コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

チリ硝石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チリ硝石
分類 硝酸塩鉱物
シュツルンツ分類 5.NA.05
Dana Classification 18.1.1.1
化学式 NaNO3
結晶系 三方晶系
モース硬度 2
光沢 ガラス光沢
無色白色
条痕 白色
比重 2.3
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示

チリ硝石(チリしょうせき、Chile saltpeter[4]Chilean nitrate[4]nitratine[5])は、硝酸塩鉱物の一種。化学組成はNaNO3硝酸ナトリウム)、結晶系三方晶系ソーダ硝石ともいう。

産出地

[編集]

日本では、栃木県に産する[5]。同地で産する大谷石の表面にごく少量生成しているといわれる[6]

チリ硝石の生成原因には海藻の分解説、グアノ起源説、動植物の遺体のバクテリアによる分解説、根粒菌のような土壌微生物による大気中の窒素固定説などさまざまな説があり、確定していない[7]

性質・特徴

[編集]

用途・加工法

[編集]

当初は火薬、その後は肥料の製造。

サイド・ストーリー

[編集]

19世紀に発見されたチリ硝石は、ヨーロッパ輸出されるようになった。この発見により、有機物を積み上げて造る硝石家内制手工業的な生産は衰退した。20世紀初頭の輸出量は年間200万トンを超える規模となり、硝石資源の枯渇も予測されるようになったことから、様々なアンモニアの人工合成法が模索されるようになった。この動きは、ハーバー・ボッシュ法の発明へ結びついていく[8]

チリにおける硝石生産は1930年代をピークに衰退し、タラパカ地方の生産地のハンバーストーン、サンタ・ラウラは、1960年代には200以上もの硝石工場跡を残したままゴーストタウン化した。2005年、これら廃工場群は世界遺産ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群)として登録された[9]

脚注

[編集]
  1. ^ 国立天文台編 編「おもな鉱物」『理科年表 平成20年』丸善、2007年、641頁。ISBN 978-4-621-07902-7 
  2. ^ Nitratine (英語), MinDat.org, 2012年7月18日閲覧
  3. ^ Nitratine (英語), WebMineral.com, 2012年7月18日閲覧
  4. ^ a b 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、162頁。ISBN 4-8181-8401-2 
  5. ^ a b 松原聰宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年、90頁。ISBN 978-4-486-03157-4 
  6. ^ 江本義理「大谷寺磨崖仏に発生する「いわしお」について」『保存科学』第2巻、東京文化財研究所、1966年3月30日、39-43頁。 
  7. ^ 地球環境に附加される自然起源と人為起源の窒素化合物
  8. ^ 廣田鋼藏「アンモニア合成法の成功と第一次世界大戦の勃発」『現代化学』、東京化学同人、1975年。オリジナルの2006年2月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20060213022737/tky.3web.ne.jp/~ashigal/ww1/topic/nh3g.html2012年7月8日閲覧 
  9. ^ チリのシブい廃工場!世界遺産ハンバーストーンとサンタ・ラウラ硝石工場群”. スカイチケット (2019年2月3日). 2019年7月3日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
  • 福岡正人、鉱物リスト 広島大学大学院総合科学研究科 地球資源論研究室(2012-07-18)
  • 田口賢士、西村ミチコ、「チリ硝石産業と硝石輸送の時代背景[3]:火薬と人工硝石」 らん:纜(53)、34-40、2001-09-30、NAID 110003866742