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ノート:カイラル対称性

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概要について

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数学的意義とフェルミオンとの関係を加筆しました(確か以前も)。詳細はライダーの量子場の理論でも見てください。

追記・NS5-braneさん、「left-handedとright-handedを交換しちゃダメだし」 「ダメだし」って何でしょう?ディラック質量項の存在が(クォークレベルで)カイラル対称性を破っている、だから交換しない、と書いてたはずですが?模型の上ではmasslessの理論に無理やり持って行きカイラル対称な理論を作ることもできます。観測はそっちのけで。「現在の宇宙はカイラル対称性が破れている」と書いたはずでしょう?

「Dirac spinorは「4成分」という言い方はしても「四つのフェルミオン場」とは言わないです。」 ディラックスピナーが表す場は4つあり、それぞれが左手型のup type, down type, 右手型のup type, down typeの物理的なフェルミオンを表す場です。振幅計算するときはその「1成分」を場として展開するでしょう?なので表現としては間違っていないはずですが?

ちなみにカイラル対称性は近似的な対称性ではなく、ローレンツ群を考えると自然に出てくる対称性です。 --120.75.71.22 2010年9月27日 (月) 15:38 (UTC)[返信]

右手と左手を入れ替える変換はカイラル変換ではなく、ただの鏡像反転です ^ ^ カイラル変換は「右手(左手)だけ色を変える」変換なのでお間違えないよう。

厳密性についてですが、カイラル対称性は「質量項により明示的に破れ、近似的になった対称性がさらに自発的に破れている」という大変ややこしい状態になっています。質量項も元を正せばヒッグズによるもので、標準模型のラグランジアンだけを見ればカイラル対称性は「厳密に」成り立っています

文言の修正は、ここでもう少し合意を得てからでないと難しいでしょうか。 --鳥目な人 2010年10月1日 (金) 13:51 (UTC)[返信]

前半部分については言葉のあやでしょう。私は実際のright left spinorが「お互い」交換する、という意味ではなく「性質としての」right leftを交換する、という意図で「交換」や「対称」という言葉を使っています。ややこしいなら修正します。まあこれはいいとして。

標準模型のラグランジアンでもSSB以後であれば、つまり「現在の宇宙」であればディラック質量項を持っています。これがカイラル対称性をexplicitに破る、これだけのはずですが?私には何が「近似的」なのか分かりかねます。

蛇足ですが、概要の後半はカイラル対称性とゲージ対称性を混同してませんか?通常はSU(2)LはおろかBSMにおいてはSU(2)Rですらゲージ対称性を指しますが。 --110.67.239.28 2010年10月1日 (金) 19:16 (UTC)[返信]


分かり辛かったかもしれませんが、厳密か近似的かの議論に関してはIPユーザさんと同じ考えです。

この文脈で「近似的な対称性」が出てくるのは大抵(弱でない)アイソスピンに関する歴史的な話で、「アイソスピン変換をすると、アップとダウンの質量が違うので物理は少しだけ変化するけれど、この分はあくまで少しなので対称性に関する議論を近似的に適用することができる」という素朴な議論です。現在はSSBの考え方があるので「ラグランジアンは対称、真空はそうでない」というより洗練された言い回しができるようになっています。

で、性質としての右・左というのはスピノルの成分の事でしょうか。CSBで破れているのは大域的SU(Nf)Aで、内部対称性に関する変換です。ローレンツ変換のようにスピノルの成分を入れ替える(=スピノルに行列を掛ける)、という事はしないはずです。

そして最後の話ですが、確かに弱い相互作用まで考えるとフレイバー対称性の一部はゲージ(ローカル)対称性であるけれど、その効果を無視して「単にクォークに種類がNf個あるだけ」として、そのグローバルな対称性を考えるのがQCDだと思います。ローカル変換はグローバル変換を含みますので、これは近似ではありません。

混同して困る箇所というのがちょっと具体的に分からないのですが…… --鳥目な人 2010年10月2日 (土) 03:27 (UTC)[返信]

フレーバー対称性がゲージ対称性である、というのも分かりかねます。電弱対称性の破れる過程ではフレーバー混合、クォークセクターではCKM行列に基づく混合が実現していますが、それがゲージ対称性である、とはどういうことでしょうか?

