス製品が世界を席巻したとは言えないと考えます。
こんな感じです。一応、前半はブリッグズ『イングランド社会史』(筑摩書房、2004)、後半はケイン=ホプキンズ『ジェントルマン資本主義の帝国』(名古屋大学出版会、1997)を中心にあたってみました。ページなど細かい出典は要りますでしょうか。 コータ 2005年11月21日 (月) 13:51 (UTC)[返信]


では、文面を変えて

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出典については結構です。

文面を変えてみました。

「産業資本家と利害が一致した労働者階級は、地主貴族から譲歩を引き出し穀物法を撤廃した。イギリスには安価な穀物が流入し、イギリス軽工業は比較優位となった。」

比較優位になったことを伝えて、この項目に経済学的側面を付加したいので、文面に錯誤があれば御協力ください。

デヴィッド・リカードが穀物法や航海条例の撤廃を「比較生産費説」を用いて主張していますから、この事を書くのも良いかもしれません。

参考までに平成4年版通商白書の一文 http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/H04/00-02-08.html

Nikka 2005年11月22日 (火) 07:25 (UTC)[返信]

その前に質問をさせて下さい。穀物法廃止によりイギリス製品は比較優位となり競争力が高まった、と論じている研究はあるのでしょうか。あるとすれば、その研究はいつ頃発表されたもので、現在はどのような評価をうけているのでしょうか。リカードが主張したとはいっても、彼は自由貿易の実現を見る事無く亡くなっている訳で、本当に比較優位になったのかどうか、彼の主張からはわかりません。労働者の賃金が下がれば価格もある程度は下げる事ができるというのは特に論証する必要もないとは思いますが、それだけでは比較優位とは言えませんよね。労働資源の再分配が行われ、製造業の労働人口が人口の自然増に比較して顕著に上昇している事とその結果生産量が増加している事を実証する必要があるのではないでしょうか。まずその事を実証するなり、実証している文献を提示するなりする必要があります。リンク先の通商白書にも「穀物法廃止により比較優位となった」とは書かれておりません。また、そもそもリカードの論自体が物事を単純化し過ぎている、という問題もあります。穀物法廃止運動がリカードの論に基づいて行われたという点については記事に盛り込むのも有意義かと思いますが、穀物法廃止の評価についてまでリカードの説に基づいて書くのは、いかがなものでしょうか。経済学的側面を付加するのであれば、現在の研究ではどう評価しているのかを盛り込んだ方が良いのではないでしょうか。 コータ 2005年11月22日 (火) 14:07 (UTC)[返信]
穀物法廃止が自由貿易体制確立の要であったことは、一般的な評価であると思います。この後のイギリスが穀物輸入と工業製品輸出へ深化していったのも正しいと思います。19世紀後半におけるイギリス工業の活況(あるいは衰退の回避)に、穀物法廃止による農業労働力解放や賃金上昇圧力の低下が影響していたと私は考えています。
自由貿易体制が出来た後に、すべての産業が比較優位性のスペクトル上に並ぶはずですが、その中で農業が比較劣位なほうに存在したことは論じるまでも無いでしょう。そうすれば、裏返しで工業が比較優位になると思いますがいかがでしょうか。
ちなみに調べている過程で工業発展の内容は、海運業と造船業の興隆ではないかと思いました。以下が参考資料です。コータさんがお持ちの資料の中に参考になりそうなものがありましたら是非御教授ください。
19 世紀イギリスの資本輸出*<大蔵省財政金融研究所「フィナンシャル・レビュー」March -1987 >。http://www.mof.go.jp/f-review/r04/r_04_051_070.pdf(3ページ目に国際収支表が掲載されています)
Nikka 2005年11月23日 (水) 06:37 (UTC)[返信]


Wikipedia:ウィキペディアは何でないか#ウィキペディアは演説場所ではありませんにあります様に、Wikipediaは独自の調査結果を発表する場所ではありません。したがって投稿内容は然るべき審査を経て一定のコンセンサスが形成された論文・文献に立脚している事を明示する、あるいは少なくとも明示可能である必要があります。しかるに穀物法廃止後の自由貿易体制をリカードの比較生産費説から理解する見解は一般的な既存研究に立脚したものでしょうか。リカードの理論が今日の自由貿易の根底にあるものであるという事は理解しておりますが、基本的に彼の理論は二国間のものであり、多角的貿易体制を説明する為に最適化されたものではないと思います。川北稔「環大西洋革命の時代」『講座岩波 世界歴史17』(岩波書店、1997年)などをご一読頂ければ、現在の西洋近代史における一般的な考え方がお解り頂けるかと思います。と、言いますか、むしろ近代史を論じる際に、上記論文内で言及されているシステム論(それに対する賛否は別として)を知らずに論じようとするのならば、そもそもお話にならないかと思います。大学の図書館ならまず間違いなく開架にあるでしょうし、公立の図書館でもおそらく置いているかと思います。今後の有意義な議論の為にも、是非、ご一読下さい。通商白書などの政府刊行物も結構ですが、基本的に専門の研究者が最新の研究結果を掲載している訳ではありませんので、こういった場合にはまだ文科省の科研費関連報告書の方が適しているかと。一、二時間程で読み終わる論文ですので、ご検討下さい。その上で比較優位を使いたいと仰るのでしたら、私としては反対する立場にはありません。まあ結論が「比較優位になった」じゃ、あんまりなので、「比較生産費説に基づく国際分業体制」で「低開発国の経済的従属が確固たるものになった」とか、「今日の南北問題に繋がる」とか、それらしい纏め方にした方がよいかとは思いますが。 コータ 2005年11月23日 (水) 16:14 (UTC)[返信]
確かに・・・人類共通の知識には程遠いものです。申し訳ないです。つい持論が出るのは私の悪い癖です。比較生産費説との関連でリンクをつなげたいというのが本音でした。リカードがこの理論を基に、穀物法を批判していたということは事実ですから、そういう形でこの項目の中に記述したいと思います。批判への評価なども含めて客観的に記述したいと思いますが、コータさんはリカードについて詳しい知識や資料をお持ちでしょうか。Nikka 2005年11月24日 (木) 03:13 (UTC)[返信]
残念ながら、古典経済学に限らず、経済学に関する知識は通り一遍程度です。穀物法廃止運動ならともかく、リカード関連となりますと……原典にあたるのが一番の様な気がします。さもなければ、シュンペーターあたりからでしょうか。私は未読ですが。いずれにせよ、少し古い話になるのは否めないかと。統計関連ならば、Census of England and Walesとか、マクミランの歴史統計が定番かと思います。前者は図書館でも取り寄せになると思いますが、後者ならまあ普通に置いているのではないでしょうか。   コータ 2005年11月25日 (金) 16:06 (UTC)[返信]