テルミノカヴス
このページ名「テルミノカヴス」は暫定的なものです。(2020年6月) |
テルミノカヴス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ホロタイプの頭頂骨
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中生代白亜紀後期 74.6 Ma ↓ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Terminocavus Fowler and Freedman, 2020 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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テルミノカヴス(学名:Terminocavus)は、後期白亜紀の北アメリカ大陸に生息していたケラトプス類の属の一つ。テルミノカヴス・セアレイ(Terminocavus sealeyi)一種のみを内包する。単一の頭頂骨とそれに関連する数個の断片で知られる。ホロタイプは1997年にニューメキシコ州のカートランド累層で発見され、2020年の研究論文でナヴァホケラトプスと共に記載された。解剖学的にはペンタケラトプスやアンキケラトプスに類似していたが、非常に狭い切れ込みを持つ特徴的なハート型の頭頂骨フリルを持っていた。他の数種のカスモサウルス亜科と共にある系統群を形成しているのではないかと考えられている。
発見と命名
[編集]ホロタイプNMMNH P-27468 は、1997年に採集された。頭頂骨(または癒合した頭頂骨)、他の頭骨断片、断片的な仙椎、および脊椎の断片で構成される。ニューメキシコ州サンフアン盆地のカンパニアン階にあたるカートランド累層ハンターウォッシュ部層のグレーシルトストーンの堆積物から発見された。ハンターウォッシュ部層中層から上層において、既知の中で唯一のカスモサウルス亜科の発見例である。年齢は不明である。フリルの状態から若い亜成体でのように思われるが、体格が大きく、縁頭頂骨が融合していることは成体である事を示唆している[1]。
2005年のアブストラクトでは、この標本はペンタケラトプス属に属すとされているが、ペンタケラトプスとしては異常であると指摘されている[1]。ジョシュア・フライは2015年の修士論文で、他のペンタケラトプス標本と共にグループ化することができなかったことから、その記載に疑問を呈した[2]。2016年に非公式に独自の属として命名された[3]。その後の2020年、デンヴァー・ファウラーとエリザベス・フリードマンによってテルミノカヴスと正式に命名された。属名は「洞の終わりの到来」を意味し、これは頭頂骨の切れ込みが閉鎖し始めて狭くなりつつある段階である事にちなんでおり、より派生的な後のタクサではこの切れ込みが完全に閉鎖されている。種小名セアレイ(sealeyi)はホロタイプを発見したポール・シーリー (Paul Sealey) への献名である。この標本をペンタケラトプスの新種としなかった事は、ペンタケラトプスの側系統群化を防ぐために決定されたものである[1]。
ほぼ完全だが非常に歪んだ頭骨 PMU 23923 も恐らく本種に含まれる。この標本もカートランド累層産であり、チャールズ・ヘイゼリアス・スタンバーグが1921年に発見した。1930年に新種ペンタケラトプス・フェネストラトゥス Pentaceratops fenestratus と名付けられたが、後の研究者によってその特徴は病変の産物であるとされた。しばしばペンタケラトプス・ステルンベルギのシノニムと考えられていたが、ファウラーとフリードマンは、頭頂骨の深く狭い中央部の切れ込みと広い面積から、ナヴァホケラトプスまたはテルミノカヴスのいずれかに属している可能性が高いと結論づけた。しかし標本は歪んでいるため、どちらかを断定することは不可能である[1]。
記載
[編集]テルミノカヴスの既知の要素は限られているが、ハート形の頭頂骨の解剖学的構造によってペンタケラトプスやアンキケラトプスなどの近縁属と区別される。初期のタクサの顕著な中央溝(フリルの上部中央にある大きな切れ込み)は著しく縮小されており、幅広なU字型とは対照的に非常に狭くなっている。テルミノカヴスの頭頂骨バーは、より初期の近縁属に比べて細く、非常に幅広である。それは棒状というよりも板状である。正中バーも拡大し、祖先系のナヴァホケラトプスよりも顕著なフランジが備わっている。頭頂骨窓(フリルの穴)は、祖先の角ばった状態よりも丸みを帯びた形状をしており、頭頂バーと正中バーが拡張されているため小さくなっている。全体的に、ペンタケラトプスのようなより基盤的な属の形質とアンキケラトプスやトリケラトプス族のようなより派生的な属の形質の中間的な形質である[1]。
