W・G・ゼーバルト
W・G・ゼーバルト(W.G.Sebald)ことウィンフリート・ゲオルク・ゼーバルト(Winfried Georg Sebald、1944年5月18日 - 2001年12月14日)は、ドイツ出身の小説家。写真やイラストなどを組み合わせた、小説とも随筆とも言えるような独特の散文作品で知られる。
若くしてイギリスに移住したが、創作は一貫して19世紀の古典を意識したドイツ語で行った。本名はヴィンフリート・ゲオルク・マクシミリアン・ゼーバルト(Winfried Georg Maximilian Sebald)だが、響きがドイツ的過ぎるとしてイギリスではマックス(Max)の通称を用い、筆名としてW・G・ゼーバルトを用いた。
経歴
[編集]ドイツのアルゴイ地方ヴェルタッハに生まれる。ゲオルク、ローサ・ゼーバルトの三人の子どもの真ん中。姉と弟がいる。ドイツのフライブルク、フランス語圏スイス、イギリスのマンチェスターでドイツ文学を学んだ後、1966年にマンチェスター大学の講師に赴任。1年ほどドイツ語圏スイスのザンクト・ガレンに戻り高校教師を務めたのち同大学に戻り、以後イギリスに定住。1970年よりノリッジにあるイースト・アングリア大学の文学部講師となり、1988年にドイツ文学正教授に着任した。また1975年にはドイツのミュンヘンでゲーテ・インスティテュートの講師を務めた。
散文作品としては『目眩まし』(1990年)、『移民たち』(1992年)、『土星の環』(1995年)、『アウステルリッツ』(2001年)の4編がある。ベルリン文学賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞、全米批評家協会賞などを受賞している。2001年の12月14日、ノリッジで車を運転中に心筋梗塞を起こし、交通事故により57歳で死去した[1]。
日本語訳
[編集]- アウステルリッツ(2003/7/25)ISBN 4560047677
- ゼーバルト・コレクション
- 移民たち-四つの長い物語(2005/9/30)ISBN 4560027293 連作短篇集
- 目眩まし(2005/11/25)ISBN 4560027307 連作短篇集
- 土星の環-イギリス行脚(2007/8/1)ISBN 4560027315 長篇/紀行文
- 空襲と文学(2008/9/29)ISBN 978-4560027325、講義録/文学論・戦争論(邦訳は、表題作の論考とアルフレート・アンデルシュ論、ジャン・アメリー論、ペーター・ヴァイス論からなる。ゼーバルトは、アメリーとヴァイスに自分の「魂の近縁者たち」を見ていただろう(鈴木仁子)[2])
- カンポ・サント(2011/3/30)ISBN 978-4560027332 紀行文(連作化の途上で絶筆)/文学論/随筆等雑纂(没後刊行)
- [改訳]アウステルリッツ (2012/6/23) ISBN 978-4560027349 長篇
- 鄙の宿(2014/3/25)ISBN 978-4560027738 文学論
脚注
[編集]- ^ W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』鈴木仁子訳 白水社 2003 (ISBN 4560047677) 288頁。
- ^ W・G・ゼーバルト『ゼーバルト・コレクション 空襲と文学』鈴木仁子訳 白水社 2008 (ISBN 978-4-560-02732-5) 185頁。