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スーパーマリン シーガル (初代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オーストラリアリッチモンド基地で撮影されたオーストラリア空軍のシーガル Mk III(1928年)

オーストラリアリッチモンド基地で撮影されたオーストラリア空軍のシーガル Mk III(1928年)

スーパーマリン シーガル英語: Supermarine Seagull)は、イギリススーパーマリンが製造した複葉飛行艇スーパーマリン シール英語版の派生型であり、同様に水陸両用機としての運用が可能であった。

開発

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1921年、スーパーマリン シールIIの改造により、後にシーガル Mk Iとして知られる試作型が製造された。エンジンにネイピア ライオンIIを採用し、ナセルを変更した機体は、1機のみが製造された。

1922年にはネイピア ライオンIIIをエンジンとした量産型シーガル Mk IIが生産に入り、25機が空軍省イギリス海軍に納入された。Mk IIには、後に改修された機体も存在している。

1925年、オーストラリア向けにシーガル Mk IIIが開発された。これはMk IIのエンジンをネイピア ライオンVに変更、ラジエーターを熱帯向けに調整した機体となった。6機がオーストラリア空軍に、1機が日本に輸出された。

シーガル Mk IIにハンドレページ式の前縁スロット英語版を設け、双尾翼式に改造された機体が1928年に出現した。これは、スーパーマリン公式の分類ではないが、俗にシーガル Mk IVとみなされた。また、3機のシーガル Mk IIが民間機として登録された。

1930年、同規模・同配置であるが、まだ主流とはなっていなかった金属製の機体を有し、ブリストル ジュピターIXをエンジンとしたプッシャー式飛行艇の開発が開始された。シーガルVとして知られた機体は、1933年に初飛行を遂げた。これが、後のスーパーマリン ウォーラスである。

運用

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1923年4月1日の再編に伴い、5月1日イギリスの空母イーグルに編成された第440艦隊偵察飛行隊に配備され、観測機として運用された。従来この任務は、3個飛行隊に配備されたパーナル パンサーによって行われていた[1]。イーグルは、フェアリー フライキャッチャー(第402飛行隊)、ブラックバーン ブラックバーン(第422飛行隊)、ブラックバーン ダート(第460飛行隊)と第440飛行隊の4個飛行隊を有していたが、1個飛行隊は地上運用に充てられていた[2]。1925年、イギリス初のカタパルトによる発艦を記録した飛行艇となった。

イギリス海軍のシーガル Mk IIは、フェアリー IIID英語版によって1925年1月に更新された。

1926年6月、6機のシーガル Mk IIIを導入したオーストラリア空軍ではフェアリー IIIDを更新し、第101飛行隊英語版ポイント・クック英語版ウィリアムズ空軍基地英語版で編成、8月に第101飛行隊は、リッチモンド英語版空軍基地英語版へ移動した[3]。1927年まで、写真偵察機としてモーズビー英語版を支援し、グレート・バリア・リーフの調査に用いられた[4][3]。1927年1月にイギリスから購入した中古機3機を追加し、ニューギニアまで調査範囲を拡大した。1929年には6機が水上機母艦アルバトロスの飛行隊として編成され、1933年にアルバトロスが予備役となるまで続いた[5]。1934年には重巡洋艦キャンベラオーストラリアに配備された[5]。オーストラリアでの運用はシーガルVによって更新され、1936年3月3日のキャンベラと陸上からの運用が最後となった。

機体

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機体は木造で、断面は楕円形。これに浮力を持つ底部と昇降段が二段取り付けられていた。下翼は高翼式の構造を有しており、翼間支柱は3組の2ベイ複葉機、上翼中央にナセルを吊り下げ、4翅式のプロペラを駆動した。武装はルイス軽機関銃 1挺、典型的な乗員はパイロット、無線手、観測手の3人であった。

運用者

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現存する機体

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要目(シーガル Mk III)

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出典: [3]

諸元

性能

  • 最大速度: 174km/h (94kt)
  • 実用上昇限度: 2789m (9150ft)
  • 上昇率: (454.5ft/m)
  • *最大飛行時間 4.5時間

武装

お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

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  1. ^ Sturtivant 1984, p.467
  2. ^ Brown 1973, p.254.
  3. ^ a b c d Supermarine Seagull III”. オーストラリア空軍. 2017年1月8日閲覧。
  4. ^ Brown 1972, p.27.
  5. ^ a b Supermarine Seagull III”. Fleet Air Arm Association. 2017年1月8日閲覧。
  6. ^ Supermarine Seagull”. Solent Sky. December 15, 2012閲覧。
  7. ^ Supermarine Seagull V”. Royal Air Force Museum. October 30, 2015閲覧。

参考文献

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  • Andrews, C.F.; Morgan E.B. (1987). Supermarine Aircraft since 1914. London: Putnam. ISBN 0-85177-800-3 
  • Brown, David. "Supermarine Walrus I & Seagull V Variants". Aircraft in Profile, Volume 11. Windsor, Berkshire, UK: Profile Publications Ltd., 1972.
  • Kightly, James and Wallsgrove, Roger. Supermarine Walrus & Stranraer. Sandomierz, Poland/Redbourn, UK: Mushroom Model Publications, 2004. ISBN 83-917178-9-5.
  • Shelton, John (2008). Schneider Trophy to Spitfire - The Design Career of R.J. Mitchell (Hardback). Sparkford: Hayes Publishing. ISBN 978-1-84425-530-6 
  • Thetford, Owen. British Naval Aircraft Since 1912. London: Putnam, 1982 (5th ed.) ISBN 0 370 30021 1
  • Ray Sturtivant: The Squadrons of the Fleet Air Arm, Air-Britain Tonbridge, 1984, ISBN 0-85130-120-7
  • David Brown: HMS Eagle, Warship Profile 35, 1973
  • Kenneth Munson: Flugboote und Wasserflugzeuge seit 1910, Orell Füssli; Zürich, 1972
  • Neville Doyle; from Sea Eagle to Flamingo - Channel Island Airlines 1923-1939, Upton-upon-Severn 1991, ISBN 1-85421-103-X
  • Peter London: British Flying Boats, The History Press, Stroud 2003, ISBN 978-0-7524-6055-0

外部リンク

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