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ノート:アルビール

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改名提案

[編集]

どれも間違いではありませんが、ガイドラインのWikipedia:記事名の付け方を尊重するべきだと思います。 普通のGoogle検索ですと、信頼できるソース以外のものもたくさん入ってきてしまうので、Google booksを見てみましょう。

というわけで、Wikipedia:記事名の付け方に従えば、アルビルが適切でしょう。Takabeg 2012年1月26日 (木) 15:18 (UTC)[返信]

「アルビール」で検索すると、本記事のほかにアルビール県アルビール国際空港が見つかり、また記事にはなっていませんが、サッカーチームの「アルビールFC」も複数のページで赤リンクになっています。まあ分野毎に表記が揺れることも少なくないので、必ずしも統一する必要はないのですが、サッカーチームはAFCカップの常連のようなので、日本語の記事でも地名としてかなりの使用頻度がありそうです。「アルビール国際空港」についても航空会社などで日本語の使用例はありそうです。また、「エルビル」で検索すると自衛隊イラク派遣がヒットしますが、これについてもかなり報道されたので、そのなかでこの地名についても日本語の使用例があったでしょう。Google booksだけで判断するのは危険です。--アルビレオ 2012年1月26日 (木) 22:00 (UTC)[返信]

アルビール県アルビール国際空港などの記事の存在は、「アルビール」を選択するための理由にはなりません。Wikipedia自体は信頼できる情報源ではみなされませんので、Wikipedia:信頼できる情報源を優先することになっています。一般のGoogle検索は、極めて危険であり、ウィキペディアの記事 (記事名も)とそのクローンやコピーがたくさんヒットしてしまいます。「ウィキ爆弾」とでもいったらいいのでしょうか? そういう意味では、Google Books で検索するときも、LLCをエクスクルードさせる必要があるようですね。 Takabeg 2012年1月26日 (木) 22:54 (UTC)[返信]

書き方が悪かったかもしれませんが、アルビール県アルビール国際空港を「アルビール」の理由としたつもりはありません。そうではなくて、「アルビール国際空港」をキーにサーチすると、例えばエティハド航空の公式サイトを見つけることができ、[1]では都市名として「アルビル」を使っていることがわかる、というサジェッションのつもりです。むしろ本記事を改名する場合は、上記2つの記事も連動して改名すべきだと思います。県名については当然でしょうし、たとえば「アルビール国際空港はエルビルに存在する」のような記述がおかしいことも明白です。なお、改名については現状中立です。--アルビレオ 2012年1月27日 (金) 20:46 (UTC)[返信]

コメント 本提案では、本記事の記事名を現在の「アルビール」から何に変えたいのか、提案者による提案が一切行われていません。その意味では現時点で賛否の表しようがありませんが、この記事が解説する地名の日本語訳として最も妥当なのは、日本国外務省による使用が確認できる「エルビル」なのだろうと考えます--Ch0331 2012年1月27日 (金) 20:23 (UTC)[返信]

コメント「変えたい」などとはいっていません。上に書いたように、「アルビルが適切でしょう」といっているのです。よく読んでみてください。また、「外務省が使用しているから」というのは、Wikipedia:記事名の付け方にもそうした規定はありません。認知度が高い ものが適切です。Takabeg 2012年1月27日 (金) 22:58 (UTC)[返信]

コメント 日本国政府による「エルビル」という公用表記がありながら、「認知度」という客観性の低い要素に執着する合理性を見出せません。そもそも当記事が解説する対象は、日本人、ないしは日本語使用者の間での認知や使用例自体が乏しく、ここで無理に用例に頼れば(検索ヒット数など)、それは大いにバイアスの掛かったものになり(統計学におけるN数の意味合いを引くまでもなく)、結論をミスリードすることになるでしょう。改めて、改名を試みるのであれば、その移動先は「エルビル」であると考えます--Ch0331 2012年1月28日 (土) 00:40 (UTC)[返信]

コメント ウィキペディアの記事名の命名法の基本的なアプローチを見る限り、記事名としてコモン・ネームが選択されているのであり、公式名や公式表記といった公式なものが選択されているわけではありません。英語版のウィキペディアなどですと、この点がより明確に示されています。参考:en:Wikipedia:Article titles。いずれにせよ、日本語において、もっともコモンなものが選択されるのがよいでしょう。また、アルビルに執着しているわけではありません。アルビルが日本語におけるコモン・ユースなので、ウィキペディアのガイドラインに従えば、記事名として適切であると書いただけです。客観性の低さという点にかんしては、「外務省が書いているからバイアスがかかっていない」、「外務省が言っていることは正しい」といった類の主観的なアプローチには頼るべきではないと思います。結局、外務省のそれも、one of them以外のなにものでもないのですから。そして、Google booksで、180件もヒットしている以上、日本語使用者の間での使用例が乏しいとはいえませんね。Google booksでヒットするもののほとんどは、信頼に値するソースですので、いわゆる「ウィキ爆弾」で水増しされたGoogle searchの結果と比較した場合、かなり健全といえます。Takabeg 2012年1月28日 (土) 00:47 (UTC)[返信]

コメントWikipedia:記事名の付け方#記事名を付けるにはによると、「記事名は理想的には次のような基準を満たすのが望ましい」とあり、一番目に認知度が高い - 信頼できる情報源において最も一般的に使われており、その記事の内容を表すのに最も著名であると考えられるもの。とあります。公式名や政府が使用する名前も、「信頼できる情報源のひとつ」として扱われるべきかと思います。日本語版には書いてないですが、英語版en:WP:COMMONNAMEでは明確にWikipedia does not necessarily use the subject's "official" name as an article titleとありますが、この考え方も日本語版にもある「中立的な観点」から来ていると思うので、日本語版でも矛盾しない考え方だと思います。Wikipedia:記事名の付け方#正式な名称を使うことは「一般的な指針」として書かれていて、その前に書かれている「理想的な」ものの方が優先されると思います。「団体名」とか注意書きがあればともかく、ガイドラインの「一般的な指針」として「正式な名称を使うこと」と書くこと自体が、中立的な観点からはかけ離れているとは感じますが。Google books見てみました。結構良い感じですが、件数よりも、各記事のソースの信頼性を見ながらだと思います。例えば、ひとつの出版社がずっとそれを書いたとしたら、それが本当に認知度かどうかと言う評価をする必要があります。またGoogle booksは、日本の本を十分カバー出来ているのかどうかも注意が必要だと思います。--Orcano 2012年1月28日 (土) 08:59 (UTC)[返信]

