ノート:タニワタリノキ
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Nauclea orientalis との混同の原因に関する覚え書き
[編集]Ridsdale (1976: 186; 1978: 327) に、かつて Nauclea orientalis のレクトタイプとして実際にはタニワタリノキのものである Osbeck の標本が指定されてしまった事があるという旨の記述がある。Cephalanthus orientalis として紹介されているリンネの Syst. Nat., ed. 10. 2: 887 (1759) にも "Osb. it. 242" という引用があり、これが複数の日本語文献で両者が混同されていた原因であるかもしれない。--Eryk Kij(会話) 2022年2月21日 (月) 11:36 (UTC)
- 追記 長らく気になっていた中井 & 小泉 (1927) の情報を漸くNDLデジタルコレクションで確認する事ができましたが、509頁に以下の様な記述が存在します。
Linnæus の Cephalanthus orientalis 一名 Nauclea orientalis ノ標本ハ Osbeck ノ支那採品ニシテ倫敦ノ Linnaean Society ノ Linnaean Herbarium ニ花ヲ附クル一個ノ標本アリ。又瑞典國「ストツクフオルム」ノ Riksmuseet ニ花ヲ附クル枝三個ガ二枚ノ臺紙ニ分チテ貼リアリ。[中略] 其形状、大サ共ニ Salisbury ガ圖解セシモノニ同ジク、日本品ヨリモ葉ノ小サキ品ナリ。 — 中井, 猛之進、小泉, 源一『大日本樹木誌』(改訂版)成美堂書店、1927年、509頁。doi:10.11501/1224919 。
- やはり当時 Osbeck の標本(LINN 所蔵)が Nauclea orientalis のタイプと見做されていた事が、タニワタリノキをめぐる中井の考察に影響を及ぼしたと見て間違いないでしょう。Osbeck の標本の件や、後に改めて指定された N. orientalis(より正確には Cephalanthus orientalis)のレクトタイプ(選定基準標本)に関しては既に species:Nauclea orientalisに記しておいたのですが、S に関連標本の所蔵があるという話は初耳です。今後の分類情報の加筆はこうした Osbeck の標本を軸にしたものとなりそうです。なお、そもそも私がこの件に興味を抱く様になった元凶は『牧野日本植物圖鑑』(1940年) 119頁でタニワタリノキに Nauclea orientalis があてられている事であったのですが、牧野は直接 Osbeck の標本の事は言及しておらず、改稿の際にはタイプ取り違えの件を直接的に牧野 (1940) における扱いと因果関係を結びつける書き方は避ける様に工夫する必要が生じそうです。--Eryk Kij(会話) 2023年4月27日 (木) 16:07 (UTC)