コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

テルピネオール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ターピネオールから転送)
α-テルピネオール
識別情報
CAS登録番号 98-55-5 チェック, 138-87-4, 586-81-2, 562-74-3
PubChem α: 17100β: 8748γ: 114674-: 11230
ChemSpider α: 13850142 チェック
β: 8418
γ: 10983
4-: 10756
UNII 21334LVV8W チェック, 5PH9U7XEWS
EC番号 202-680-6
KEGG C17517
C17073
ChEBI
ChEMBL CHEMBL507795 ×
バイルシュタイン 2325137
特性
化学式 C10H18O
モル質量 154.25 g mol−1
外観 Colorless liquid[1]
密度 0.93 g/cm3[1]
融点

-35.9 ~ -28.2℃ [1](異性体混合物)

沸点

214 ~ 217℃ [1](異性体混合物)

への溶解度 2.42 g/L[1]
磁化率 −111.9·10−6 cm3/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
NFPA 704
1
2
0
引火点 88 °C (190 °F; 361 K) [1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テルピネオール (terpineol) は天然に存在するモノテルペンアルコールの一種で、カユプテ油 (cajuput oil)、松根油 (pine oil)、プチグレン油 (petitgrain oil) などから得られる[2]月桂樹ローズマリーアニスマジョラムなどやアキギリ属ビャクシン属植物の精油、およびテレビン油の成分でもある。ウコン精油には 500 ppmナツメグ種子には 9600 ppm 程度含まれる。

ライラックに似た芳香を持ち、香料化粧品石鹸などへの添加物として使われる。

ヒドロキシ基二重結合の位置が異なる4種類の異性体、α、β、γ、δ-テルピネオールが知られる。普通はこれらの混合物として存在するが、主成分はα-テルピネオールであり、単にテルピネオールといった場合はこれを指す。α-テルピネオールは松根油(pine oil)から単離される。 メンタン骨格上に二重結合とヒドロキシ基をひとつずつ持つ他の位置異性体化合物として、プレゴールピペリトールが知られる。

製造

[編集]

天然に存在するが、工業的にはより容易に得られるα-ピネン加水分解することによって製造される。この反応は19世紀から知られている[3]

ピネンからのテルピネオール合成

ゲラニオールまたはネロールを環化させることによっても得られる。

ラセミ体の製造法として以下の反応が知られる。イソプレンアクリル酸のメチルエステルとディールス・アルダー反応させ、生成したシクロヘキセン誘導体にグリニャール試薬の一種であるメチルマグネシウムブロミド (CH3MgBr) を作用させるとテルピネオールが得られる[4]

イソプレンとアクリル酸メチルからのテルピネオール合成
イソプレンとアクリル酸メチルからのテルピネオール合成

原料として d-リモネンを用い、(R)-(+)-α-テルピネオールを選択的に合成する方法が報告されている[5]

リモネンからのテルピネオール合成
リモネンからのテルピネオール合成

まずリモネンをトリフルオロ酢酸と反応させ、マルコフニコフ型の付加物を得る。生成したトリフルオロ酢酸エステルを水酸化ナトリウムで加水分解すると、テルピネオールを与える。この反応ではβ-テルピネオールとγ-テルピネオールが副生し、α-異性体の選択性は76%である。

関連法規

[編集]

参考文献

[編集]
  1. ^ a b c d e f Record 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース
  2. ^ Merck Index, 11th Edition, 9103.
  3. ^ Bedoukian, P. Z. (1967). "Terpineol" in Perfumery and Flavoring Synthetics. Amsterdam: Elsevier, pp. 328–343.
  4. ^ Inukai, T.; Kasai, M. (1965). "Diels-Alder reactions of acrylic acid derivatives catalyzed by aluminum chloride." J. Org. Chem. 30: 3567–3569. doi:10.1021/jo01021a508.
  5. ^ Yuasa, Y.; Yuasa, Y. (2006). "A practical synthesis of d-α-terpineol via Markovnikov addition of d-limonene using trifluoroacetic acid." Org. Process Res. Dev. 10: 1231–1232. doi:10.1021/op068012d.

関連項目

[編集]