コメントそもそも外務省の表記はかなり有力や指針にはなるでしょうが、「正式の表記」ではないと思います。あくまで当事者の公式文書や公式サイトなどで確認できる表記が「正式な表記」でしょう。つい最近見つけた例では外務省の表記はスロベニアだが、在日大使館の日本語サイトでは「スロヴェニア」になっているものがありました。このような場合は外務省の表記は「正式な表記」ではないと考えます。今回の場合、イラク政府や市、県が公式な資料で日本語表記をしているものはありますか?--アルビレオ 2012年1月28日 (土) 11:35 (UTC)[返信]
コメント 「エルビルは外務省の使用が確認できる」とのことでしたので、念の為普通のgoogle検索で「"アルビル" "mofa"」として調べてみましたが、小学校改築の件とか平成16年の事務次官会見とか用例があるようで、「エルビルが日本外務省の公用表記」と結論付けていいのか若干疑問に思いました。また、視点を変えてAFPとロイターで検索したところ「アルビル」を表記として使用しているようです。(参考:ロイター記事 AFP記事。「エルビル」でも両サイト内で検索しましたがヒットしませんでした。一応、毎日読売も「アルビル」。)なお、調べてて一番気になったのは、「アルビール」表記を使用している情報源が少ない点です。どの「信頼できる情報源」で使用されてる表記なのか、今回ちょっと見つけられませんでした。
ということで、現状記事名からの改名が必要ではないかと思い、改名に賛成します。「エルビル」・「アルビル」どちらも候補ではありますが、今回調べた範囲ではニュースサイトでの用例が多いようですので「アルビル」の方に 賛成 票投じます。--ぽん吉 2012年2月19日 (日) 20:13 (UTC)一旦賛成取り下げ--ぽん吉 2012年2月25日 (土) 20:08 (UTC)[返信]

コメント 横レスながら失礼します。アルビールについて、地図、辞典類、アラビア語などの古典的な地理書などを自分なりに可能な範囲で調べてみました。 まず、図書館に収蔵されているここ15、6年ほどの世界地図類での表記ですが、以下のようでした。(大きな世界地図で自分が調べたところは公立や大学の図書館です)

世界地図類
  • (カナ表記なし)/ Irbīl, 『ブリタニカ国際地図』ティビーエス・ブリタニカ、第7版、1996年7月(初版1971年)、p.128-129
  • アルビール / 'Arbil, 『ベルステルマン世界大地図帳』(日本版)昭文社、2000年1月、p.118-119
  • アルビール / Arbīl, 『世界大地図帳』平凡社、6訂版、2003年7月、p.36
  • アルビール / Arbīl, 『最新基本地図 世界・日本』(2008年版)帝国書院、32訂版、2008年12月、p.36
  • (カナ表記なし)/ Arbīl, 『タイムズ世界地図帳』(The Times comprehensive atlas of the world, 13th ed., Times Books, 2011)日本版発売元: 雄松堂書店、2011年7月

また、書店で見た限りでも2011年度版の帝国書院の『最新基本地図 世界・日本』でも(あと同社の『新詳高等地図』も)や平凡社の『ベーシック アトラス 世界地図帳』でもやはり「アルビール / Arbīl」になっていました。1996年の『ブリタニカ国際地図』を除けば、2000年以降の日本で流通する世界地図関係の表記では「アルビール / Arbīl」が受け入れられていることが分かります。出版社は忘れましたが、帝国書院や平凡社など以外の高校の教材に使われている地図帳で「エルビル」「アルビル」の表記がされているものも確かにありました。

辞典類

聖書などでは古代に「アルベラ」と呼ばれる地名がいくつか言及されてそうですが、ガリラヤ地方にあるものとアッシリア地方にあるものがあり、このアッシリア地方にある「アルベラ(アルベーラ)」(Ἄρβηλα Arbēla, Arbela)が現在のアルビール(エルビル)にあたるんだそうです。また、自分が調べた限り近年刊行された百科事典類で「アルビール」「アルビル」「エルビル」が記載してあるものはなかなか見付けられませんでした。もう少し丹念に探せば有るかも知れません。

  • アルベラ 馬場嘉市編『新聖書大辞典 キリスト新聞社、1971年、p.73-74
  • Irbil D. Sourdel, "IRBIL", The Encyclopædia of Islām (Iran-Kha), 2nd ed, Vol. 4, 1978., p.76(『イスラーム百科事典』)
  • Arbela M. AYOUB, "ARBELA", Encyclopædia Iranica, vol. 2, fasc. 4., 1986, P.277-278(『イラン百科事典』)

これらのうち、『イラン百科事典』はサーサーン朝までの古代しか扱っておらずイスラーム時代以降は記述が有りませんでした。『イスラーム百科事典』第2版の方は短いですがアッシリア時代からイスラーム時代、20世紀まで言及されています。

