ネルグウィンステークス
ネルグウィンステークス(Nell Gwyn Stakes)は、イギリスのニューマーケット競馬場で行われる競馬の競走。1000ギニーの前哨戦として知られる。2014年の格付はG3。
ネルグウィンステークス Nell Gwyn Stakes | |
---|---|
開催国 | イギリス |
競馬場 |
ニューマーケット競馬場 ローリーマイルコース |
創設 | 1961年 |
2014年の情報 | |
距離 |
芝直線7ハロン (約1408メートル) |
格付け | G3[1] |
賞金 | 賞金総額6万ポンド[1] |
出走条件 | 3歳牝馬 |
負担重量 |
9ストーン (約57.15kg) ※G1・G2勝馬は3ポンド(約1.36Kg)加増 |
概要
[編集]ネルグウィンステークスは、ニューマーケット競馬場の春のクレイヴン開催で初日の競走として行われている重賞である[2]。
イギリスの平地競走のシーズンはじめの重賞競走で、その年のヨーロッパの3歳牝馬路線の一流馬が出走し、1000ギニーをはじめとするクラシック路線の前哨戦として知られる[2][3]。
そのため、ネルグウィンステークスの終了直後のニューマーケット競馬場では、1000ギニーの早売り馬券の倍率が大きく変動するのが恒例となっている[3]。
近年の傾向
[編集]歴代の優勝馬の中で最も特筆すべきは1984年のペブルス(Pebbles)と1985年のオーソーシャープである[2][3]。
ペブルスはネルグウィンSを勝った後、1000ギニーを制した。ペブルスは古馬になってエクリプスステークス、チャンピオンステークス、ブリーダーズカップ・ターフを制し、ヨーロッパ・アメリカでチャンピオンホースに選ばれた[2]。
オーソーシャープは1985年にネルグウィンステークスを勝った後、1000ギニー、オークス、セントレジャーステークスに勝って牝馬三冠を成し遂げた[2]。
近年では、1999年ヴァレンタインワルツ(Valentine Waltz、プール・デッセ・デ・プーリッシュ(フランス1000ギニー)優勝)2000年ペトルーシュカ(Petrushka、アイルランドオークス優勝)、2006年スペシオーサ(Speciosa、1000ギニー優勝)、といった馬がネルグウィンステークス優勝後にヨーロッパの3歳クラシック競走に優勝している。また、ネルグウィンステークス2着のスカイランタン(Sky Lantern)が後に1000ギニーに勝った。
歴史
[編集]ネルグウィンステークスは1961年に「スプリングフィリーズステークス(Spring Fillies' Stakes)」として創設された[3]。
翌1962年に「ネルグウィンステークス」に改称された[4][3]。
1970年のグループ制導入以来、G3に格付けされている。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催取りやめとなった。
競走名の由来
[編集]ネル・グウィン(1650-1687)は、大反乱時代に禁止されていた競馬を解禁し、ニューマーケット競馬場を再興したチャールズ2世の愛妾である[3]。
スポンサー
[編集]ネルグウィンステークスのスポンサーには、しばしばイギリスの有名な生産牧場が就いている[3]。
1980年代にはジャドモントファーム(Juddmonte Farms)、1991年から2007年にはシャドウェルスタッド(Shadwell Stud)がスポンサーになり、競走名にスポンサー冠がつけられて開催された[5]。
2008年から2010年には「レスリーハリソン記念ネルグウィンステークス(Leslie Harrison Memorial Nell Gwyn Stakes)」で行われ、2011年からはランドワーズスタッド(Lanwades Stud)がスポンサーとなっている[5]。
記録
[編集]2014年時点での記録。
最多勝騎手
[編集]- レスター・ピゴット - 5勝。1971年、1975年、1991年、1982年、1983年
最多勝調教師
[編集]- ヘンリー・セシル - 8勝。1973年、1979年、1980年、1981年、1982年、1985年、1987年、2013年
歴代勝馬
[編集]※*印は日本輸入馬。国際競走出走などの一時的なものも含む。
施行年 | 格付 | 優勝馬 | 備考 |
---|---|---|---|
1961 | Verbena | ||
1962 | West Side Story | ||
1963 | Amicable | ||
1964 | Alborada | ||
1965 | Gently | ||
1966 | Hiding Place | ||
1967 | Cranberry Sauce | ||
1968 | Abbie West | ||
1969 | Anchor | ||
1970 | Obelisk | ||
1971 | Super Honey | ||
1972 | Carezza | ||
1973 | G3 | Caspian | |
1974 | G3 | Angels Two | |
1975 | G3 | Rose Bowl | |
1976 | G3 | Flying Water | |