率直に聞きますが本分で書かれているSU(2)L×SU(2)Rとはゲージ対称性のことですか?クォークレベルの? 私は各スピナーを変換するローレンツ対称性だと思っていたんですが。QCDは詳しくありませんが、SMにSU(2)Rが入っていますか?--110.67.240.144 2010年10月2日 (土) 07:39 (UTC)[返信]


すいません、ちょっと具体的にやってみたところ幾つか大嘘があったので訂正しておきました。普通フレイバー変換と言った場合にはアップ-ダウンだけでなくストレンジやトップ等との変換も含み、u-dが弱い相互作用のSU(2)て結びついているのは単にたまたまの偶然です。標準模型のNfは2ではなく6で、質量項だけでなく湯川項もフレイバー対称性を破るため、SMラグランジアンはカイラル対称性を近似的にしか満たしません

スピノルの成分に全く触らない、というのもディラックスピノルとして見ると誤りで、U(1)AおよびSU(Nf)A変換は (Iはカイラルスピノル2×2成分の単位行列)成分を含んでいます。カイラルスピノルで見ればローレンツ変換との関与は全くないので、主張したかったこととはあまり関係がないのですが。

で「ゲージ対称性ですか」の問いに率直に答えるなら、「内部対称性という意味ではYes、ローカル対称性という意味ではNo」です。SMのSU(3)×SU(2)×U(1)はSMに含まれる「ローカルな内部対称性(狭い意味でのゲージ対称性)」を列挙したものなので、フレイバー対称性は入っていません。しかし、ローレンツ対称性でもありません。 --鳥目な人 2010年10月2日 (土) 11:32 (UTC)[返信]


IP氏の編集に関して

  • 「Dirac spinorは「4成分」という言い方はしても「四つのフェルミオン場」とは言わないです」について

カイラル変換はWeyl spinorの脚には作用しませんので、spinorの1成分を「一つ」と数えることは誤解が生じます。振幅計算をカイラル対称性の文脈で挙げる必然性がありません。

  • カイラル対称性とローレンツ群の関係について

鳥目な人さんがすでに説明してくださっていますが、カイラル対称性はフレーバーを入れ替える変換であり、ローレンツ群とはほぼ無関係です。SU(2)_L×SU(2)_Rはspinorの成分の変換ではなくflavorの入れ替えの変換です。本文ではSU(2)_L×SU(2)_Rが出る直前に「右巻きと左巻きで別々にフレーバーを入れ替える変換」と書いてあるんですけどね…… 唯一関係があるとすれば、masslessの場合にleft-handedとright handedの自由度が分離されることくらいでしょうか。詳細はライダーの本を見ろということですが、ライダーの本にはカイラル対称性のことはほとんど書いてないですね(chiral anomalyは書いてありましたが、そこの記述はIP氏の記述と無関係ですし)。カイラル対称性については、九後さんの本(II巻)の6章やWeinbergの本(英語だとvol2)のsec.19あたりを参照してください。

あと本文に「ポール・ディラックはスピノールが粒子描像を記述する可能性に注目した」という記述がありますが、ディラックは単に4成分spinorを導入しただけのことで、カイラル対称性とは全く無関係ですよね? 2成分spinorすら関係なさそうですが。この項目に必要な記述ではないでしょう。カイラル変換と(spinorに対する)ローレンツ変換の混同を招くだけです。

  • 「近似的な対称性」について

本文にも書いたとおりですが、湯川相互作用による質量項は、u, dに限れば非常に小さいためにカイラル対称性は近似的に成立します。標準模型では確かにカイラル対称性は明白に破れているのですが、カイラル対称性はQCD scale付近(200MeV程度)の物理を議論する際にQCDセクターに限って考えられる対称性であって、標準模型全体を考える場合(electroweak scale付近)にはカイラル対称性はあまり議論されません(これを本文に明記しなかったことは反省点だと思っています)。

『何が「近似的」なのか分かりかねます』『QCDは詳しくありませんが』ということは、近似的な対称性としてカイラル対称性を用いる意義は理解していないということでしょうか。カイラル対称性が厳密な対称性ではないにも関わらず議論される理由は、カイラル対称性とその破れがQCD scale付近の物理に大きな影響を与えるからです。本文に書いたとおりなのですが、u, dクォークが湯川相互作用により得る質量は数MeV程度であり、クォーク3つで構成される陽子の質量とは大きな差があります。カイラル対称性を「ディラック質量項によりexpicitに破れる」で済ませてしまっては、様々なハドロンがクォークに比べて桁違いの質量を持つ理由は何もわかりません。近似的な対称性であってもその破れを議論する必要がありますし、実際にその答えを(QCDを解くのは非常に困難なので、近似計算やシミュレーションなどによってですが)与えています。

ちなみにカイラル対称性は「歴史的な話」などではなく、現在進行形の研究対象です。例えば、格子ゲージ理論でカイラル対称性を保つ定式化を用いたシミュレーションが出来るようになったのは比較的最近ですし、最近の弦理論(AdS/CFT対応)を応用したQCDの模型の中で引用数の多いSakai-Sugimoto modelの利点の一つはカイラル対称性の破れ/回復を記述することができるという点ですね。--NS5-brane 2010年10月4日 (月) 08:44 (UTC)[返信]

本文を編集して気づいたんですが、最初に項目を立てたときには、一番上に「量子色力学において、(中略)近似的な対称性である」と書いておいたんですよね。次の編集で「フレーバーを入れ替える」ことも一番上に書き加えたんですが……--NS5-brane 2010年10月4日 (月) 09:06 (UTC)[返信]