ノート:屋根の上のバイオリン弾き
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ネロによるユダヤ人の大虐殺
[編集]シャガールの絵について「昔ローマ皇帝ネロによるユダヤ人の大虐殺があった時、逃げまどう群衆の中で、ひとり屋根の上でバイオリンを弾く男がいたという故事」を描いたとされていて、ヤマハのサイトが出典としてあがっていますが、疑問に思ったので要出典をつけました。
- 検索しても英語のサイトにこの故事が見当たらない。シャガールの絵の有名なモチーフにそんな立派な故事があるのであれば、もっと書かれていてもいいはず。(なお、ローマ大火のときにネロがバイオリンを弾いていたという伝説ならあるようですが、ユダヤ人と関係しません)
- 本文にはユダヤ人の大虐殺となっているのに、脚注にあるのはキリスト教徒の虐殺の話である。ネロの時代にはユダヤ戦争が起きているので、ユダヤ人にとってはそちらの方が重要だったはずではないでしょうか。
- ネロの時代にはそもそもバイオリンが存在しない。バイオリンの先祖となった楽器すら存在しない
というわけで、ヤマハのサイトでなくてもうちょっと信頼できそうな出典をお願いします。 --Pekanpe(会話) 2016年6月13日 (月) 05:03 (UTC)
確かにご指摘の通り、この話は胡散臭いですね。私も検索してみて英語では全くヒットしないことを確認しました。フィドル(≒ヴァイオリン)という楽器がネロの時代にはまだ存在しないのもご指摘の通りです。気になったので、少し文献を探してみました。
- シャガールと「ヴァイオリン弾き」についての論文
- Mirjam Rajner, "Chagall's Fiddler," Ars Judaica, Volume 1, pp.117-132, 2005.
- まだ詳しく読んでいませんが、とりあえず全文検索をしてみました。rome/romaあるいはneroといった単語は本文中に見当たりません。
- ローマ大火の最中にネロがフィドルを弾いていたという伝説についての論文
- Mary Francis Gyles, "Nero Fiddled while Rome Burned," The Classical Journal, Vol. 42, No. 4, pp. 211-217, 1947.
- 斜め読みですが「フィドルという楽器は当時まだ存在しない。弾いていたとすればキタラだろうが、そもそもネロがローマ大火の最中に楽器を弾いていたかどうか不明」ということのようです。なお、この論文にはユダヤ人についての記述はありませんでした。
結局「ユダヤ人の大虐殺の際に屋根の上でフィドル(あるいはキタラ?)を弾いた男」の話は、どちらの文献にも全く出てきませんでした。信頼できる英文の出典が見つからない限り、この話は除去した方がよいと思います。--侵入者ウィリアム(会話) 2016年6月13日 (月) 12:37 (UTC) 一部修正 --侵入者ウィリアム(会話) 2016年6月13日 (月) 12:45 (UTC)
- その後も時折思い出して高次出典を探してみているのですが、「ユダヤ人の大虐殺の際に屋根の上でフィドル(またはキタラ?)を弾いた男の故事」や、「シャガールのヴァイオリン弾きの絵は、その故事にちなんだものである」というような話は、相変わらず英文では全く見つかりません。
- 出典の見つからないまま半年以上経過していますので、当該部分の記述をコメントアウトしました。--侵入者ウィリアム(会話) 2016年12月12日 (月) 14:02 (UTC)