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ナンヨウブダイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナンヨウブダイ
ナンヨウブダイの成魚。
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 魚上綱 Pisciformes
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ブダイ科 Scaridae
: ハゲブダイ属 Chlorurus
: ナンヨウブダイ C.microrhinos
学名
C. microrhinos
(Bleeker, 1854)
和名
ナンヨウブダイ
英名
blunt-head parrotfish
steephead parrotfish

ナンヨウブダイC.microrhinos)は、スズキ目ベラ亜目ブダイ科の魚。サンゴ礁でみられる亜熱帯種である。体色は青色から緑色で、尾鰭は両端が糸状に伸長する。丈夫な歯で藻類をかじり取って食べ、夜は粘液を出し寝る。性転換を行う個体もいる。

分布

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日本国内では、静岡県和歌山県高知県柏島などで幼魚がみられる[2][3]北硫黄島などの小笠原諸島八丈島屋久島南大東島口永良部島琉球列島に分布 [3][1]

国外では、台湾南部と東部、福建省東沙諸島西沙諸島南沙諸島小スンダ列島を除くインドネシアオーストラリアニューカレドニアフランス領ポリネシアハワイ諸島イースター島を除く西・中央太平洋[2][3][1]インド洋最東端[4][1]

形態

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例として八重山諸島では雌において1歳で尾叉長が約10cm、2歳で約20cm、6歳以上で40cmを超える[2]

成魚は体が青~緑色で、頭部の頬に口から後方へはしる明るい青色帯がある。性転換に伴う色彩の変化はあまりないが、大型個体では吻部が絶壁状になり、尾鰭の上下両端が糸状に伸長する[2]。雄は老成すると頭部がこぶ状に発達する[3][2][4]。雌雄ともに海域による色彩変異があるようだ。

オニハゲブダイに似るが、ナンヨウブダイは眼の周辺に模様がなく、口元から頬にかけて青いラインがあり、体側上部と体側下部の色彩の濃淡の境目がある。アオブダイに似るが、ナンヨウブダイは尾鰭の上下両端が糸状に伸長する[3]

幼魚体側は全身が黒色が、4本のクリーム色の縦のラインがある。混泳してるブダイの中でも一際よく目立って見える[3]

生態

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サンゴ礁の外縁の潮通しのよい礁斜面や、岸壁、水路で普通にみられる[3][4]

夜間はサンゴの下や隙間に入って粘液の膜を張って寝る。これはウツボ類などからの捕食を防ぐためと考えられてきたが、寄生虫がつくことを防いでいる可能性もあることがわかってきた[2][4]

サンゴや岩に付着している藻類を食べる藻食性。糞はサンゴ礁の白い砂となる[4]

他の多くのベラ科ブダイ科同様、雌性先熟をする。

名称

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沖縄では、老成魚のこぶが玄翁(げんろう)で殴られた状態を連想させることから、ゲンノウイラブチャー、ゲンナーなどと呼ばれる[2]

利用

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沖縄では刺身汁物などとして食される[2]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c d Choat, J.H.; Carpenter, K.E.; Clements, K.D.; Rocha, L.A.; Russell, B.; Myers, R.; Lazuardi, M.E.; Muljadi, A. et al. (2012). Chlorurus microrhinos. IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T190728A17783512. doi:10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T190728A17783512.en. https://www.iucnredlist.org/species/190728/17783512 31 July 2023閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f g h 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館 〜精緻な写真と詳しい解説〜』小学館、2018年、340・341頁 ISBN 978-4-09-208311-0
  3. ^ a b c d e f g 加藤昌一『ネイチャーウオッチングガイドブック ベラ&ブダイ 日本で見られる192種+幼魚、成魚、雌雄、婚姻色のバリエーション』誠文堂新光社、2016年、268・269頁ISBN 978-4-416-51647-8
  4. ^ a b c d e 小林安雅『日本の海水魚と海岸動物図鑑 1719種』小学館、2014年、130頁 ISBN 978-4-416-61432-7