多くの他のカスモサウルス亜科のように、その融合した一対の頭頂骨は、6つの縁頭頂骨を持ち、左右に3つずつ対称的に配置されている。最初のペアは小さく三角型で、中央の溝の上部の端から突き出ており、実際には互いに接触していると思われる。 2番目のペアはより大きな三角形のセットだが、3番目の縁頭頂骨は丸いD字形をしている。両方とも上向きに突出し、他の縁頭頂骨に沿って傾斜している。保存された右鱗状骨自体は長く、成体のテルミノカヴスは近縁属と同様に非常に大きなフリルを持っていることを示している。ホロタイプからは、単一の癒合した縁鱗状骨骨も知られている。しわがあり、他のケラトプス類と区別可能な形質はない。左の縁頬骨も知られており、方形頬骨に融合している。頑丈で大きいが、ペンタケラトプスとは異なり特に長くはない[1]。
テルミノカヴスの既知の化石はユタケラトプスやペンタケラトプスより僅かに小さく、ほぼ成体サイズの個体であると思われる[1]。
分類
[編集]テルミノカヴスはカスモサウルス亜科のメンバーである。ファウラーとフリードマン(2020)は、カスモサウルス亜科を「カスモサウルスの系統」と「ペンタケラトプスの系統およびより派生的なタクサ」に大別できるとした。 テルミノカヴスは後者に内包される。系統解析では比較的派生的とされ、アンキケラトプスよりも 基板的でナヴァホケラトプスよりも派生的であるとされた。しかしながらこの樹形図は確実性が低く、いくつかの分類群を分析から外すと、ペンタケラトプスの系統の多くが不明の多分岐になって崩壊した。またペンタケラトプスとカスモサウルスのデータには、複数種の標本が含まれている可能性があるため、ソフトコーディングの見直しが必要であると指摘された。
いくつかの分類群は、テルミノカヴスの記載研究に含められるにはあまりにも最近命名されたものであり、それらを分析に含めることでもその位置が変わる可能性があった。ファウラーら(2020)の分析の一つを以下に掲載する。
カスモサウルス亜科 |
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テルミノカヴスは、カスモサウルスの長い漸次進化系統の一部であることが提案された。ユタケラトプス、ペンタケラトプス、ナヴァホケラトプス、テルミノカヴス、アンキケラトプスは、このモデルでは、多様な近縁種の集合体としての単系統群ではなく、時間の経過とともに進化して形を変えていった祖先と子孫の関係を表す単系統群を示している。このことは、彼らの頭頂部の形態が一貫した変化の傾向を示していることからも明らかである。すなわち、最初は大きかった内側の窪みが徐々に閉じていくこと、頭頂骨の外縁が平らになり拡大すること、頭頂骨バーが小さくなること、角張った形から丸い形へと変化すること、頭頂骨バーにフランジができることなどである。幾何学的形態分析では、これらが予想された順序でプロットされており、この進化順序を支持している。しかし、上述の系統分析では、コアフイラケラトプスおよび「ブラヴォケラトプス」の二属が、想定された原始的な系統の中にプロットされており、問題は複雑であった。しかしこれらはそれぞれ断片的なものであり、診断不能であるため、重要な意味を持たない可能性が指摘されている[1]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h Fowler, D.W.; Freedman Fowler, E.A. (2020). “Transitional evolutionary forms in chasmosaurine ceratopsid dinosaurs: evidence from the Campanian of New Mexico”. PeerJ 8: e9251. doi:10.7717/peerj.9251.
- ^ Fry, Joshua J. (2015). “Redescription Of A Specimen Of Pentaceratops (Ornithischia: Ceratopsidae) And Phylogenetic Evaluation Of FiveReferred Specimens From The Upper Cretaceous Of New Mexico”. Masters Theses 45 .
- ^ Denver Warwick Fowler (April 2016). “Dinosaurs and time: chronostratigraphic frameworks and their utility in analysis of dinosaur paleobiology”. scholarworks.montana.edu. 17 February 2019閲覧。