1977 | G3 | *フリーズザシークレット | 1000ギニー、オークスとも2着。繁殖牝馬として日本に輸入。 アーバンストリート、トウカイミステリーなど重賞勝馬の祖[6]。 |
1978 | G3 | Seraphima | |
1979 | G3 | One In A Million | |
1980 | G3 | Evita | |
1981 | G3 | Fairy Footsteps | |
1982 | G3 | Chalon | |
1983 | G3 | Favoridge | |
1984 | G3 | Pebbles | |
1985 | G3 | Oh So Sharp | |
1986 | G3 | Sonic Lady | |
1987 | G3 | Martha Stevens | |
1988 | G3 | Ghariba | |
1989 | G3 | Ensconse | |
1990 | G3 | Heart of Joy | |
1991 | G3 | Crystal Gazing | |
1992 | G3 | A-to-Z | |
1993 | G3 | Niche | |
1994 | G3 | Mehthaaf | |
1995 | G3 | Myself | |
1996 | G3 | Thrilling Day[7] | |
1997 | G3 | Reunion | |
1998 | G3 | Cloud Castle | |
1999 | G3 | Valentine Waltz | |
2000 | G3 | Petrushka | |
2001 | G3 | Lil's Jessy | |
2002 | G3 | Misterah | |
2003 | G3 | Khulood | |
2004 | G3 | Silca's Gift | |
2005 | G3 | Karen's Caper | |
2006 | G3 | Speciosa | |
2007 | G3 | Scarlet Runner | |
2008 | G3 | Infallible | |
2009 | G3 | Fantasia | |
2010 | G3 | Music Show | |
2011 | G3 | Barefoot Lady | |
2012 | G3 | Esentepe | |
2013 | G3 | Hot Snap | |
2014 | G3 | Sandiva | |
2015[8] | G3 | Osaila | |
2016[9] | G3 | Nathra | |
2017[10] | G3 | Daban | |
2018[11] | G3 | Soliloquy | |
2019[12] | G3 | Qabala | |
2021 | G3 | Sacred | |
2022 | G3 | Cachet | |
2023 | G3 | Mammas Girl | |
2024 | G3 | Pretty Crystal |
脚注
[編集]参考文献・出典
[編集]- FRIXO Fred Nell Gwyn Stakes2014年4月30日閲覧。
- HRUK Nell Gwyn Stakes2014年4月30日閲覧。
基礎情報
[編集]- IFHA(国際競馬統括機関連盟)HP Lanwades Stud Nell Gwyn S.2014年4月30日閲覧。
各回結果
[編集]- Galopp-Sieger Nell Gwyn Stakes2014年4月30日閲覧。
注釈・出典
[編集]- ^ a b 2014 International Cataloguing Standards Book2014年12月25日閲覧。
- ^ a b c d e HRUK ネルグウィンSの歴史2014年4月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g FRIXO Nell Gwyn Stakes Betting2014年4月30日閲覧。
- ^ グラスゴーヘラルド紙 1962年4月12日付 Impressive Galopps By Classics Filly2014年4月30日閲覧。
- ^ a b Galopp-Sieger Nell Gwyn Stakes2014年4月30日閲覧。
- ^ チャンピオンズファーム タイキクリスティーの牝系2014年4月14日閲覧。
- ^ オーストラリア産で1990年生まれのスリリングデイという日本輸入繁殖牝馬がいるが、これとは同名異馬である。
- ^ 2015年レース結果 - racingpost 2015年4月16日閲覧
- ^ 2016年レース結果 - racingpost 2016年4月15日閲覧
- ^ 2017年レース結果 - racingpost 2017年4月20日閲覧
- ^ 2018年レース結果 - racingpost 2018年4月19日閲覧
- ^ “2019年レース結果”. レーシングポスト (2019年4月16日). 2019年4月17日閲覧。
関連項目
[編集]- フレッドダーリンステークス - 本競走と並び、1000ギニーの重要な前哨戦。
- クレイヴンステークス - クレイヴン開催の目玉競走で、2000ギニーの前哨戦。
- ヨーロピアンフリーハンデキャップ - クレイヴン開催で行われる3歳戦で、2000ギニーの前哨戦。