ノート:ヴィリニュス
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- 過去の改名提案。「ビリニュス」から「ヴィリニュス」へ改名実施。--PRUSAKiN 2009年8月22日 (土) 10:36 (UTC)
Vilniusの発音表記
[編集]素朴な疑問で恐縮ですが、リトアニア語におけるVilniusの発音のIPA表記は[ˈvʲɪlʲnʲʊs]で間違っていないものと思います。またリトアニア語はロシア語などと比べ口蓋音化が弱い、というのもまあいいでしょう。とすると、[lʲ]を「ル」と転写するのなら[nʲ]も同様に「ヌ」と転写して「ヴィルヌス」と書くか、もしくはどちらも口蓋音化を反映させて「ヴィリニュス」と書くほうが整合性があるように思えるのですがどうなのでしょうか。実際、WikimediaのVilniusの発音では「ヴィルヌス」のようにも「ヴィリニュス」のようにも聞こえるのですが。--Ryota7906(会話) 2014年10月19日 (日) 04:35 (UTC)
- まず前提として、Ryota7906さんは原音に充実にしたがって日本語に転写すべき、とお考えのようですが、実際ロシア語やポーランド語、リトアニア語の転写は原音ではなく原語における表記にしたがって転写される場合がほとんどです。
- たとえば、ロシア語における о はアクセントがないときは「ア」、あるときは「オ」、と発音されることはよく知られていますが、日本語にはアクセントの有無にかかわらず「オ」と転写することが基本とされています。原音にしたがって転写を変える、というようなことがなされているわけではありません(ただし、表記の上では有声子音でも無声化する場合はそれを日本語転写にも反映させる、など、完全に原音表記どおりに転写するわけでもありません)。「Wikipedia:外来語表記法/ロシア語」にも「“ロシア語の標準的な発音”と“ロシア語の日本語への転写”とは必ずしも一致しないことに注意して下さい」とあります。ここまで書いたのは基本的にロシア語から日本語へ転写する場合についてですが、リトアニア語からの場合でもほぼ同じことが言えるのではないでしょうか。
- もしすべて原音どおりに転写しようとするなら、すべての単語でIPAにあたらなくてはならなくなりますし、さらに言えば、IPAはあくまで一般的な発音を示すとされるにとどまり、現実社会においては地方によって異なって発音されるのはもちろんのこと、厳密には個人によっても少しずつ発音が異なるため、転写は一部の音声学者にしかできない大変困難な作業となってしまうでしょう。そのような膨大な作業を避ける上でも、原語上の表記に従った転写の方が妥当性が高いと考える研究者は少なくありません。
- もちろん、論者によってはRyota7906さんがご指摘された論理にしたがって「ヴィリニュス」とする人もいるのかもしれません。ただ、現実的に考えて、「ヴィリニュス」と表記する人すべてがIPAにあたってあらゆる地名を厳密に日本語に転写しているとは考えにくいです。やはり、ソ連時代にロシア語「Вильнюс」から転写された「ヴィリニュス」を現在でも慣習として用い続けている人が多いのだと思います。2000年頃から現地の事情に詳しい東欧地域研究者を中心に「ヴィルニュス」という表記が(意識的に)使われるようになってきているのは、無意識的に慣習に従うことに甘んじないという地域研究者としての態度の表れであるのだと見ています。
- ちなみに、Ryota7906さんは「『ヴィリニュス』のようにも聞こえる」とおっしゃっておられますが、私には「ヴィルニュス」というのが一番近いように聞こえます。「ル」とするなら「ヌ」とすべき、とのことでしたが、[lʲ]が母音を伴っていないのに対して[nʲ]が母音を伴っているため聞こえ方も異なるのではないかな、と思います。つまり、[nʲ]と[lʲ]を同様に転写すべき、というよりも、[nʲʊ]に対して[lʲ]をどう転写すべきか、という問題であるようにも思えます。ここでは「どのように転写すべきか」ではなく、「どのように転写されているか」という点が問題になってきますので、これについてはこれ以上深く掘り下げて議論いたしませんが……。--H-JAM(会話) 2014年10月19日 (日) 07:59 (UTC)
- 横から失礼致します。Ryota7906さんは改めましてIPAの追加をありがとうございます。こちらにもいつか手を加えさせて頂こうと考えておりました故に。なお、en:Lithuanian_phonologyによりますと最後の"s"は厳密には歯音化した無声歯茎摩擦音([s̪])となる模様ですが、余りにも細かすぎる点である為現状のままで問題ないと判断致しました。リトアニア語話者一人一人によって発音にずれが生じてくるとなれば、なおの事この点に関して変更する必要性は薄くなりますね。
- そして本題の方となりますが、こちらも『ヴィ「ル」「ニュ」ス』で音を取りました。リトアニア語の発音を日本語の仮名に置き換える必要が出てきた際にはH-JAMさんが指摘された様に、基本的には口蓋化した子音の後に母音が続く場合は口蓋化を日本語表記に反映させ、そうでない場合は無視する、というスタンスを取らせて頂いております。但し、"ia"が出てくる場合は例外となります。具体的な語例としては"Kėdáiniai"([kʲeːˈd̪ä̂ˑɪ̯nʲɛɪ̯ˑ], ケダイ「ネ」イ)などが挙げられます。
- 最後に非常に月並な事となってしまいますが、現在日本語文化圏においてはリトアニア語の単語が扱われる機会が、(大学などにおいてさえも)相対的にまださほど多くない、という点は少なからず表記揺れの根本原因の一つにあるものかと思われます。取り留めの無い内容となってしまいましたが、これにて失礼致します。--Eryk Kij(会話) 2014年10月19日 (日) 18:28 (UTC)
- (追記)とは書きましたものの、実際には上に挙げたケダイネイの「ケ」の様に"ė"や"e"(無アクセント或いは短アクセントの場合)といった特定の母音自体によって引き起こされる口蓋化も仮名表記では無視してしまう場合が多々ございますね。対照的に、元々それ自体は口蓋化を起こさない母音"u", "o"を口蓋化させたもの("iu", "io")の方は仮名に反映する、という傾向があるものかと存じます。--Eryk Kij(会話) 2014年10月19日 (日) 19:05 (UTC)
- お二方の詳細なご説明によりリトアニア語に通じない私にも一定程度の理解を得ることができました。お二方ともに深く感謝いたします。どうもありがとうございました。--Ryota7906(会話) 2014年10月19日 (日) 21:10 (UTC)