ドイッチュ限界
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ドイッチュ限界は、ビジュアルプログラミング言語の情報密度に関する警句である。起源はL・ピーター・ドイッチュによるもので、以下のような内容である。
- ビジュアルプログラミングの問題は、画面上にいちどに50を超えるビジュアルプリミティブを表示できないことである。[1]
この用語を作ったのはフレッド・レイキンである。ビジュアルプログラミングに関して行われたスコット・キムとワーレン・ロビネットの対談に対し、ドイッチュが以下のようにコメントしたことがもとになっている。
「 |
まあ、万事うまくいっているようだが、ビジュアルプログラミング言語の問題は、画面上にいちどに50を超えるビジュアルプリミティブを表示できないことだ。これでどうやってオペレーティングシステムを書くつもりだ?[1][2] |
」 |
ビジュアルプログラミング言語におけるプリミティブとは、プログラムを構成する独立した視覚的要素のことである。いちどに多くのプリミティブを表示できれば、プログラマにより多くの情報を提示できる。 ドイッチュ限界は、テキストが持つ情報密度の高さを明示し、ビジュアルプログラミング言語のスケーラビリティの低さという問題を提起している[3][4]。そのためドイッチュ限界は、テキストベースのプログラミング言語がビジュアルプログラミング言語より優れている点の例として引用されることがある[5]。
ドイッチュ限界に対する批判としては、テキストベースのプログラミング言語にも同様の限界が存在するかどうかが明確でないこと[1]や、テキストベースのプログラミング言語と同様にビジュアルプログラミングにもモジュールの考えかたを適用することで限界を克服できるのではといった点が挙げられる。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- ^ a b c McIntyre, David (10 March 1998). “Comp.Lang.Visual - Frequently-Asked Questions List”. www.faqs.org. 2020年8月1日閲覧。
- ^ Begel, A. (1996). LogoBlocks: A Graphical Programming Language for Interacting with the World. Cambridge, MA: MIT Media Lab. オリジナルの2016-03-03時点におけるアーカイブ。 2014年6月6日閲覧。.
- ^ Ullmer, Brygg; Ishii, Hiroshi. Emerging Frameworks for Tangible User Interfaces. オリジナルの2014-07-14時点におけるアーカイブ。 2020年8月1日閲覧。.
- ^ Ullmer, Brygg; Ishii, Hiroshi; Jacob, Robert J. K.. Token+Constraint Systems for Tangible Interaction with Digital Information.
- ^ “Rapid Prototyping for Pervasive Applications”. 2012年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月1日閲覧。
外部リンク
[編集]- "Patterns of Visual Programming" にある デイブ・パーソンズとマーク・クランショーによる解説
- リカルド・バエザ・イエーツによるビジュアルプログラミングに関する解説