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ニォルド (海防戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ニォルド」の進水式
近代化改装後の「ニォルド」[1]

ニォルド (Niord) はスウェーデン海軍海防戦艦オーディン級。艦名となっているニォルドは北欧神話の神である[2]

イェーテボリのリンドホルメン造船所で建造[3]。1896年3月起工[3]。1898年3月30日進水[3]。進水式にはオスカル2世が臨席した[1]。1899年2月23日竣工[3]

基準排水量3328トン、満載排水量3720トン、全長86.3m、水線長84.78m、最大幅14,77m、計画吃水5.5m[3]。1番艦「オーディン」にはなかった舷窓がある[2]。1902年にはビルジキールが装着された[4]

主砲は42口径25.4cmM/94C型後装施条砲2門を単装砲塔2基に搭載した[3]。「オーディン」、「トール」のフランス製のものと異なり、このM/94C型砲は砲身粗材をイギリスから、設計図をフランスから入手してボフォース社が製造した[5]。射程は最大仰角10度で9950mであった[6]副砲はボフォース45口径12cmM/94型速射砲6門をケイスメイトに搭載した[7]。材質変更により装甲重量が削減できたことなどで、12cm砲の門数は「オーディン」より2門増やされた[5]。主砲副砲の他には、フィンスポング55口径57mmM/89B型砲10門、マキシム・ノルデンフェルト8mmM/95型機銃2挺を搭載[3]。また、艦首に45.7cmM/93型水中魚雷発射管1門を有する[8]。2隻の艦載艇は25mmM/84型機銃1挺を搭載した[9]。これは1906年に37mmM/98B型砲に換えられている[4]

主機は直立3気筒3段膨張蒸気往復動機関2基、主缶は円缶6基で出力5350指示馬力[3]。2軸推進で計画速力15ノット[3]。公試では15.5ノットを発揮した[3]。航続距離は10ノットで2500浬[3]

装甲厚は水線装甲帯が最大240mm、バーベット190mm、主砲前楯190mm、シタデル隔壁240mm、司令塔前面190mm、後面100mm[10]。水線装甲帯と砲塔の装甲はジョン・ブラウン社製のハーヴェイ鋼英語版であった[11]。ケイスメイトは91mmで甲板は12.4mm厚鋼板2枚に25mmの装甲鈑であった[12]

1922年以降、宿泊艦、海軍航空隊の母艦、失業船員用施設となった[3]。兵装は主砲のみとなったが、1939年にヴィッカース・テルニ39口径40mmM/22型対空砲4門を搭載した[13]。1944年に爆弾や機雷の実験に使用され、同年除籍[3]。1945年に解体された[3]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 『海防戦艦』121ページ
  2. ^ a b 『海防戦艦』116ページ
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『海防戦艦』123ページ
  4. ^ a b 『海防戦艦』122ページ
  5. ^ a b 『海防戦艦』117-118ページ
  6. ^ 『海防戦艦』118ページ
  7. ^ 『海防戦艦』118、123ページ
  8. ^ 『海防戦艦』123ページ、"The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", p. 16
  9. ^ 『海防戦艦』118ページ、"The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", p. 16
  10. ^ 『海防戦艦』117、123ページ
  11. ^ 『海防戦艦』117ページ、同書123ページでは装甲帯、主砲前楯、司令塔がジョン・ブラウン社製となっており、バーベットやシタデル隔壁の記載はない。
  12. ^ 『海防戦艦』116-117、123ページ
  13. ^ 『海防戦艦』122-123ページ

参考文献

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  • 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7
  • Daniel G Harris, "The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", Warship 1996, Conway Maritime Press, 1996, ISBN 0-85177-685-X, pp. 9-24