「アルベラ(アルベーラ)」がギリシア語文献などに依拠する呼称であるらしいことは伺えますが、地図や中東関係の文献では「アルビール(アルビル)」系と「イルビル(イルビール)」系に分かれている印象を受けました。『イラン百科事典』は"ARBELA"で立項されていますが、"ERBEL"という項目もあり、そこでは解説文はなく"See ARBELA"とリダイレクトがされているだけとなっています。ということは、イランでは現在「エルベル」と呼んでいる可能性があります。これが ERBĪL とはなってはいないため、「エルビール」や「エルビル」とは読まず「エルベル」となっていると予想されます。現代ペルシア語ではアラビア語語彙のカスラ(短母音の"i"音)は i→e に訛ってしまうため、もとは「イルビル(IRBIL)」であると類推出来ます。実は、前近代のアラビア語・ペルシア語の地理書や年代記では「イルビル」ないし「イルビール」と呼ばれていたようです。

前近代の地理書・歴史書
  • إِرْبِل ('Irbil) (Ibn Khurdādh-Bih, Kitāb al-Masālik al-mamālik(Bibliotheca geographorum Arabicorum ; pars 6). 2nd ed(1st ed, 1889), Leiden 1967, p.6)
  • إِرْبِلُ ('Irbilu) (Yāqūt ibn ʿAbd Allāh al-Ḥamawī, Muʿjam al-Buldān, (ed.)Farīd ʿAbd al-ʿAzīz Jundī, Bayrūt, Dār al-Kutub al-ʿIlmīyah, vol.1, 1410 [1990]., p.166-169)(ヤークート『諸国辞典』)
  • إربل، إربِل، إِرْبِل ('Irbil) ʿIzz al-Dīn ʿAlī Ibn al-Athīr, al-Kāmil fī al-tārīkh, (ed.)Carl Johan Tornberg, 2nd ed, 1979-1982 [1si ed, Leiden 1851-1871] Vol.13., p.500-507 など)イブン・アスィール『完史』)
  • اِرْبيل (Irbīl)Rashīd al-Dīn Faḍl Allāh Hamadānī, Jāmiʿ al-Tavārīkh, (ed.) Muḥammad Rawshan & Muṣṭafá Mūsavī, (Tihrān, 1373 [1994 or 1995] ), vol.2., p.1021 など(『集史』フレグ・ハン紀ほか)
  • اربيل (Irbīl(Arbela)Ḥamd-Allāh Mustawfī Qazwīnī, The geographical part of the Nuzhat-al-Qulūb, 2 vols., (ed. & tr.) G. Le Strange, Leiden and London, 1915-1919.(vol.1 p.102/ vol.2 p.102)(『心魂の歓喜』地理篇)

イスラーム百科事典』の IRBIL の項目で書かれていることですが、アルビールもアラブ征服時代にイスラーム政権の支配になったようですが、近隣のモースルの発展に隠れてしまい、アッバース朝初期の地理書ではほとんど言及されない町だったそうです。実際、イスタフリーAbū Iḥsāq al-Iṣṭakhrī(957年頃没)やイブン・ハウカル Abū al-Qāsim Ibn Ḥawqal(943-977?)、ムカッダスィー Muḥammad ibn Aḥmad al-Muqaddasī(946-985?)、イブン・ルスタ Aḥmad Ibn Rusta(903年頃生?)、マスウーディー(896-956)、バクリー Abū ʿUbayd al-Bakrī(1040-1094)などの地理書を一応調べたのですが、イブン・フルダーズビフ(912年頃没?)が数カ所で名前を言及しているに過ぎませんでした。タバリー(839-923)の『諸使徒と諸王の歴史』やバラーズリー Aḥmad Ibn Yaḥyā al-Balādhurī(892年頃没)の『諸国征服史』といった初期イスラーム史の著名な歴史書を見てみましたがアルビールないし「イルビル」の記述は見付けられませんでした。『イスラーム百科事典』にも述べられていますが、アルビールは、1167年にザンギー朝麾下のアタベクアイユーブ朝のサラーフッディーンの義理の兄弟だったというベグテギン朝 de:Begteginiden の始祖 Zayn al-Dīn ʿAlī Küčük b. Begtegin によって同王朝の拠点のひとつとなったことから発展し始めた、イスラーム時代的にはは比較的登場が新しい町のようです。その後もベグテギン家の統治下にあったようで、13世紀半ばフレグによるモンゴル帝国の西征軍がバグダードを陥落させた後、1258年にフレグ麾下のウルグトゥ・ノヤンによって包囲されたそうですが、城塞に立てこもった住人達は頑健に抵抗してついにモンゴル軍は陥落出来ず、モースルのアタベク・バドルッディーン・ルウルウの計略によって投降した、という逸話が『集史』フレグ・ハン紀に書かれています。イブン・アスィール『完史』でのアルビールの記述は、『イスラーム百科事典』の説明の通り12世紀後半までほとんど無いようでして、12世紀後半に Zayn al-Dīn ʿAlī Küčük b. Begtegin その他ベグテギン家の領主達との関係から徐々に記述が増え出し、同書の末尾まで続くようです。

それで、アルビールの綴りについて『完史』では細かいシャクル(発音記号)はあったり無かったりするのですが、現行刊本の1200年代以降の記述では、إِرْبِل と書かれており、この通りですと「イルビル」 Irbil と読めます。إربل と書かれる場合もありますが、アラビア文字の正書法では、第一母音 إ はアリフ ا の下にハムザ ء がついていますので、通常第一母音は「イ」('i)で読む事が分かります。アリフ ا の上にハムザが来た場合 أ はア('a)かウ('u)と読むべきなのですが、自分が見た限り『完史』で第一母音のアリフにハムザ記号が書かれる場合、全て下に إ ('i)付いていました。13世紀前半に活躍した地理学者ヤークート Yāqūt ibn ʿAbd Allāh al-Ḥamawī(1179–1229)の『諸国辞典』(Muʿjam al-Buldān)では إِرْبِلُ ('Irbilu)で立項されていまして、最後の子音の文字ラーム(-l-)にシャクルがダンマ(u)で綴られていますが、これはヤークートの他の地名でも全て同様に振られているので、恐らく名詞の主格単数語尾なだけではないかと思われます。なので固有名詞としては「イルビル」 'Irbil と見るべきでしょう。

