タコノマクラ目
タコノマクラ目 | |||||||||||||||||||||||||||
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タコノマクラ Clypeaster japonicus
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Clypeasteroida A. Agassiz, 1872[1] Clypeasterina von Zittel, 1879[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
タコノマクラ目[2] タコノマクラ亜目[2] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
sea biscuits[3] | |||||||||||||||||||||||||||
科 | |||||||||||||||||||||||||||
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タコノマクラ目(タコノマクラもく、Clypeasteroida)は、ウニ綱に分類される目。
分布
[編集]全世界の浅海域から深海域にかけて[4]。日本近海にはタコノマクラ属Clypeasterのみ分布する[4][5]。
形態
[編集]殻は扁平な円盤形で、殻板背面の孔対に花紋が形成される[3][5]。カシパン類に似るが、花紋部が全板と半板で構成されることや[4]、センベイウニ類を除いて殻に膨らみがあること、耳状骨が2対となる点で区別できる[5]。生殖孔はセンベイウニ類では4個、タコノマクラ属では5個ある[4]。
分類
[編集]不正形類の1グループであり、現生群はタコノマクラ亜目Clypeasterinaのみで構成される[1]。以前はカシパン類をカシパン亜目Laganina[6]あるいはヨウミャクカシパン亜目Scutellinaとして含めていたが[2]、遺伝子解析により本目とは異なる系統とされ、独立したカシパン目Scutellinaとして分割する意見もある[5]。またWorld Echinoidea Database (2023) では、カシパン類をScutelloida亜目としてマンジュウウニ目Echinolampadoida・アメリカマンジュウウニ目CassiduloidaとともにEchinolampadacea目にまとめている[1][7]。
現生科はタコノマクラ科のみで、ほかに2つの絶滅科が知られている[1]。現生科としてセンベイウニ科Archnoididaeを認める説もあるが[2][4][5]、World Echinoidea Database (2023) ではタコノマクラ科に含めている[1]。
以下の分類は、World Echinoidea Database (2023) に従う(†は絶滅群)[1]。和名がある種については、望月ほか (2008)・田中ほか (2019) に従って掲載した[4][5]。
- タコノマクラ科 Clypeasteridae
- (科) Fossulasteridae†
- (科) Scutellinoididae†
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センベイウニArachnoides placenta
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ヒメタコノマクラClypeaster reticulatus
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ヒメタコノマクラの殻(反口側・口側)
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シーサーノマクラClypeaster telurus
生態
[編集]砂泥に潜って生活し、有機物や微生物を食べる[3]。
人間との関係
[編集]英名はsea biscuitsで、殻の形状に由来する[3]。和名の「タコノマクラ」は、江戸時代にはヒトデ類やクモヒトデ類、カシパン類を指す呼称として使われており、本目の構成種には使用されていなかった[8]。その後1883年にカリブ海産のClypeaster subdepressusに対して使用され、1890年以降は日本産のC. japonicusの和名として定着している[8]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g Kroh, A.; Mooi, R. (2023). World Echinoidea Database. Accessed at https://www.marinespecies.org/echinoidea on 2023-04-25. doi:10.14284/355.
- ^ a b c d 金沢謙一「18章 ウニの進化史」、本川達雄 編著『ウニ学』東海大学出版会、2009年、392-439頁。
- ^ a b c d 金沢謙一「16章 カシパンとブンブクの生物学」、本川達雄 編著『ウニ学』東海大学出版会、2009年、339-367頁。
- ^ a b c d e f 望月秀人・武藤慎太郎・吉郷英範・太田悠造「琉球列島浅海域のマメウニ科を除くタコノマクラ目(棘皮動物門:ウニ綱) 付;琉球列島産ブンブク目に関する追記」『比和科学博物館研究報告』第49号、比和町立科学博物館、2008年、77–101頁。
- ^ a b c d e f 田中颯・大作晃一・幸塚久典「タコノマクラ目」「カシパン目」『ウニハンドブック』文一総合出版、2019年、82-107頁。
- ^ 「分類表」、白山義久 編『無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)〈バイオディバーシティ・シリーズ 5〉』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2000年、264-274頁。
- ^ Mongiardino Koch, N.; Coppard, S. E.; Lessios, H. A.; Briggs, D. E. G.; Mooi, R.; Rouse, G. W. (2018). A phylogenomic resolution of the sea urchin tree of life. BMC Evolutionary Biology. 18(1).
- ^ a b 磯野直秀「タコノマクラ考:ウニやヒトデの古名」『慶應義塾大学日吉紀要・自然科学』第39号、慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会、2006年、53-79頁。