ストローフィ
ストローフィ(Strophe)には、2つの意味がある。
- ストローフィ - 詩作で、韻脚の別の韻脚への転換、あるいは、コーラスのある側から別の側への転換を意味する言葉。
- ストロペー(ストロペ、ストロフェー、正旋舞歌、ギリシャ語:στροφή。「回る、曲がる、ねじれる」の意味。句も参照) - 古代ギリシアの頌歌を構成する3つの部分の1つ。
本項では、その両方について詳述する。
ストローフィ
[編集]より一般的に「Strophe」という語は、詩の構造の基礎に置かれる、2つで1組の交互に現れるスタンザ(詩節、連)を指す。近現代詩では、ストローフィは通常スタンザと等しいものになってしまい、詩にその特徴を与える押韻の配列ならびに反復を意味する。しかし古代人は詩の周期の組み合わせを1つのシステムと見なし、変更不可の形式の中で次々に繰り返される時のみ、そのシステムを「ストロペー」と名付けた。
ストロペー
[編集]古代ギリシアのストロペーは頌歌を構成する重要な一部だった。コロス(合唱隊)が祭壇または舞台上を上手(客席から向かって右)から下手(左)に移動しながらこれを歌った。ジョン・ミルトンは『闘士サムソン』の序文でこう述べている。「ストロペー、アンティストロペー、エポードスは音楽のためだけに考案されたある種のスタンザだった」。
2、3行から成る複数のシステムを結合させることによって、最初にストロペーを作ったのはアルキロコスだと言われている。しかし、大規模なストロペーを作り始めたのは古代ギリシアの頌歌作家たちで、それを始めたのはステシコロスと言われるが、それ以前の詩人がそれを知っていた可能性もある。いずれにしても、ストロペー、アンティストロペー、エポードスから構成される頌歌の配列を昇華させたのは、ピンダロスだった。
古代ギリシアの韻律の発展とともに、さまざまな特徴的なストロペー形式が一般的知名度を得、また、指導者的な詩人がそれらを使うことが多かったことで賞賛も得た。それらの中には、サッポー詩体、エレゲイア、アルカイオス風韻文、アスクレピアデス風のストロペーがあり、それらは揃って、ギリシア語詩・ラテン語詩の中でも突出したものだった。最も短くてかつ最も由緒あるストロペーは、ダクテュロス(強弱弱格)の二行連(対句)で、それは同じリズムを持つ2つの詩行で構成され、2行目は1行目の旋律と対を成すものだった。
古代の頌歌のストロペーが狙った効果を、近現代英語詩の中でもっとも正確に再生したものには、たとえばジョン・キーツの『Ode to a Nightingale』やマシュー・アーノルドの『The Scholar-Gipsy』といった詩の、綿密に押韻されたスタンザがある。
参考文献
[編集]- この記事にはアメリカ合衆国内で著作権が消滅した次の百科事典本文を含む: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Strophe". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 25 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 1042.
外部リンク
[編集]- ジョン・キーツ『Ode to a Nightingale』(ウィキソース英語版)
- マシュー・アーノルド『The Scholar-Gipsy』(ウィキソース英語版)