ノート:種子
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被子植物の胚乳について
[編集]>裸子植物の胚乳は1倍体の雌性配偶体自体に由来し、シダ植物の前葉体と相同の器官で、被子植物の胚乳とは起源が異なる。
これはどうでしょう? 被子植物の胚乳は、確かに3倍体で、特殊ですが、その起源は極核です。極核は胚嚢の細胞そのもの、つまり前葉体ですから、胚乳も前葉体起源です。そこへ重複受精などと言う変なことをするようになっただけなのですから、起源が異なるという言い方は違いませんか? --Ks 2004年12月31日 (金) 03:18 (UTC)
- はたして「重複受精などという変なことをするようになっただけ」でしょうか。裸子植物の一次胚乳は雌性配偶体の遺伝情報のみで活動する組織であるのに対して、被子植物の二次胚乳が胚と同様に両親の遺伝情報に基づいて活動する組織であるという事はかなり重要な相違であるとみなせます。極端な言い方をしてしまうと、被子植物の二次胚乳は兄弟の発育を補助して最終的には死滅する「もう1つの胚」であるとすら言えるのではないでしょうか。それに対して裸子植物の一次胚乳は、子供の発育を補助して最終的には死滅する「配偶体そのもの」であり、正にシダの前葉体と相同です。
- さらに付け加えると、被子植物の胚嚢で雌性配偶体の栄養器官に由来し、前葉体本体と相同とされているのは反足細胞です。つまり、裸子植物の一次胚乳と相同な組織を種子植物で探すとすると、それは反足細胞に他ならないのです。
- さらに駄目押しで付け加えます。これは微小な胚嚢を拡大した模式図だけ見ているとイメージしにくいことですが、種子植物の極核を持った胚嚢は受精時にはまだ微小なサイズで、重複受精成立後に巨大な種子に発育します。つまり、種子の中の巨大な胚乳組織はそのほとんどが受精後に3倍体組織が同化蓄積したバイオマスなのです。これが何を意味しているかというと、配偶体本体(反足細胞)は小さなままなのに、2倍体の胚を補助する3倍体のもう1つの胚が胞子体から直接補給を受けて巨大化してしまっていることに他なりません。
- しかし、裸子植物の場合、受粉後時間をかけて雄性配偶体が発育する間に雌性配偶体も成熟サイズまで成長してしまいます。この大部分を占めるのが正に1倍体の一次胚乳であり、そこに造卵器が埋もれています。つまり、裸子植物の一時胚乳は受精が起きたときには既にサイズとしてはほぼ完成の域に達しているわけです。このことは、胞子体に供給を受ける形で配偶体本体が多量のバイオマスを同化蓄積し、その後で受精が起きて胚が誕生していることを意味します。この点でも受精時に存在する巨大な雌性配偶体組織が受精で誕生した胚の成長を支援する、シダ植物の前葉体の機能と同様のシステムを見ることができます。裸子植物の胚の育ち方も受精卵から誕生した多数のひも状の胚の原基が一斉に一次胚乳に陥入し、その中の1本が生き残って胚に成長するというように被子植物とかなり異質な発生経過をたどります。
- ただ、被子植物で二次胚乳を退化させるものの中にはアカザ科やコショウ科の種子のように胞子体の組織に由来する周乳を発達させるものもありますので、胚嚢にすら由来しない全く異質な胚乳も存在することは付け加えたほうがいいかもしれませんね。
- --ウミユスリカ 2004年12月31日 (金) 08:10 (UTC)
- 最後の点はまた別の問題ですが、それ以外の論点は、特に発達程度の話は、私には、すべて程度の問題と思えます。種子植物は配偶子を小さくする方向に進化が進んでいますから、裸子植物より被子植物の方が胚のうが小さくても、何等不思議はありません。極核は胚のうの一部ですから、前葉体の一部と見る事に、問題はないように思われます。ただ、確かに、胚乳を前葉体に相当とみなすのは、問題もあるでしょう。3倍体ですし、新たなものと考えるのはアリかも知れませんが、それは考え方としても、 はっきりと”起源が異なる”と言い切るのは、どうかと思うのですよ。--Ks 2004年12月31日 (金) 08:27 (UTC)
- つまり、この議論は相対的なカテゴリー論ということになりますね。一次胚乳にしても二次胚乳にしても、内乳という点で胚嚢起源ではある。この点で起源は共通している。しかし、雌性配偶体という一個の植物体を見たときに、どの組織が発達して胚乳を形成するに至ったかは異なっている。この点では異なる起源であると言える。この問題を明確にして書き直すのが妥当だと言えるでしょうね。--ウミユスリカ 2004年12月31日 (金) 08:36 (UTC)
そんな感じなら、ほぼ同意です。ただ、その点を明確にして書き直すのは反対です。なぜなら、内容が複雑になり、分野外の人間には何のことか分からなくなる可能性が大きいからです。ここは、単に”起源が異なる”と断言するのではなく、単に”異なる”という程度で結んでおくのが無難ではないかと思います。--Ks 2004年12月31日 (金) 08:45 (UTC)
- あっ、書いちゃったんで、その点を考慮して直してみます。--ウミユスリカ 2004年12月31日 (金) 08:47 (UTC)
- 一応、「異質な面がある」という表現にしておきました。もっと突っ込んだ解説は「胚乳」の項目を立ててそこで詳述した方がよさそうですね。--ウミユスリカ 2004年12月31日 (金) 08:55 (UTC)
それが良いんじゃないでしょうか? 種子についてなら、まだ別件で書く事があると思うんですよ、たとえば休眠とか、発芽条件とか。それで、この項もそこそこの大きさですから、胚乳などは別項を立てる価値はありそうですね。そこいら見てると、雄しべ、めしべも一応別項立てるつもりみたいだし。全体まとめる話と、項を分けてくわしくやるのと、あって良いですよね。ついでですが、明けましておめでとうございます。--Ks 2005年1月1日 (土) 03:13 (UTC)
- 明けましておめでとうございます。実は胚乳だけじゃなくて、「種子散布」も種子から移動して独立項目を立てたほうがいいんじゃないかと考え始めています。生態学的にいろいろと書くべきことがありますし、どんどん突っ込んでいったら「種子」の記事としてのバランスが崩れてしまいますからね。--ウミユスリカ 2005年1月1日 (土) 03:39 (UTC)
- ぼちぼち種子散布、独立させますか? この記事はそのままで。--Ks 2005年6月29日 (水) 15:05 (UTC)