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テンジクダイ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンジクダイ科
イトヒキテンジクダイ Zoramia leptacantha
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: テンジクダイ科 Apogonidae
下位分類
本文参照

テンジクダイ科Apogonidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群の一つ。4亜科40属で構成され、テンジクダイネンブツダイなど沿岸付近に生息する海水魚を中心に354種が含まれる[1]

概要

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テンジクダイ科には40属354種が記載されている。太平洋インド洋大西洋など世界中の温暖な海に分布し、沿岸域の岩礁やサンゴ礁で暮らす仲間が多い。テンジクダイ属の一部が淡水汽水域に進出するほか、Glossamia 属の9種はニューギニア島オーストラリアに分布する純粋な淡水魚である。日本近海には、26属98種が分布する[1][2]

最大種の体長は20cmほどで、多くは10cm未満の小型魚類である。日本で底引き網によって漁獲されるテンジクダイ Jaydia lineata (Indian perch) やマトイシモチ J. carinata (Ocellate cardinalfish) など[2]一部の種類を除き、食用として利用されることは少ない。マンジュウイシモチ Sphaeramia nematopteraイトヒキテンジクダイ Zoramia leptacantha など、特徴的な体型・体色により観賞魚として知られる仲間もあるが、そのほとんどが、知られておらず地味な存在である。日本人の釣り人にとって馴染み深いネンブツダイはこの種に入る。

ほとんどの種類は夜行性である。親魚が受精卵孵化するまで口にくわえて保護する、いわゆるマウスブルーダーの魚類が多い。卵の保護は雄が行うことが多いが、種類によっては雌が担当する場合もあると推測されている[3]

形態

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テンジクダイ科魚類は一般に左右に平たく側扁し、種類によってはやや細長い体をもつ。背鰭は2つで、互いの間隔は離れている。第1背鰭は6-8本の棘条のみ、第2背鰭は1本の棘条と8-14本の軟条で構成される。 Paxtoninae 亜科の Paxton 属のみ、例外的に連続した単一の背鰭をもつ。臀鰭の棘条は2本で、軟条は8-18本。は櫛鱗であることが多いが、円鱗をもつグループもある。鰓条骨は7本で、椎骨は24個。

ヒカリイシモチ属の仲間は腹部に発光器官をもち、生物発光を行う。比較的深い海域に生息するコミナトテンジクダイ属の1種(Apogon gularis)は、肛門の位置が他の仲間とは異なり、腹鰭の基部のすぐ後ろに開口する。

分類

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カスミヤライイシモチ Cheilodipterus artus (ヤライイシモチ属)。尾柄部の斑紋は、本科魚類の同定に際し重要な形質となる
マンジュウイシモチ Sphaeramia nematoptera (マンジュウイシモチ属)。特徴的な体色をもち、識別が容易な種類
プテラポゴン・カウデルニィーPterapogon kauderniPterapogon 属)。東南アジア熱帯域に分布する種類で、和名「アマノガワテンジクダイ」と呼ばれる。観賞魚としての人気が高い

テンジクダイ科はオニイシモチ亜科・コミナトテンジクダイ亜科・ヌメリテンジクダイ亜科・ Paxtoninae 亜科の4亜科の下に、40属354種が記載される[1][3]。かつて本科に含まれていたヤセムツの仲間は、25個の椎骨をもつなどの形態の相違に基づき、現在では独立のヤセムツ科 Epigonidae として分類されている[4]

オニイシモチ亜科

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オニイシモチ亜科 Amioidinae は2属2種で構成される。日本近海からはオニイシモチ1種のみが知られている。

コミナトテンジクダイ亜科

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コミナトテンジクダイ亜科 Apogoninae は14族34属260種で構成される。多くの種類が、口の中で卵を孵化させる、口内保育(マウスブルーディング)の習性をもつ。

Paxtoninae 亜科

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Paxtoninae 亜科は1属1種を含む。連続した単一の背びれをもつ。日本近海からの報告はない。

ヌメリテンジクダイ亜科

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ヌメリテンジクダイ亜科 Pseudamiinae は1属7種を含み、日本近海からは5種が知られる。

出典・脚注

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  1. ^ a b c 馬渕浩司, 林公義, Thomas H. Fraser「テンジクダイ科の新分類体系にもとづく亜科・族・属の標準和名の提唱」『魚類学雑誌』第62巻第1号、日本魚類学会、2015年、29-49頁、doi:10.11369/jji.62.292022年12月12日閲覧 
  2. ^ a b 日本の海水魚, p. 288-307.
  3. ^ a b 『Fishes of the World Fourth Edition』 p.356
  4. ^ 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.356-357

参考文献

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  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
  • 岡村収, 尼岡邦夫, 大方洋二『日本の海水魚山と溪谷社〈山渓カラー名鑑〉、1997年。ISBN 4635090272全国書誌番号:98080057https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002668927-00 
  • 上野輝彌, 坂本一男『魚の分類の図鑑 : 世界の魚の種類を考える』(新版)東海大学出版会、2005年。ISBN 9784486017004NCID BA73083997全国書誌番号:20856189https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007855860-00 

外部リンク

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