ノート:印綬 (四柱推命)
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印綬の意義性能について簡単に紹介いたしましたが、実際の判断について一例を挙げます。
- 大正7年5月日本国内にて出生。
- 四柱(三柱)は年(戊午)月(丙辰)日(辛亥)。生時は不明です。現行戸籍法制は戦後のものであり確認する手段は残されておりません。
- 辛日が節入前の五月すなわち土用の辰月になりますから辛-戊の関係上印綬格が成立します。なお生まれた月は生まれた日の関係でその人格を決める重要な要素です。格局と称して看命の基本になります。また辰月には蔵干として前月からの移行に伴う乙,水局の一翼を担うものとしての癸が存在します。
- 生年は戊午年であり、辰月の戊土が透干しています。印綬格として何ら矛盾ありません。年の地支は午であり蔵干は丙丁の正官または偏官です。
- 年は本人の出身を司り、ここに偏官があるのはあまり生活が豊かではなく、苦労が多いことを表します。また体も弱く発声が苦手だったと言われています。偏官の持つ「権威果断激発急躁」の通り学校教育もそこそこに苦学力行され戦争での苦難をよそに若くして国政の場に登場されます。
- 偏官と印綬との「殺印双全」の通り精力的に活躍され国権の最高機関に身を置くこと数十年。印綬の精神充実・極端なまでの真面目さが国民の信頼を勝ちえました。
- 四柱推命では古来大運は十年を統管するとしています。男命陽年(戊)生まれですから運は順旋します。おおむね1歳から新しい運に交入します。
- 11歳(昭和4年)まで丁巳運、21歳(昭和14年)まで戊午運、31歳(昭和24年)まで己未運、41歳(昭和34年)まで庚申運、51歳(昭和44年)まで辛酉運、61歳(昭和54年)まで壬戌運、71歳(平成元年)まで癸亥運、81歳(平成11年)まで甲子運。
- 本命式の特徴は弱い辛金が辰の湿土に生を受けることと、年に午の偏官がある点です。殺印双全の典型で当然印綬を損なう財星(特に正財)を嫌います。また印綬がある以上偏印の追加も同様です。このため正財を抑える劫財が重要即ち用神となります。
- 若いうちに好運を迎えると最も政治的に活躍すべき60歳台に続かなくなり有利不利が分かれます。絶頂期の運は41歳までの庚申運です。このときに国務大臣を務めています。
- 国政の最高責任者も非常に早く務められましたが、大運の変化は晩年にやや残念な結果をもたらしています。
- なお家庭的には実子が男系相続せず、また婚外子を設けるなど偏官のそのままの姿です。しかし印綬に守られた偏官である以上財星がなければ価値があります。後継者も政治文化的に活躍していて、殺印双全は現在も息づいております。