ノート:ヒポクラテス
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古代ギリシアの医療レベルを推測する際の問題点
[編集]ヒポクラテス全集第二巻「人体の部位について」、第四六節に「医術はその全体がすでに見出されている」という一文がある。技術水準が低いにもかかわらず、病気から回復するのに運はいらないといっている。なぜそう思ったか理解できなくても時代への共感は必要かと思い、注意点をまとめる。古代文字ではなく、現代語訳で知識を深めるヒトを対象としたコメント。 ヒポクラテスの著作の現代語訳は保存の悪い写本に基づいている。したがって、ヒポクラテスの著作の成立年代も、歴史的考察に頼らざるをえない。 全集第三巻「内科疾患について」第三九~四三節、にチフスが五種類記載されている。チフスの語源はギリシア語なので、現代と共通する一面があるが、内容は一致しない。 次に、内容の正しさについて。解剖学用語は紀元前14世紀、古代エジプトのパピルスに用語集が残されている。全集第二巻「子供の自然性について」で鳥の受精卵を観察し、胎盤、へその緒類似の構造について述べ、子宮内の発育に関連付けている。症状として、閃輝性暗点、高所恐怖、不安発作なども知られている。臓器と病気の関連としては、全集第二巻「内科疾患について」では胆汁と黄疸、第二巻「神聖病について」に脳の疾患としての痙攣について述べている。無神論者と誤解されないように言葉を選びながら、「神聖」ではないと主張。
「流行病第五巻」第五〇節に、子供同士がふざけて平手打ちをしたあと、発熱し気分が悪くなり、しばらくして耳漏が出て、一時気分がよくなるが、その数日のうちに、錯乱、痙攣を併発し死亡という例が書いてある。 原文そのものがこの程度の内容。病気の解説を先に行う。重症な慢性副鼻腔炎が潜在し、外力をきっかけに髄膜炎を併発して死亡しとすると理解しやすい。注意点は、病歴が貧弱であること。「子供」だけでは生来健康かどうか分からない。発病前から、激しい頭痛、発熱、耳垂れ、風邪症状が先行していたと考えねばらないが、当時に病前の症状の認識がなかった。発熱も体温を測定しているわけではない。「膿」も現代の基準は成り立たないかもしれない。副鼻腔炎でなく小児白血病であっても良い。 言うまでも無いが、衛生状態がきわめて悪く、死亡率が高い。ただし、率こそ計算してはいないが、治療手技の選択や禁忌の考察などから、配慮を読み取れる。
このコメントの冒頭の医術の全体にもどる。 四体液説(粘液・血液・黄胆汁・黒胆汁)がヒポクラテスの病因論として有名。悪い体液が体内にとどまるのが病気である。体は自浄作用により悪い体液を流して浄化する。この自浄作用を促すのが医術。自浄作用が間に合わないと死ぬ。みたてを初期段階で行い、治療プランを立てる。食事・薬草、入浴その他の養生法が基礎。経過が悪く、悪い体液が腫れを起こしたら、切開する。一連の治療の中で、切開、瀉血、焼灼など外科的処置も必要に応じて加えるのであって、内科・外科の専門性はない無い。同時代にピュタゴラス派医師団は一切の切開を拒否して治療したと言う。(ヒポクラテスの誓いのコメント参照。)
以上
参考文献
[編集]「全集」
- 大槻真一郎 編著 (1997). 新訂版 ヒポクラテス全集(Corpus Hippocraticum)全3巻.
「パピルス」
- No authors listed (1893). “Archaeologia Anatomica. PDF available”. J Anat Physiol. 32: 775-778.
(蛇足:私の体験:1970年代ころ、化膿したニキビをいじっていたら「髄膜炎になるぞ」と医師から注意されたことがある。是非は別にして、抗生物質の多用で、若年死亡を減らした面がある。)
(蛇足2:全集の中から意外性のある例のみ抜粋した。他にも驚かされる部分は少なくない。全集で確認していただきたい。人の叡智に、古代と現代の違いはない。)
蛇足2の関連文献
[編集]- Frank Albert Burton (1920). “Prehistolic trephining Of The Frontal Sinus. PDF available”. California state journal of medicien: 321-324.
su_su 07/04/23 22:57
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