セスナ サイテーション I
サイテーション I / I/SP
- 用途:ビジネスジェット
- 製造者:セスナ・エアクラフト・カンパニー
- 初飛行:1969年9月15日 (ファンジェット 500)
- 生産数:689[1]
- 生産開始:1969年
- 派生型:セスナ サイテーション II
セスナ 500 サイテーション I は、カンザス州ウィチタのセスナ・エアクラフト・カンパニーが生産する小型のビジネスジェットであり、ターボファンを動力とする最初のモデルである。サイテーション I は、セスナ サイテーションシリーズの基盤となった。サイテーション I/SPは、パイロットを一人にした派生機である。
設計と開発
[編集]ファンジェット 500
[編集]1968年10月、セスナは、ライバルとは異なり、既存のビジネスジェット市場ではなく、より小規模な飛行場での運用に向く、小型から中型の双発ターボプロップ機市場で競争することを目的に、8座席のビジネスジェットを生産する計画を発表した。プロトタイプ機の初飛行は1年も経たない1969年9月15日に行われ、その後ファンジェット 500と名付けられた。[2]
500 サイテーション
[編集]予定よりも長くかかった飛行試験計画の最中、サイテーション 500という名前が試行的に付けられ、いくつかの設計変更が行われた。その後、完成した航空機はサイテーション (モデル 500) という名前でお披露目され、1971年9月にFAA (連邦航空局) の型式証明を受けた。この機は、T-37 ツイートという双発のジェット練習機での経験を踏まえて、2基のプラット・アンド・ホイットニー製JT15D-1ターボファンエンジンを動力にしている[3]。
ターボジェットの代わりにターボファンを、後退翼の代わりに直線翼を用いたことで、他のビジネスジェットに比べてスピードは遅くなった。そのため、リアジェットの営業マンは、後方からのバードストライクに弱い「Nearjet」と馬鹿にした。セスナはサラブレッドにちなんでサイテーションと改名したが、「Slowtation」とのあだ名が付けられた[3]。
500 サイテーション I
[編集]1976年、市場の圧力を受けて複数の改良が加えられた。その改良には、翼を13.4mから14.4mへ伸ばしたこと[4]や、最大総重量の増加、より短い滑走路に降りられる逆推力装置などがある。これらの改良と共に、サイテーション I という名前が付けられた[2]。モデル 500の生産が1985年に終了するまでに、377機が生産された[5]。
501 サイテーション I/SP
[編集]サイテーション I は、リアジェットと同様に2人の乗員を必要としていた。しかしサイテーションは、パイロット1人で飛行できる双発ターボプロップ機と市場で競合するため、パイロットが2人必要という規制に市場拡大を邪魔されていた。
セスナの解決策は、モデル 501 サイテーション I/SPであった。この機はパイロット1人で操縦できる認証を受けており、SPはSingle-Pilotの頭文字である。最初の機体は1977年前半に引き渡され、1985年に生産が終了するまでに312機が生産された[2][6]。
運用者
[編集]民間運用者
[編集]- フライダイレクト (FlyDirect)
軍
[編集]事故
[編集]- 1979年8月2日、ニューヨーク・ヤンキースの捕手、サーマン・マンソンは、自分のサイテーション I/SPでタッチアンドゴーを練習している際に墜落し死亡した[8]。
スペック (サイテーション I)
[編集]出典: Jane's Civil and Military Aircraft Upgrades 1994-95 [9]
諸元
- 乗員: 2人 (I/SPは1人)
- 定員: 最大7人[10]
- 全長: 13.26m (43 ft 6 in)
- 全高: 4.37m (14 ft 3 in)
- 翼幅: 14.35m(47 ft 1 in)
- 翼面積: 25.9m2 (278.5 ft2)
- 空虚重量: 3,008 kg (6,631 lb)
- 最大離陸重量: 5,375 kg (11,850 lb)
- 動力: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ JT15D-1B ターボファン、9.77 kN (2,200 lbf) × 2
性能
- 最大速度: マッハ 0.705 (高度 8,530 m 以上で)
- 巡航速度: 662 km/h (357 ノット) (高度 10,670 m で)
- 失速速度: 152 km/h (82 ノット)
- 航続距離: 2,459 km (1,328 海里) (残燃料45分、最大燃料搭載、 積載 709 kg)
- 実用上昇限度: 12,495 m (41,000 ft)
- 上昇率: 13.8 m/s (2,719 ft/min)
関連項目
[編集]関連する開発
出典
[編集]- ^ “500-Series Technical Review”. Textron Aviation (April 28, 2015). March 4, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月27日閲覧。
- ^ a b c “Cessna 500 & 501 Citation, Citation I & Citation I/SP”. Airliners.net. 2017年8月27日閲覧。
- ^ a b William Garvey (Feb 10, 2017). “Can A Cessna Succeed The G450?”. Aviation Week & Space Technology
- ^ Taylor, J.W.R. (editor) Jane's All the World's Aircraft 1976-77. London: Macdonald and Jane's, 1976. ISBN 0-354-00538-3, p.275.
- ^ Citation I info from Aviation Safety Network
- ^ Citation I/SP info from Aviation Safety Network
- ^ Flores, Santiago A. "From Cavalry to Close Air Support". Air International. May 2001, Vol. 60, No. 5, ISSN 0306-5634, p. 301.
- ^ NTSB Thurman Munson accident brief
- ^ Michell, Simon. Jane's Civil and Military Upgrades 1994-95. Coulsdon, Surrey UK:Jane's Information Group, 1994. ISBN 0-7106-1208-7. p.300-301.
- ^ "Cessna Citation I Cabin", JetAdvisors. (2017年8月27日閲覧).