ディオロケトゥス
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ディオロケトゥス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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Diorocetus hiatus の若い個体の頭蓋骨化石
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
約2043万年前[1] - 約1160.8万年前[2] バーディガリアン初頭 - サーラバリアン末期 (新生代新第三紀中新世中葉) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Diorocetus Kellogg, 1968 [5] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ディオロケトゥス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
下位分類(種) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ディオロケトゥス(学名:Diorocetus)は、約2043万年前から約1160.8万年前にかけて(新生代新第三紀中新世中葉)の大西洋や太平洋に棲息していた化石クジラ類 (cf.) の1属。鯨偶蹄目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ上科ディオロケトゥス科[4]に分類される。
化石は、アメリカ合衆国東海岸(メリーランド州、バージニア州)、日本、ドイツから発見されている[2]。
名称
[編集]学名
[編集]学名の言語的由来については情報を確認できない。ただ、cetus は「クジラ」を意味しており、古典ラテン語で「大型の海洋動物(クジラ、サメなど)」を意味する "cētus(日本語音写例: ケートゥス)" から来ている。
和名
[編集]"cetus" の読みについて日本語は表記揺れ・言葉の揺らぎが激しく、一つに絞ることはできない。古典ラテン語発音準拠であれば「ケトゥス」であるが、古典ラテン語発音準拠形の日本語転訛形「ケトス[注 1]」、ラテン語発音と英語発音のちゃんぽん形「ケタス[8]」、そして、英語発音準拠の「セタス」がある。したがって、本属の和名は定義文で示した4種類がある。
分類
[編集]上位分類
[編集]ディオロケトゥス科には、ディオロケトゥス属のみが分類されている。同科は、ディオロケトゥス属を収めるための新しい科として、デンマークの古生物学者メッテ・エルストルップ・ステーマン (Mette Elstrup Steeman) によって2007年に提唱された[3]。
下位分類
[編集]- Genus Diorocetus Kellogg, 1968 | ディオロケトゥス属
- 地質年代:20.43 - 11.608 Ma(約2043万年前 - 約1160.8万年前)。
- →詳細は「チチブクジラ」を参照
- Diorocetus hiatus Kellogg, 1968 [5] | 和名:ディオロケトゥス・ヒアトゥス
- タイプ種[5]。
- 地質年代:15.97 - 13.65 Ma(約1597万年前 - 約1365万年前)。
- アメリカ合衆国東海岸にあるチェサピーク層群カルバート層のメリーランド州域の地層およびバージニア州域の地層から産出した。
- 地質年代:20.43 - 15.97 Ma(約2043万年前 - 約1597万年前)。
- 化石は広島県庄原市の備北層群(Bihoku Group. 三次市域と庄原市域に分布する中新統)から1982年(昭和57年)8月に発見された。
- ドイツ産出の未同定種
論文
[編集]記載論文
[編集]- Kellogg, A.R. (1968). “A hitherto unrecognized Calvert cetothere”. Bulletin - United States National Museum (United States National Museum) 247 (6): 133-161 .
- Yoshida, K.; Kimura, T.; Hasegawa, Y. (2003). “New cetothere (Cetacea: Mysticeti) from the Miocene Chichibumachi Group, Japan”. Bulletin of the Saitama Museum of Natural History (Saitama Museum of Natural History) 20-21: 1-10.
- Steeman, M.E. (02 August 2007). “Cladistic analysis and a revised classification of fossil and recent mysticetes”. Zoological Journal of the Linnean Society 150 (4): 875-894. doi:10.1111/j.1096-3642.2007.00313.x .
- 記載された科:Diorocetidae Steeman, 2007
- Otsuka, H.; Ota, Y. (2008). “Cetotheres from the early Middle Miocene Bihoku Group in Shobara District, Hiroshima Prefecture, West Japan”. Miscellaneous Reports of the Hiwa Museum for Natural History 49 (2): 1-66 .
- 記載された種:Diorocetus shobarensis Otsuka et Ota, 2008
- Hampe, O.; Ritsche, I. (2011). “Bie Bartenwalfauna (Cetacea: Mysticeti: Balaenomorpha) aus dem Luneburgium (Serravallium, Mittelmiozan) von Freetz bei Sittensen (Niedersachsen, Deutschland)” (Deutsche). Zeitschrift für Geologische Wissenschaften (Verlag für Geowissenschaften Berlin) 39 (2): 83-110 .