これらは主に12-13世紀のアラビア語史料ですが、一方14世紀にアルビールを領有していたイルハン朝で編纂された史料にもアルビールについて出て来まして、上述のように『集史』フレグ・ハン紀では1258年にアルビール開城の記事があります。フレグ・ハン紀が含まれる他の校訂本は見られませんでしたが、現行のRawshan校訂本(1995年)では اِرْبيل と綴られており、Irbīl と読めます。自分が確認した範囲ではフレグ・ハン紀ではこの綴りで通しているようで、「イルビール」と読みます。『集史』編纂から四半世紀後にイルハン朝の財務官僚ムスタウフィー・カズヴィーニー Ḥamd-Allāh Mustawfī Qazwīnī (1281–1349)によって編纂された『心魂の歓喜』地理篇には第9章「ディヤール・バクルおよびディヤール・ラビーアの叙述」にモースルの次に立項されていますが、自分が見られた G. Le Strange による校訂本(1915)では اربيل としか書かれておらず、「アルビール」なのか「イルビール」なのかこれだけでは分かりません。しかし、G. Le Strange がこの校訂本とセットで刊行した英訳本では当該箇所で "Irbīl(Arbela)" として立項されてされており、「イルビール」と読むべきものとなっています。

イルハン朝以降のアラビア語・ペルシア語の地理書や歴史書までは手が回りませんでしたが、イスラーム時代にはアルビールは「イルビル」ないし「イルビール」と呼ばれていた事が歴史資料的に分かりました。

次の問題は、現在のイラクではどうなっているのか、という点になろうかと思います。上述のように2000年以降の世界地図では日本語版のものも英語版のものも「エルビル」「アルビル」と綴っているものもありますが、ラテン文字転写では大体長母音記号も付すようになっているようで、その場合はおおよそ Arbīl(アルビール)となっているようです。Googleの地図検索では "Irbil" "Erbil" "Arbil"でもヒットするようですが、wikipediaの日本語版や英語版などに出ているアラビア文字の綴りは أربيل となっており、第一母音となる文字のアリフ ا は上にハムザが乗った أ となっておりア('a)かウ('u)と読むべきなっているようです。このまま読めば「アルビール」(Arbīl)となるようです。ウと読んで「ウルビール」とも理論的には可能ですが、イラクの都市で「ウルビール」では現行の世界地図関係にも14世紀以前の史料にも無く、 Googleでもヒットしないようです。

自分は現在のイラクのアラビア語口語(アーンミーヤ)に詳しく無いので、 أربيل で Erbīl と読めるのか分かりませんが、少なくとも正則アラビア語(フスハー)に準拠したアラビア文字の正書法に従えば、أربيل で Arbīl(アルビール)と読まれ得るものだと判断出来ます。出来れば、アルビールに関するサッダーム・フセイン時代やイラク戦争後の暫定政権、現在のイラク共和国でのアラビア文字・ラテン文字表記や発音が確認出来ればベストなのですが、イラクはじめアラブ諸国の現代政治史や言語学(特に現地でのフィールドワーク調査)、地理学関係などは自分の能力を完全に越えているため、調査出来そうに有りません。この方面についてお詳しい方にご助力を請います。

以上、長々となってしまいしたが、歴史史料では「イルビル」「イルビール」となっていますが、現行の日本の地図関係では「アルビール」(Arbīl)が許容されており、أربيل も Arbīl(アルビール)と表記し得るので、現行の記事名「アルビール」は日本語の百科事典として許容され得るものと自分は判断します。よって、現状維持が好ましいと考えますので、
改名提案には 反対 致します。--Haydar 2012年2月20日 (月) 19:27 (UTC)[返信]

