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セグレの多重複素数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学における多重複素数(たじゅうふくそすう、: Multi­complex numbern は、Segre (1892) が導入した、各自然数0 を含む) n に対して定義される超複素数系の系列で、それぞれは 2n-次元の可換結合多元環を成す。

定義

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再帰的

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多重複素数環 n は、初期値 0 から再帰的に構成することができる。

n ≥ 1 のとき、n−1 がすでに得られているものとして、新たな虚数単位inn−1i2
n
= −1
および他の虚数単位 i1, …, in−1 と可換なるものとして導入し、 と置く。

直截的

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n ≥ 1 に対し、 1 および inn−1 の任意の数と可換、また span(1, in) ∉ n−1(特に inn−1)とする。

関係式 n = {x + yin  |  (x, y) ∈ n−12}代数のテンソル積を用いて n = n−1 span(1, in) と書き直せる。さらに言えば、条件 i2
n
= −1
から span(1, in) ≅ ℂ であり、nn−1 と書いてもよい。 はテンソル積 単位元であって、空積を対応付けることができる。まとめると

代数的性質

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  • 各階 n において成分数は倍化し、0 上一次元であるから、n 上の次元が 2n である。
  • nバナッハ代数を成す。
  • n ≥ 2 に対し、可換環 n零因子を持つ: なんとなれば
    • 二つの自然数が ab のとき、iaib ≠ 0 かつ ia + ib ≠ 0 だが (iaib)(ia + ib) = i2
      a
      i2
      b
      = 0
      を満たす;
    • 二つの自然数が ab のとき、ia⋅ib − 1 ≠ 0 かつ ia⋅ib + 1 ≠ 0 だが (ia⋅ib − 1)(ia⋅ib + 1) = i2
      a
      i2
      b
      − 1 = 0
      を満たす。

部分環

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  • n ≥ 1 に対し、0, …, n−1 は何れも n の部分環である。
  • kn に対し、nk2nk-次元である。
  • n ≥ 1 に対し、各虚数単位 iki2
    k
    = −1
    を満足するから、n複素数平面n 個のコピーを含む。
  • n ≥ 2 および ab に対し、数 ja,bia⋅ib = ib⋅iaja,b2 = 1 を満たすから、nn(n−1)/2 個の分解型複素数平面を含む。

系列の最初のほうの代数

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小さい n に対してはよく知られた代数も含まれる:

  • 0実数体;
  • 1複素数体;
  • 2 双複素数環;
  • 3 を三重複素数環 (tri­complex numbers) と呼ぶ。以降も同様。

関連項目

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参考文献

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  • (イタリア語) Segre, Corrado (1892), “The real representation of complex elements and hyperalgebraic entities”, Mathematische Annalen 40 
  • (英語) Price, G. Baley (1991), An Introduction to Multicomplex Spaces and Functions, New York: Marcel Dekker