ニューヨークのパークウェイ
ニューヨーク州のパークウェイの大部分は、公的機関および民間機関が所有するニューヨーク州全体の公園道路(パークウェイ)システムの一部であるが、そのほとんどはメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティにより維持管理されている。ハドソンバレーとロングアイランドには、州のシステムにはふくまれていない公園道路もある。州のパークウェイシステムの道路は、最初に建設された自動車専用道路の1つだった[1]。これらの道路は上下線が分離されておらず、横断は許可されていなかったが、交差する道路との平面交差点があった。民間資金により造られたロングアイランド・モーター・パークウェイの一部は、有料道路として運用を開始した最初の自動車専用道路であり、交差点をなくすために橋や高架を使用した最初の道路だった[2]。
個々の公園道路の構成は大きく異なっている。スプレイン・ブルック・パークウェイのように、構造的にはフリーウェイと同等であるのに対し、セブン・レイクス・ドライブのように、2車線の上下線非分離の一般道の形態のものもある。公園道路の大部分は、20世紀初頭に州の公園道路システムが最初に導入されたニューヨーク州南東部にある。
州の公園道路
[編集]州の公園道路システムは、ニューヨーク市近郊に景観の良い4車線道路を提供することを目的として始められた。このシステムの最初の区間は、1908年に供用開始された。初期に建設された道路の多くは、高速化要件を満たし通行量増加に対応するために、再設計され造りかえられた。ニューヨーク市北部にある後期に造られた区間では、広い中央分離帯があり、給油施設とトイレのあるサービスエリアも整備された[3]。1930年代に都市設計者のロバート・モーゼスが、ニューヨーク市エリアのパークウェイシステムを開発した[4]。
これらの公園道路の多くは、ロングアイランド・ステートパーク委員会 (LISPC)、ニューヨーク市公園局、タコニック・ステートパーク委員会 (TSPC)、ウェストチェスターカウンティ・パーク委員会 (WCPC)、パリセーズ州間公園委員会 (PIPC) などの地域機関によって建設された。現在これらのほとんどの道路は、所有機関に関係なく、ニューヨーク市外の部分はニューヨーク州交通局、ニューヨーク市内の部分はニューヨーク市運輸局によって維持管理されている。
今日、州の公園道路は、いくつかの例外を除いて、米国の他の地域で建設されているフリーウェイもしくは高速道路(エクスプレスウェイ)と同等の構造である[注釈 1]。例外のひとつめは、これらの道路の多くは、自動車用の道路を建設する経験を積む前に設計されたものであり、また、交通量の増加に対応して拡幅されたため、多くの公園道路には路肩がほとんどないことである。また、当初の道路の目的が、交通の効率ではなく景観に重点を置いていたため、多くの公園道路は曲がりくねっており、川に沿って建設されていることが多く、多くのカーブがある。最後に、ほとんどの場合、立体交差部には低い装飾的な石のアーチが使われており、商用車、トラック、トラクターのトレーラーは公園道路の通行を禁止されている[5]。マンハッタンを通過する州間高速道路は、マンハッタン島北部を東西に横切る州間高速道路95号線のみのため、ほぼすべてのトラックが一般道を通行している。
州の公園道路の一覧
[編集]その他のパークウェイ
[編集]ニューヨークの一部の地域には、州当局が所有・管理していないパークウェイが存在している。たとえば、ウェストチェスター郡には元々タコニックステートパーク委員会 (TSPC) とウェストチェスターカウンティパーク委員会 (WCPC) が管轄していた道路がある。また、サフォーク郡は、旧ロングアイランドモーターパークウェイ (LIMP) の一部を保全し、元々ロングアイランステートパーク委員会 (LISPC) が確保していた土地に独自の道路を建設した。サフォーク郡西部のロングアイランドモーターパークウェイの残りの部分は、ヴァンダービルトモーターパークウェイと名付けられ、自動車専用道路から一般道に変えられ、通行制限もなくなった。
その他のパークウェイ一覧
[編集]名称 | 供用開始年 | 地域 | 始点 | 終点 | 所有者 | 管理者 | |
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アーデン・ヴァレー・ロード(Arden Valley Road) | 1922 | ハドソンバレー | ハリマン州立公園 | ハリマン州立公園 | パリセーズ州間公園委員会 | パリセーズ州間公園委員会 | |
セントラル・ウェストチェスター・パークウェイ(Central Westchester Parkway) | ハドソンバレー | ホワイトプレインズ | ノースキャッスル | ウェストチェスター郡 | ウェストチェスター郡 | ||
ファラガット・パークウェイ(Farragut Parkway) | ハドソンバレー | ヘイスティングス・オン・ハドソン | ヘイスティングス・オン・ハドソン | ウェストチェスター郡 | ウェストチェスター郡 | ||
ファイア・アイランド・ビーチ・ロード(Fire Island Beach Road) | ロングアイランド | ファイアアイランド | ファイアアイランド | サフォーク郡 | サフォーク郡 | ||
メモリアル・パークウェイ(Memorial Parkway) | モホークヴァレー | ユーティカ | ユーティカ | ユーティカ | ユーティカ | ||
プレイランド・パークウェイ(Playland Parkway) | 1929 | ハドソンバレー | ハリソン | プレイランド | ウェストチェスター郡 | ウェストチェスター郡 | |
ティオラティ・ブルック・ロード(Tiorati Brook Road) | ハドソンバレー | ハリマン州立公園 | ベア・マウンテン州立公園 | パリセーズ州間公園委員会 | パリセーズ州間公園委員会 | ||
ヴァンダービルト・モーター・パークウェイ(Vanderbilt Motor Parkway) | ロングアイランド | メルヴィル | レイク・ロンコンコマ | サフォーク郡 | サフォーク郡 | ||
ウィリアム・フロイド・パークウェイ(William Floyd Parkway) | ロングアイランド | ファイアアイランド | ロッキーポイント | サフォーク郡 | サフォーク郡 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 道路標識の規格統一に関する手引 (MUTCD) の定義では、フリーウェイはアクセスが制御されている上下線分離道路、高速道路はアクセスが部分的に制御されている上下線分離道路、である。
出典
[編集]- ^ “Bronx River Parkway HISTORIC OVERVIEW”. July 6, 2022閲覧。
- ^ “Long Island (Vanderbilt) Motor Parkway HISTORIC OVERVIEW”. July 6, 2022閲覧。
- ^ “The Long Island Parkway System”. July 7, 2022閲覧。
- ^ “The World Beyond the Windshield: Roads and Landscapes in the United States and Europe”. p. 63. July 7, 2022閲覧。
- ^ “Got Stuck?”. July 7, 2022閲覧。
- ^ “Parkway Now Open”. July 7, 2022閲覧。
- ^ “Missing veterans honored on mountaintop”. March 18, 2010閲覧。
- ^ “Two Main Long Island Parkways to Be Linked at East Ends Today”. July 7, 2022閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- [1] - Official Description of Highway Touring Routes, Bicycle Touring Routes, Scenic Byways, & Commemorative/Memorial Designations in New York State