Haydarさんへ。現行世界地図類、また歴史史料での用例調査ありがとうございます。大変有意な情報と思います。ひとつ確認したいのですが、Haydarさんが「アルビール」を記事名に推す理由は「現行の日本の地図関係で主に使用されているから」ということであってますか?もしそうであれば、なぜ報道等で使用されている「アルビル」「エルビル」より、地図類で使用されている「アルビール」がwikipediaの記事名としてふさわしいのですか?(私は、地図関係での用例より、報道等での用例の方が"認知度が高い"と思うのですが…どうでしょうか)--ぽん吉 2012年2月21日 (火) 00:56 (UTC)[返信]
ぽん吉さん 早速のコメントありがとうございます。世界地図帳類や歴史資料の調査そのものは公立や大学図書館に収蔵されているものをそのまま引用すれば良く、あとはそれを明示するだけでどうにかなるのですが、(隣国イランであれば実際に現地に行っている研究者も多いので何とかあるだろうとは思うのですが)イラク現地で実際ここそこの地名がどう呼ばれているのか自分では調べようがないので、現在「アルビール」と呼んでいるのかそうでないのか、アラビア文字の綴りから分かる以上の事は自分には判断出来ないのがもどかしいところです。
>なぜ報道等で使用されている「アルビル」「エルビル」より、地図類で使用されている「アルビール」がwikipediaの記事名としてふさわしいのですか?
とのことですが、自分が「アルビール」を推す理由については、まず一つにはWikipedia:記事名の付け方で示されている主に5つの基準についての適用の解釈問題が有ると思っています。ノート:サラーフッディーン#改名提案での議論の繰り返しになりそうで恐縮ですが(汗、Wikipedia:記事名の付け方の5つの基準、1)認知度が高い、2)見つけやすい、3)曖昧でない、4)簡潔、5)首尾一貫しているについての自分なりの解釈に基づくものでして、ぽん吉さんも挙げられた基準の一つ目は、ご存知のように「1)認知度が高い- 信頼できる情報源において最も一般的に使われており、その記事の内容を表すのに最も著名であると考えられるもの。」となっています。「認知度が高い」という判断基準として、「『信頼できる情報源において最も一般的に使われて』いるもの」という条件が付いた上での「認知度が高いもの」「最も著名であると考えられるもの」が、まず記事名として相応しいものされている、とこの一文を自分なりに解釈しています。
現行の記事名である「アルビール」という表記について、この第1基準の解釈と照らし合わせた場合、一応自分が中東関係の歴史資料を読める立場にあることに由来していますが、(ひとつひとつ例をそのままノートに書き切れなかったので省いたのですが)アラビア語を習う際に学ぶアラビア語文法書(代表的なもので言いますと白水社のエクスプレスシリーズですとか、大学書林ものなど)での知識から応用出来得るものや、特に『岩波 イスラーム辞典』の凡例の「(アラビア語・ペルシア語・トルコ語の)転写法」のp.14に一覧で示されているようなアラビア文字の正書法の読み方やアラビア語の発音の日本語転写方法を用いた場合、アルビールの実際のアラビア文字表記であるらしい أربيل は Arbīl(アルビール)と転写し得るものである、という語学的な要素が第1にありまして、第2の要素としては現行の地図類でも Arbīl(アルビール)でも転写がされている、というふたつの大きなが要素がまずあります。このふたつの要素からそれぞれ導き出される「アルビール」というカナ表記はともに一致しています。
第1の要素はアラビア文字・(正則)アラビア語の日本語転写という語学的な信頼性がある程度確保されている点が有り、第2の要素は現行の地図のラテン文字表記などを見ましてもカイロやテヘランといった日本語で既に慣用的な表記を除くと、ある程度現地の表記や発音に準拠したものであろうと思われるものがラテン文字表記を見ますと徹底されているように見受けられ、恐らく信頼出来る情報に基づいていると思わせるものがあり、(最もかどうかは置くとして)「アルビール」という表記が地図の分野では普及しているものと自分なりに判断出来ます。つまり、語学的な分野から「アルビール」という表記の第1基準の条件となる信頼性はある程度保証されていると判断出来、地図という地形と地名を専門とした資料である、という点で、「アルビール」という表記は現在地理学的な信頼性と認知度がある程度確保されている、と判断出来るからです。
また、Wikipedia:記事名の付け方#地名の節でアラビア語やペルシア語などの地名の基準は示されていませんが、地名も固有名詞であるという点から判断してWikipedia:記事名の付け方#地名の節、Wikipedia:記事名の付け方/アラブ人等イスラム系の人名の節の「アラブ諸国のアラビア語名は標準アラビア語の発音に準ずるが、現代人(第一次世界大戦以降に活躍した者)はその国での呼び方を優先する。」から類推して地名表記にも適用しようとした場合、「アルビール」の表記は一応その条件に適っていると考えられます。第5基準にある「首尾一貫している - 他の似たような記事においても、同じように使われているもの。」という点も、バグダードバスラナジャフカルバラーなどイラクの他の地名もアラビア語準拠のカナ表記に適っているようですし、wikipedia内でもアルビール県アルビール国際空港など関係する他の記事やイラク関係の記事での表記もおおよそ「アルビール」で通されている感じが有り、「首尾一貫している」「 他の似たような記事においても、同じように使われている」もクリア出来ていると感じます。一応、エルビルアルビルでもリダイレクトがされているようですので、第2基準「見つけやすい - 読者にとって記事の中で見つけやすいもの(そして編集者にとって最も自然に他の記事にリンクできるもの)」もクリア出来ていそうです。(イルビルイルビールでは現在リダイレクト出来ていませんが)
 さて、ぽん吉さんが懸念されている「報道等での用例の方が"認知度が高い"と思うのですが」という点についてですが、まず、Wikipedia:記事名の付け方の第1基準である 1)認知度が高い、は無条件に「認知度が高い」というよりも、「『信頼できる情報源において最も一般的に使われて』いるもの」という条件が付いた上での「認知度が高いもの」「最も著名であると考えられるもの」、と判断し得ますので、「報道等での用例」が、wikipediaの百科事典としてスタンスから、現在のイラクにおける地名の「信頼できる情報源」となり得るものであるか、という問題を解決せねばならないと思います。
その判断材料としては、昨日書き込む前に力尽きてしまったのですが(汗 ノート:バグダード#改名提案でのKotoitoさんやMaris stellaさんのご意見やご懸念が参考になるのではなかろうかと思います。特に、Maris stellaさんは「周知のすでによく知られているものは、慣習的に使用されている既存の名称を使」うことには異論はなく、他の編集者の方々も同意見のようですが、それとは別に「マスコミやメディアの報道」の呼称が信頼性を得られるものなのか?という疑念を呈されています。Maris stellaさんはいくつか懸念の根拠を述べられていますが、報道機関の報道そのものに疑義があるため、(2006年当時のイラク報道を念頭に置かれてのこととは思いますが)そのまま安易に記述に反映させることを強く警戒されているようでして、この地域における固有名詞等の名称問題についても「「メディアやマスコミが決めるのではない」という原則がまた考えられるかという理由として、メディアやマスコミの名称選択が非常に出鱈目であるという事実があるからです。」「メディアやマスコミは、歴史的な経緯や、過去にどういう風な日本語での伝統があったかなどは無視しやすい」と強く批判されています。