- 未整理のドイツ産出種
他の研究論文
[編集]- 木村敏之、長谷川善和、大澤仁、上田隆人、山岡隆信「広島県庄原市の中新統備北層群より産出したヒゲクジラ類化石」『群馬県立自然史博物館研究報告』第14巻、群馬県立自然史博物館、2010年、29-36頁。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ "Homo erectus(ホモ・エレクトス)" と同様の訛り。
- ^ Brachiosaurus を「ブラチオサウルス」と呼ばないのと同じく、ラテン語に準拠する限りは "chichibuensis" を「チチブエンシス」とは読まない。ただ、現地語発音を知らない限り読みようの無い現地語準拠を主張する人は研究者も含めて一定数いるのであり、「チチブエンシス」の読みを否定する規約もまた無い。
- ^ cf. 古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群
出典
[編集]- ^ Fossilworks D. chichibuensis.
- ^ a b Fossilworks.
- ^ a b c Steeman, 2007.
- ^ a b c Fossilworks Diorocetidae.
- ^ a b c d e Kellogg, 1968.
- ^ a b Yoshida et al., 2003.
- ^ a b Otsuka et Ota, 2008.
- ^ 木村ら (2010), p. 34.
- ^ a b c d “秩父の大地に眠る太古の海の物語”. ジオパーク秩父. 秩父まるごとジオパーク推進協議会事務局. 2021年5月25日閲覧。
- ^ 「埼玉県立自然の博物館、新たにクジラ化石展示」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2018年1月26日。2021年5月25日閲覧。
- ^ a b 川畑仁志「古秩父湾堆積層と海棲哺乳類化石群が天然記念物に複合指定へ」『産経ニュース』産業経済新聞社、2015年11月21日。2021年5月25日閲覧。
- ^ “ようばけ”. ジオパーク秩父. 秩父まるごとジオパーク推進協議会事務局. 2021年5月25日閲覧。
- ^ “庄原産クジラ、世界で未発見の3新種が報告される”. 庄原化石集談会. 2021年5月20日閲覧。
- ^ “博物館の紹介”. 庄原市. 2021年5月20日閲覧。※博物館の展示物として生態復元像がある。
- ^ a b “Tongrube Wienerberger (Miocene of Germany)”. Fossilworks. 2021年5月20日閲覧。
- ^ “Tongrube Wienerberger, Lower Saxony, Germany”. Mindat.org. Hudson Institute of Mineralogy. 2021年5月20日閲覧。
関連項目
[編集]- 1968年の古生物学 - 本属が記載された年における古生物学上の事象。
- レミントン・ケロッグ - 本属の記載者。動物学者。スミソニアン博物館所属。
- 本属が生存した地質年代 - バーディガリアン、ランギアン、サーラバリアン。
- 本属の棲息が確認された水域 - 大西洋、太平洋。
- 絶滅した動物一覧
外部リンク
[編集]- “Family Diorocetidae Steeman 2007 (whale)”. Fossilworks. John Alroy. 2021年5月22日閲覧。
- “†Diorocetus Kellogg 1968 (whale)”. 2021年5月20日閲覧。
- “†Diorocetus chichibuensis Yoshida et al. 2003 (whale)”. 2021年5月20日閲覧。
- “†Diorocetus hiatus Kellogg 1968 (whale)”. 2021年5月20日閲覧。
- “†Diorocetus shobarensis Otsuka and Ota 2008 (whale)”. 2021年5月20日閲覧。
- “†Diorocetus Kellogg 1968 (whale)”. 2021年5月20日閲覧。
- “Diorocetus Kellogg, 1968”. 地球規模生物多様性情報機構 (GBIF). 2021年5月20日閲覧。
- “Diorocetus †”. Interim Register of Marine and Nonmarine Genera (IRMNG). 2021年5月20日閲覧。 - 海洋属及び非海洋属の暫定登録簿。
- “Diorocetus †”. Mindat.org. Hudson Institute of Mineralogy. 2021年5月20日閲覧。
- Mika Itoh (2013年9月5日作成、2017年7月16日更新). “クジラに会える!庄原が海だった時代を感じられる、比和自然科学博物館”. 広島ニュース 食べタインジャー. ダイヤモンドライフ合同会社. 2021年5月25日閲覧。■博物館の展示物の映像(YouTube動画)もあり。