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テトラフルオロホウ酸ベンゼンジアゾニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テトラフルオロホウ酸ベンゼンジアゾニウム
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識別情報
CAS登録番号 369-57-3
PubChem 5284485
特性
化学式 C6H5BF4N2
モル質量 191.92 g mol−1
外観 無色結晶
密度 1.565 g/cm3
融点

分解

沸点

分解

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テトラフルオロホウ酸ベンゼンジアゾニウム(Benzenediazonium tetrafluoroborate)は、化学式BF[C6H5N2]BF4有機化合物である。ジアゾニウムカチオンとテトラフルオロホウ酸である。無色の固体で、極性溶媒に可溶である。アリルジアゾニウム化合物の親物質として[1]有機化学において広く用いられる。

合成

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塩酸の存在下で、アニリンジアゾ化する。

C6H5NH2 + HNO2 + HCl → [C6H5N2]Cl + 2 H2O

テトラフルオロホウ酸を用いた複分解により、粗塩化ベンゼンジアゾニウムからテトラフルオロホウ酸塩が得られる。

[C6H5N2]Cl + HBF4 → [C6H5N2]BF4 + HCl

テトラフルオロホウ酸塩は、塩化物よりも安定である[2]

性質

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ジアゾ基(N2)は、様々な他のアニオン基に置換され、多様な置換フェニル誘導体を与える。

C6H5N2+ + Nu → C6H5Nu + N2

これらの転換は、シーマン反応ザンドマイヤー反応ゴンバーグ・バックマン反応等を含む多くの人名反応と関連している。ジアゾ基と置換しうる広範な官能基には、SH-、CO2H-、OH-等がある。ジアゾカップリング反応は、染料産業において、かなりの実用的価値を持つ。

フェニルジアゾニウム塩とアニリンの反応で、1,3-ジフェニルトリアゼンが生じる[3]

塩の構造は、X線結晶構造解析で確認された。N-N結合長は、1.083(3) Aである[4]

安全性

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塩化物塩は爆発性があるのに対し[5]、テトラフルオロホウ酸塩は単離されやすい。

出典

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  1. ^ March, J. (1992). Advanced Organic Chemistry (4th ed.). New York: J. Wiley and Sons. ISBN 0-471-60180-2 
  2. ^ Flood, D. T. (1933). “Fluorobenzene”. Org. Synth. 13: 46. doi:10.15227/orgsyn.013.0046. 
  3. ^ Hartman, W. W.; Dickey, J. B. (1934). “Diazoaminobenzene”. Organic Syntheses 14: 24. doi:10.15227/orgsyn.014.0024. 
  4. ^ Cygler, Miroslaw; Przybylska, Maria; Elofson, Richard Macleod (1982). “The Crystal Structure of Benzenediazonium Tetrafluoroborate, C6H5N2+•BF41”. Canadian Journal of Chemistry 60 (22): 2852–2855. doi:10.1139/v82-407. 
  5. ^ Nesmajanow, A. N. (1932). "β-Naphthylmercuric chloride". Organic Syntheses (英語). 12: 54.; Collective Volume, vol. 2, p. 432