名称に関してはMaris stellaのご意見は自分もおおよそ首肯出来るものでしたが、過去の改名提案において、イラクの地名について「メディアやマスコミ」での使用例を根拠としたものは採択しない、という判断で改名提案が不採択で終結した事例が存在しており、特にバグダードという知名度が高いイラクの首都についてのものである、という点は重要かと思います。「バグダード」というイラクの首都については原音に近い表記が採択されているのに、イラク戦争以前に日本での知名度がどれだけあり慣例的な表記があったどうかやや不明な地方都市のカナ表記について、どういう基準からその表記が採択されているか不明な「メディアやマスコミ」の表記を採択して良いのか? という問題が出て来ます。アルビールでそれをやってしまうと、第5基準の5)首尾一貫しているを損ねる懸念が有り、イラクの他の都市の表記にも影響するのではないかと思われるのです。
 以上の内容を要約しますと
  • Wikipedia:記事名の付け方での第1基準、1)認知度が高いは、無条件に「認知度が高い」というよりも、「『信頼できる情報源において最も一般的に使われて』いるもの」という条件が付いた上での「認知度が高いもの」「最も著名であると考えられるもの」と判断し得る。
 これに関連して、
  • アラビア語について語彙のカナ転写方法などの語学的根拠から「アルビール」という表記が可能である
  • 地理情報の流布を目的とした市販の地図(世界地図類)で「アルビール」という表記が実際に存在する
  •  語学的なものと現行の地理情報(世界地図類)双方で「アルビール」という表記が一致している。
  • (昨日のものに加えて)イラクの地名について、百科事典としての性格に基づいて日本語版wikipediaでは(情報の信頼性の問題から)「マスコミやメディアの報道」のみを根拠とする地名表記は採択しない、という判断がされた先例がある(イラクの首都バグダードの例)
という5点ほどでしょうか、これらから判断して、現在の「アルビール」表記は妥当とし得る、と考えています。
 ぽん吉さんのご懸念に対する答えとして、あまり要領を得ていない内容かも知れず恐縮ですが、自分の意見としましては以上のような次第です。--Haydar 2012年2月21日 (火) 21:00 (UTC)[返信]
Haydarさん、詳細ご説明いただきありがとうございます。「第5基準の5)首尾一貫しているを損ねる懸念」が論拠として一番説得力を感じました。つまり、現行イラク(に限らず?)他都市の記事名は原音に近い表記を採用するのが慣例になっているとのことですね?(まあイラクではないですがメッカなど例外もあるようですが…)また、「アルビール」が原音に近いか、現地でどう呼ばれているかは微妙なところ(あるいは不明)だがカナ転写として妥当なもの・問題無いもの、ということで理解しました。
なお、私の説明不足だったと思いますが、「アルビル」表記は報道以外でも、提案冒頭にTakabegさんご提示のgoogle booksでみたところ『クルド人とクルディスタン』とか中東調査会の『中東研究』など書籍・文献での用例がありますので、「マスコミやメディアの報道」"のみ" が主張の根拠ではないことは一応申し上げておきます。google booksは網羅性に難点があるのではと思いますので、もう少し、「信頼できる情報源」を自分でチェックしたいと思います。結果後でご報告します。
あと、ノート:バグダード#改名提案など過去の議論のご紹介もありがとうございます。ただ正直なところMaris stellaさんがおっしゃってたいくつかのご意見、例えば「メディアやマスコミは、歴史的な経緯や、過去にどういう風な日本語での伝統があったかなどは無視しやすい」などのご主張につきましては、失礼ながらそうかな?と思いました。主張されるところは明確なのですが論拠の部分をもう少しご説明いただけたらなあとは思い、ちょっと極端な意見にも感じました。「マスコミは嘘ばかり」は基本的には同意なんですけどね。--ぽん吉 2012年2月22日 (水) 02:19 (UTC)書洩らしを追記--ぽん吉 2012年2月22日 (水) 02:24 (UTC)[返信]
ぽん吉さん 早速のコメントありがとうございます。メッカについては一度正則アラビア語表記に適ったマッカに移動になったのですが、中東関係の歴史分野の研究者の間でも「メッカ」表記が定着したままなどの理由で「メッカ」に戻された例があります(ノート:メッカ/過去ログ1)。平凡社『新イスラム事典』では「メッカ」のままですが、一応、『岩波 イスラーム辞典』では「マッカ」になっており、恐らくそちらを根拠としてのものだったかと思いますが。これは「バグダード」は専門著書や中東関係の論文では「バグダード」でほぼ統一されている事とは対照的でして、ノート:バグダード#改名提案でも触れられていた「周知のすでによく知られているものは、慣習的に使用されている既存の名称を使」うが採択された例と言えます。他に周知のもので慣用的な名称が優先されるものとしてはカイロテヘランが、国名等ではカタールがあるでしょうか。
カイロ」は「アル=カーヒラ(al-Qāhira)」の欧米由来の呼称が起源らしいとか聞きますが、「テヘラン」は少々入り組んだ事情がありましてラテン文字転写すると Tehrān なのですが、「テへ-」にあたる Teh- の「ヘ」(-h)はシャー(shāh)と同じ閉音節(CVC型)でして、正確にはカナ表記し難いという難問があったりします。現在のアラビア語語彙のカナ転写の用例をみると「ハ」か「フ」を用いる場合があり、実際まれにですが「テラーン」と表記している方(イランに滞在経験のある方)もおられたやに思いますが、一般的とは言い難いでしょう。Tehrān の第2母音は ā であり、ペルシア語の統語論的には「ア」(a)の長母音なので「アー」(ā)で表記して問題ないのですが、音声学的には ɑ非円唇母音:「ア」と「オ」の中間の音と説明されるもの)の長母音でして、タジク語や特にアフガニスタンのダリー語などの中央アジアのペルシア語の諸方言(イランの現代ペルシア語はテヘラン方言に準拠しています)でもアラビア文字からの転写で「アー」と表記されたりする部分が、日本人には「オー」に近い感じで聞こえたりするので、イランやアフガニスタンに滞在した事のある方には「オー」にすべきだ、と主張される方もたまいるようですが、統語論的に考えるとやり過ぎな面が有るため(イラン留学経験などのある方たちからも)これもあまり支持されているとは言えません。ただ、1979年イラン革命以前には日本語の文献でも「テヘラーン」など第2母音を長母音で表記する例がいくつかあったと思うのですが(『足利惇氏著作集』などで見た憶えがあったやに思いますが)、イラン革命とイラン・イラク戦争での日本国内の報道で「テヘラン」でほぼ定着されてしまった感じが有ります。「マスメディアによる不確かな転写による固有名詞への弊害」という点では「テヘラン」よりも「パーレビ王朝パフラヴィー朝)」などがより代表的かも知れません。ペルシア湾岸のカタールも Dawlat Qaṭar/Qaṭar で第1母音も第2母音も短母音なので「カタル」となるはずですが、湾岸戦争などの頃にはいつのまにか「カタール」になっていたようです。(イランやイラクも「イーラーン」や「イラーク」だったりしますが、そこまでこだわる方も極少数でしょう)
