ソール・ライター
ソール・ライター Saul Leiter | |
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2008年5月26日、ニューヨークにて。 | |
生誕 |
1923年12月3日 アメリカ合衆国・ペンシルベニア州ピッツバーグ |
死没 |
2013年11月26日(89歳没) アメリカ合衆国・ニューヨーク州ニューヨーク |
職業 | 写真家・画家 |
ソール・ライター(Saul Leiter、1923年12月3日 - 2013年11月26日)は、アメリカ合衆国の写真家・画家。1940年代と1950年代の初期作品は、のちに「“ニューヨーク派”写真」と認識されるものに重要な貢献をした[1][2][3]:259。
来歴
[編集]ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれる[4]。父親は著名なタルムード学者で、ソールはラビを目指して学んだ。母親は彼が12歳の頃に最初のカメラを与えた[5][4]。1946年、22-23歳で神学校を去り、アーティストを志してニューヨークに移った[6][1][7]。当初は絵画に関心を持ち、抽象表現主義の画家リチャード・パウセット=ダートと出会う幸運に恵まれた[6][1]。
パウセット=ダートとユージン・スミスはライターに写真を撮る事を勧めた。彼はすぐに数枚のスミスの写真を参考に35mmライカで白黒写真を撮り始めた。1948年には、カラー写真を撮り始める[5][4][1]。ロバート・フランクやダイアン・アーバスなどの写真家と交流するようになり、1940年代と1950年代、ジェーン・リビングストンの呼ぶ「“ニューヨーク派”写真家たち」が形づくられる助けとなった[3]:259。
続く20年間はファッションカメラマンとして働き、『Show』、『ELLE』、『英国版ヴォーグ』、『Queen』、『Nova』などの雑誌に掲載された[8]。1950年代後半、アートディレクターのヘンリー・ウルフは『エスクァイア』や後に『ハーパーズ バザー』でライターのカラー作品を紹介した[8][1]。
1953年、エドワード・スタイケンはニューヨーク近代美術館の「Always the Young Stranger」展にライターの白黒写真を加えた[4]。ライターの作品はジェーン・リビングストンの本『The New York School』(1992年)[3]や、マーティン・ハリスンの『Appearances: Fashion Photography since 1945』(1991年)で特集された[8]。2008年、パリのアンリ・カルティエ=ブレッソン財団は、ヨーロッパで初めてのライターの展覧会を[8]、展覧会カタログを伴って開催した。
2012年、トーマス・リーチはライターをテーマとした長編ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』を製作・監督した[9][8][1]。またライターはセカンド・ステート・プロダクションの2015年のドキュメンタリー映画『Tracing Outlines』でも取り上げられている。
『Saul Leiter Early Color』(2006年)の編者で著者のマーティン・ハリスンは「ライターの感受性は…ロバート・フランクやウィリアム・クラインといった写真家が関連づけられる、都会の不安との赤裸々な対峙の外側に自分を置いた。その代わりカメラは彼に、見て、事象を切り取り、現実を解釈する別の方法を与えた。彼はマンハッタンの大混乱の中で静かな人間らしい瞬間を捜し、最もありそうもない状況からユニークな都会の田園詩を創り出した。」と書いた[10]。
出版物
[編集]- 『Early Color』 序説 マーティン・ハリスン
- ゲッティンゲン: シュタイデル、2006年 ISBN 978-3865211392
- ゲッティンゲン: シュタイデル、2013年 ISBN 978-3869303529
- 『Saul Leiter』
- パリ: Delpire、2007年 Photo Poche series
- ロンドン: テームズ・アンド・ハドソン、2008年 ISBN 978-0500410974 Photofile series
- 『Early Black and White』
- ゲッティンゲン: シュタイデル、2008年
- ゲッティンゲン: シュタイデル、Howard Greenberg Gallery 2014年 ISBN 978-3865214133 2巻箱入り版。マックス・コズロフ著、ハワード・グリーンバーグ、ボブ・シャミス編、マーギット・アーブ協力、ジェーン・リビングストンによる解説付き。
- 『Saul Leiter』 ゲッティンゲン: シュタイデル、2008年 ISBN 9783865216625 アニエス・シールによる序文
- 『Photographs and Works on Paper』 アントワープ: Fifty One Publication、2011年 展示会カタログ ISBN 9789081772501
- 『Here's more, why not?』 アントワープ: Fifty One Publication、2013年 ISBN 978-9081772518
- 『Painted Nudes』 ロンドン: Sylph、2015年 ISBN 978-1909631069
- 『All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて』ソール・ライター、京都: 青幻舎、2017年 ISBN 978-4861526169
- 『永遠のソール・ライター』 ソール・ライター財団、東京: 小学館、2020年 ISBN 978-4096823255
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “見どころ | ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展 | Bunkamura”. www.bunkamura.co.jp. 2020年9月13日閲覧。
- ^ FUSOSHA (2017年6月9日). “伝説の写真家、ソール・ライターとは?”. Numero TOKYO. 2020年9月13日閲覧。
- ^ a b c Jane Livingston, The New York School: Photographs 1936–1963 (New York: Stewart, Tabori & Chang, 1992; ISBN 1-55670-239-6).
- ^ a b c d ソール・ライターのすべて 2017, p. 304.
- ^ a b Sire, Agnès. Saul Leiter, Steidl Publishers, Göttingen, Germany 2008.
- ^ a b ソール・ライターのすべて 2017, pp. 283, 304.
- ^ “ソール・ライターのこと | ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター | Bunkamura”. www.bunkamura.co.jp. 2020年10月4日閲覧。
- ^ a b c d e f ソール・ライターのすべて 2017, p. 305.
- ^ O'Hagan, Sean (29 November 2013). “Saul Leiter obituary”. ガーディアン. 8 December 2013閲覧。
- ^ Harrison, Martin. Saul Leiter Early Color.
- ^ Gemma Padley (2013年11月27日). “Photographer Saul Leiter has died”. British Journal of Photography. 2017年4月21日閲覧。
参考文献
[編集]- ソール・ライター『All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて』(第4刷)青幻舎、2017年5月15日。ISBN 9784861526169。
外部リンク
[編集]- ディーン・ブライアリーによる2009年のインタビュー - Photographers Speak
- 1950-60年台の写真作品、モノクロとカラー合計18点 lensculture.com
- In No Great Hurry - トーマス・リーチ監督作品。ソール・ライターを主題にした長編ドキュメンタリー映画
- アーティスト紹介ページ ハワード・グリーンバーグ・ギャラリー