スンバラ
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スンバラ(SombalaまたはSoumbala)は西アフリカのサバンナ地帯で広く利用されている調味料。豆を煮て発酵させたものである。原料としてはヒロハフサマメノキ(アフリカイナゴマメ、Parkia biglobosa、またはParkia filicoidea)が主に使用される[1][2]が、他の種子を原料として使用することもある[3]。
スンバラはジュラ語[4]などでの呼び方であり、モシ語ではカールゴ[4]、セネガルのウォロフ語ではネテトゥ、ナイジェリアのハウサ語などではダワダワなどの名称で呼ばれる。
製法としては、ヒロハフサマメノキの固い種子を長時間煮込んだうえで皮を取り除き、葉を敷き詰めてその上に種子を置き、その上を葉やむしろなどで覆って乾燥させ[1][5]、枯草菌で発酵させることで完成となる[5]。
スンバラは水に溶いて使用することが多く、スープの味付けのベースとして欠かせないものであり、その使用法からスンバラ味噌などと呼ばれることもある[4]が、味噌とは異なり塩を全く含んでおらず[4]、製法的にはむしろ納豆の系譜に属するものであり[6]、日本の大徳寺納豆に匂いや風味が似ていると評される[7]ように、強い臭いを持つ[3]。スープのベースとしての利用のほか、主食に付けるための各種ソースの味付けにも利用される[8]。
スンバラは西アフリカ各国の料理には欠かせないものだが、近年ではヒロハフサマメノキではなく、より入手の簡単なダイズからスンバラを作ることも行われるようになり、ダイズ製のスンバラは工業化されてスープキューブとして市販されるようになっている[9]。
出典・脚注
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出典
[編集]- ^ a b 「サバンナの博物誌」p38 川田順造 ちくま文庫 1991年5月28日第1刷
- ^ 「マメな豆の話」p79 吉田よし子 平凡社 2000年4月20日初版第1刷
- ^ a b 「サバンナの博物誌」p39 川田順造 ちくま文庫 1991年5月28日第1刷
- ^ a b c d 「サバンナの博物誌」p36 川田順造 ちくま文庫 1991年5月28日第1刷
- ^ a b 「マメな豆の話」p80 吉田よし子 平凡社 2000年4月20日初版第1刷
- ^ 「マメな豆の話」p79-81 吉田よし子 平凡社 2000年4月20日初版第1刷
- ^ 「食事」p176 伊東未来(「マリを知るための58章」所収)竹沢尚一郎編 明石書店 2015年11月15日初版第1刷
- ^ 「食事」p179-180 伊東未来(「マリを知るための58章」所収)竹沢尚一郎編 明石書店 2015年11月15日初版第1刷
- ^ 「マメな豆の話」p81 吉田よし子 平凡社 2000年4月20日初版第1刷
参考文献
[編集]- 川田順造『サバンナの博物誌』筑摩書房〈ちくま文庫〉、1991年。
- 清水貴夫「西アフリカの食のカルフール、ワガドゥグの食文化」『Field+ : フィールドプラス: 世界を感応する雑誌』第23巻、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2020年7月、30-31頁、doi:10.15026/94825、ISSN 18834957、NAID 120006864316、2022年2月8日閲覧。
- 高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!―そして現れた〈サピエンス納豆〉』新潮社、2020年。
- 吉田よし子『マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて』平凡社〈平凡社新書〉、2000年。
関連文献
[編集]- 中尾佐助『農業起源をたずねる旅―ニジェールからナイルへ』岩波書店〈同時代ライブラリー〉、1993年。