アラビア語ペルシア語は日本語よりも多数の子音が存在し、語彙要素としてそれぞれの子音の位置や数、母音の長短で意味が決定するという特徴があるため、日本語のカナ転写の際には色々注意しないといけなかったりします。他言語からの転写や発音の例で言いますと、ペルシア語では子音についてはアラビア語由来の語彙のペルシア語での発音でも、アラビア文字の表記はそのままですがいくつかの子音が、s, t, z, d などのペルシア語で発音しやすい子音で読まれています。母音については短母音や二重子音は u→o, i→e や ai→ei になるようですが、長母音については ā, ī, ū はおおよそそのままま用いられています。日本語のカナ表記でもアラビア語やペルシア語の子音の転写は難しくても母音の長短は「ー」で可能であるため、なるべくは母音の長短は表記しようと言うのが、(『岩波 イスラーム辞典』の凡例に象徴されているかと思いますが)ここ20年くらいの広く中東関係の研究での趨勢だと思います(アラビア語、ペルシア語語彙のカナ表記への転写方法の研究もいくつかあったと記憶しています)。マスメディア由来のカナ表記は安易な母音の短母音化や語尾が閉音節で -lや-rで終わる単語は長母音にするなどの「独自表記」が顕著で、イラク戦争の前後などにはこの地域の研究者や現地滞在経験者からは不評だった記憶があります。(恐らく現在でもそうだと思いますし、自分も時折首を傾げる表記も依然見られます)
wikipedia日本語版のWikipedia:記事名の付け方/アラブ人等イスラム系の人名での基準でありますとかノート:バグダード#改名提案の議論ではこういった趨勢を鑑みた上で、慣習的なもの以外は可能な限りアラビア語やペルシア語での発音や表記に準拠したカナ表記を目指そう、という感じで記事や記事名などの作成が行われて来たように思われます。そういった流れからしますと、ぽん吉さんの指摘されたように、今回の案件はこれまでの記事作成例の首尾一貫性からしますと「アルビール」でやはり妥当ではないか、というところに落ち着くように思います。
ノート:バグダード#改名提案でのMaris stellaさんのマスメディアに対するご批判はおおよそ首肯出来ますが、やや言い過ぎではないかなと自分でも思う所があります。コメントされた2006年と言いますとイラクではファルージャ(ファルージャの戦闘)の出来事やパレスチナでの動静等イラク近辺での緊張がまだまだ濃かった時期で、恐らくそれらを念頭に置かれたものだろうかと思われますが、具体的に何を指してのご発言なのかはこれだけではやはり何とも言い難いところですね。ただ、マスメディアによる弊害で特に自分の記憶に新しいものとしては、アフガニスタンの首都はカーブル Kābul についての表記でして、1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻(アフガニスタン紛争 (1978年-1989年))以前や少なくとも90年代くらいまではアラビア文字の表記やダリー語での発音に適った「カーブル」で通っていたのですが、2001年以降のアメリカのアフガニスタン侵攻(アフガニスタン紛争 (2001年-))で、マスメディアが一斉に「カブル」表記になってしまいました。カナ表記で同じ字数なのに母音の長短の位置が前後逆転するという不可解な現象が生じた形になりました。カーブルもその影響かと思いますが当初は「カブル」でして、現在の記事名になるには大分時間が掛かった記憶が有ります(ノート:カーブルノート:カーブル#改名提案)。これを現在の「カーブル」に議論の末修正したのがMaris stellaさんでしたから、ノート:バグダード#改名提案でのMaris stellaさんのマスメディア批判は「カーブル」の表記問題についての批判も含んだものだったかも知れません。
>『クルド人とクルディスタン』とか中東調査会の『中東研究』など書籍・文献での用例があります
 中東関係の論文と言いますと、CiNiiで検索できるのが目安になりそうですが、2007年、2008年までの情勢については名古屋大学出版会から出た『イスラーム世界研究マニュアル』(小杉泰、林佳世子、東長靖 編、2008年7月 ISBN 978-4815805944 )あたりが使えるでしょうか。アルビールに関係しそうな箇所で言いますと「3 イスラームの時空間 --歴史、文明、地域--/C 地域;3C-4 イラク(山尾大 p.237-244)」やイラク北部であることから「5 民族と宗教 ;5-3 クルド人問題(山口昭彦 p.383-388)」あたりが該当しそうです。「イラク」については邦文論文は1990年代は板垣雄三先生や2000年以降は酒井啓子先生のものが押している感じですが、寺島実朗/小杉泰/藤原帰一 編『「イラク戦争」検証と展望』(岩波書店 2003年)や、山内昌夫/大野元裕 編『イラク戦争データブック』(明石書店 2004年)が文献リストにあがっており、地名に関しての判断材料についても期待出来そうな印象です。になりそうな。「クルド人問題」については邦文文献リストとして挙っているのは主に2000年以降の論文のみのようで書籍は含まれていないようでして、どうもシリアやトルコでのクルド人問題に比重が寄っていて、イラク方面の地理関係の判断材料に出来るものがあるか若干不安です。中川喜与志『クルド人とクルディスタン』(南方新社 2001年12月)もリストにありませんが、南方新社というあまり聞かれない出版社と2001年なのでアクセスがしやすいかやや不安を憶えますが、図書館あたりであれば何とかなりそうですね。(ただ、amazonの書評ではクルド人問題の専門著書として好評が有る一方で、著者のやや感情的な文体と「歴史的事実を知るためには全く向いていない本」と酷評されている点に不安が。この評者は歴史的事実を知るのであれば、川上洋一『クルド人 もうひとつの中東問題』(集英社新書 149、2002年7月)を推しておられるようでしたが、ジャーナリスト出身ゆえか「「民族」「国家」といった用語・概念をためらうことなく早急に用いている感がある」との評もあって、なかなか判断材料となり得るかは難しい印象です)
中東関係を扱った雑誌と言いますと、『史学雑誌』や『オリエント』(日本オリエント学会:こちらは1962年-2007年までの論文はオンラインで見られます 『オリエント』)、『イスラム世界』(日本イスラム協会)、『日本中東学会年報』(日本中東学会)、『東洋史研究』(東洋史研究会)が主要なものとして思い付きますが、中東調査会の『中東研究』は個人的にはどうにも全体的にマスメディア寄りの表記に偏っている印象が以前からありまして、判断材料として使っていいのかやや不安を覚えたりしますが・・ とりあえずは他の邦文文献ともども調査の対象として(文中の他の地名表記の傾向にも眼を配りつつ)目を通す必要がありそうですね。調べた文献での地名についての「信頼性」はどう判断したら良いのかといった難しい問題もこれから考えねばならなそうですが、他の項目での地名表記との「首尾一貫性」を配慮しつつ議論を詰めて行ければと思います。--Haydar 2012年2月22日 (水) 18:39 (UTC)[返信]
色々情報をいただきましてありがとうございます。まだ調べ物途中ですが(今のところ「アルビル」表記しかお目にかかってないですけど)調べ物が無駄になるのもアレなので、先に2点ほど確認させてください。1) Haydarさんのお考えでは、外国の地名を決める際マスコミやメディアの報道機関(ニュース・雑誌類)は「信頼できる情報源」にならない、ということで宜しいですか?新書なども信頼できる情報源ではないですか? 2)執筆者についても、基準ございますか?例えばジャーナリストの場合ダメとか大学非常勤講師はダメとか、アラビア語解すればOK。ざっとしたもの(お考えの方向性分かるくらい)でいいので、お教えください。--ぽん吉 2012年2月23日 (木) 01:51 (UTC)[返信]

