トリス(2-アミノエチル)アミン
トリス(2-アミノエチル)アミン | |
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N1,N1-Bis(2-aminoethyl)ethane-1,2-diamine | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 4097-89-6 |
PubChem | 77731 |
ChemSpider | 70131 |
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特性 | |
化学式 | C6H18N4 |
モル質量 | 146.23 g mol−1 |
外観 | 無色液体 |
密度 | 0.976 g/mL (20 °C)[1] |
融点 |
-16 °C |
沸点 |
265 °C |
水への溶解度 | 混和 |
危険性 | |
GHSピクトグラム | [3] |
GHSシグナルワード | DANGER[3] |
Hフレーズ | H301, H310, H314[3] |
Pフレーズ | P270, P280, P301+330+331, P303+361+353, P304+340+310, P305+351+338[3] |
引火点 | 113 °C (235 °F; 386 K) [3] |
半数致死量 LD50 |
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特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
トリス(2-アミノエチル)アミン [Tris(2-aminoethyl)amine] は、化学式 N(CH2CH2NH2)3 で表される有機化合物である。
1つの第三級アミン中心に3つの第一級アミン鎖がぶらさがった構造をもち、塩基性が非常に強い無色の水溶性液体である。trenまたはTRENと略記される。ポリイミン網状構造の合成における架橋剤であり、配位化学における三脚型配位子である。
TrenはC3対称性を持つ四座配位子であり、遷移金属、特に酸化数が2+および3+の金属イオンと安定したキレート錯体を形成する。Trenの接続性は限られており、Tren錯体の異性体は比較的少数である。実際、[Co(tren)X2]+には立体異性体がなく、アキラルな単一の構造をとる[4]。ここに、Xはハロゲン化物イオンまたは疑似ハロゲン化物を表す。対照的に、trenをトリエチレンテトラミン(trien)に置換した錯体[Co(trien)X2]+の場合、5つのジアステレオマーが存在し、そのうち4つはキラルである。Trenが三座配位子として機能し、第一級アミノ基の1つが配位しない場合もある。
Trenは、より一般的に用いられるトリエチレンテトラミンに不純物として混入することが多い。
Trenを、三官能性アミンとしてCOCl2で誘導体化すると、トリイソシアネートを形成する。これは、アルデヒドと縮合してイミンを与える[5]。
Nメチル化誘導体
[編集]Trenの完全メチル化誘導体 (permethylated derivative) は、化学式 N(CH2CH2NMe2)3 を持つ。"Me6tren"はさまざまな錯体を形成するが、Trenとは異なり、コバルト(III)を安定化しない。関連するN(CH2CH2PPh2)3 (m.p. 101-102 °C) のようなアミノ-トリホスフィン類も良く開発されている。この化合物はナイトロジェンマスタード (N(CH2CH2Cl)3)から調製される[6]。
N,N,N-トリメチルtren, N(CH2CH2NHMe)3 も得られる[7]。
危険性
[編集]他のポリアミンと同様に腐食性がある[2]。皮膚への重度の化学熱傷、眼の損傷、吸入による呼吸器損傷、経皮および経口毒性などの危険性がある。半数致死量は経口 (ラット) で246 mg/kg、経皮 (ウサギ) で117 mg/kg[2]。可燃性[3]。
脚注
[編集]- ^ Tris(2-aminoethyl)amine, Sigma-Aldrich
- ^ a b c “Safety data for tris(2-aminoethyl)amine”. The Physical and Theoretical Chemistry Laboratory Oxford University. 20110118時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g “Safety Data Sheet”. Sigma-Aldrich (July 1, 2014). April 7, 2019閲覧。
- ^ House, Donald A. (2006-03-15). Ammonia & N-Donor Ligands. Encyclopedia of Inorganic Chemistry. John Wiley & Sons, Ltd. doi:10.1002/0470862106.ia009
- ^ Schoustra, Sybren K.; Dijksman, Joshua A.; Zuilhof, Han; Smulders, Maarten M. J. (2021). “Molecular control over vitrimer-like mechanics – tuneable dynamic motifs based on the Hammett equation in polyimine materials”. Chemical Science 12: 293–302 .
- ^ Morassi, R.; Sacconi, L.; Mcauliffe, C. A.; Levason, W. (2007-01-05). Basolo, Fred. ed. Tetradentate Tripod Ligands Containing Nitrogen, Sulfur, Phosphorus, and Arsenic as Donor Atoms. Inorganic Syntheses. John Wiley & Sons, Inc.. pp. 174–180. doi:10.1002/9780470132470.ch47. ISBN 978-0-470-13247-0
- ^ Schmidt, H.; Lensink, C.; Xi, S. K.; Verkade, J. G. (1989). “New Prophosphatranes: Novel intermediates to five-coordinate phosphatranes”. Zeitschrift für Anorganische und Allgemeine Chemie 578: 75–80. doi:10.1002/zaac.19895780109.