(インデント戻す) あまり量調べられなくてすみませんが、一応既出のもの除いて私が調べたところ以下の用例がございました。

  • アルビル / 酒井啓子『イラク 戦争と占領 (岩波新書) [新書]』(岩波新書 871、2004年1月)
  • アルビル / 松浦範子『クルド人のまち―イランに暮らす国なき民』(新泉社、2008年12月)
  • エルビル / 川上洋一『クルド人 もうひとつの中東問題』(集英社新書 149、2002年7月)
  • アルビール / 『改訂新版 世界大百科事典』「世界地図」(平凡社、2007年9月), pp.32-35
  • アルビール / 『世界地理大百科事典』アジア・オセアニア1(朝倉書店、2001年12月),p.83

地図系は、先にHaydarさんお調べの結果も加味し「アルビール」が「最も一般的に使われてる」表記といえそうです。この点と、マスコミの外来語表記をそのまま採用するのは疑問とのご指摘から「日本語版ウィキペディアのアラブおよびその他のイスラム系諸国関連の記事では、マスコミなどで使用される表記ではなく、なるべく原音に則し且つ専門書等で使用される表記が記事名となるのが慣例」と理解し、あまりいつまでも続けてお時間とらせるのも恐縮ですので、私の「アルビルへ賛成」との主張はここで取り下げたいと思います。Haydarさんには、多くの有意なご指摘・コメントをいただき、改めてお礼申し上げます。上の(2月23日 (木) 01:51 (UTC)の)私の質問には、お気が向いたときにでもコメントいただければ結構です。ありがとうございました。--ぽん吉 2012年2月23日 (木) 05:59 (UTC)[返信]

ぽん吉さん 早速の調査報告、大変お疲れ様です。自分も十分には調べられた訳ではなかったのですが(地理書や年代記の資料を調べた段階で力尽きた感じでしたので(汗)、百科事典系の世界地図でもおおよそ「アルビール」表記が優勢な感じなのですね。地図系の表記例はだいたい出揃ったかんじでしょうか。
さて、改名提案の節も色々長くなりましたが、正直言いますと自分は大分説明ベタな人間でして、はなはだ冗長で回りくどい文章に長々お付き合いさせてしまったかも知れず恐縮の限りです(汗 ぽん吉さんのご協力もあって今後の改名可否の判断に向けて有意義な議論に出来たかと思われ、こちらこそ重ね重ねお礼申し上げる次第です。二点のご質問につきましては、また別途コメントさせて頂ければと思います。こちらこそありがとうございました。今後議論をする折りにはまたよろしくお願いします。 --Haydar 2012年2月24日 (金) 15:04 (UTC)  タグで可否判断を撤回するときは、タグに取り消し線を付けてうしろに新たに賛否のタグを付ければ良いんでしたっけ?(汗 --Haydar 2012年2月24日 (金) 15:04 (UTC)[返信]
Haydarさんへ。一応私の分の賛成票に取り消し線つけておきました。時間空いてしまいましてすみません。今後ともよろしくお願いいたします。--ぽん吉 2012年2月25日 (土) 20:10 (UTC)[返信]