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ストルバイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ストラバイトから転送)
ストルバイト
汚水処理施設から回収されたストルバイト
分類 リン酸塩鉱物
シュツルンツ分類 08.CH.40
化学式 NH4MgPO4·6H2O
結晶系 斜方晶系
晶癖 板状
双晶 {001}
へき開 完全({100})
断口 鋸刃状
モース硬度 1.5–2
光沢 ガラス光沢〜土光沢
白色から黄褐色
条痕
透明度 透明半透明
比重 1.7
光学性 二軸性 (+)
屈折率 nα = 1.495
nβ = 1.496
nγ = 1.504
複屈折 δ = 0.009
光軸角 2V 37°
溶解度 わずかに溶ける
変質 乾燥暖気中で脱水する
その他の特性 焦電性圧電性
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ストルバイトstruvite)はリン酸塩鉱物の1つ。化学式はNH4MgPO4·6H2Oで、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)(Ammonium magnesium phosphate)の6水和物である。中性あるいはアルカリ性には溶けないが、酸性条件であれば容易に溶解する。

語源

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1842年ハンブルク大火により焼け落ちた聖ニコライ教会発掘調査中に化学者ウレックス(Georg Ludwig Ulex)により見出され、当地駐在で鉱物学に造詣の深かった外交官ハインリヒ・フォン・シュトルーヴェドイツ語版(1772-1851)に因んで1846年に命名された。[4]

缶詰

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ストルバイトは水産物缶詰中で生成して消費者からのクレームの元になることがある。胃の中で容易に溶けるため、食品衛生法上の問題はない。

結石

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イヌのストルバイト膀胱結石

生体鉱物としてヒトを含む動物尿路結石として見出される。特にイヌの結石として非常に多く見出され、ネコやヒトでも高頻度に見られる[5]尿路感染症があると、尿素アンモニウム代謝されpHがアルカリ性へ傾くため生じやすい。原因菌としてはプロテウス属シュードモナス属クレブシエラ属ブドウ球菌属マイコプラズマ属などが挙げられる。また感染がない場合でも、イヌやネコではしばしば膀胱に結石を生じ、排尿障害や血尿といった症状を示す。ネコの場合、フェロモンの成分となるタンパク質cauxinがストルバイトの結晶核となることが知られている[6]。ウマの腸結石として見出されることも多い[7]

下水処理

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下水処理施設に付着したストルバイト

下水処理の過程で、とくに嫌気性細菌による分解でアンモニアとリン酸が生成された場合に問題になることがある。

ストルバイトはアルカリ性で水温が低い場合に析出しやすく、配管遠心機ポンプなどにスケールとして付着し、処理設備を詰まらせることがある。 逆に処理設備からストルバイトを回収し、肥料として利用することができる。[8]

参考文献

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  1. ^ https://rruff.geo.arizona.edu/doclib/hom/struvite.pdf Handbook of mineralogy
  2. ^ https://webmineral.com/data/Struvite.shtml Webmineral
  3. ^ https://www.mindat.org/min-3811.html Mindat
  4. ^ G. L. Ulex (1846). “Ueber natürlich vorkommende phosphorsaure Ammoniaktalkerde”. Annalen der Chemie und Pharmacie 58 (1): 99-101. doi:10.1002/jlac.18460580116. 
  5. ^ 舟場正幸、阿部又信「ネコの尿石症」『ペット栄養学会誌』第15巻第2号、日本ペット栄養学会、2012年、85-95頁、doi:10.11266/jpan.15.85 
  6. ^ Matsumoto, K.; Funaba, M. (February 2008). “Factors affecting struvite (MgNH4PO4·6H2O) crystallization in feline urine”. Biochim Biophys Acta. 1780 (2): 233-9. doi:10.1016/j.bbagen.2007.09.013. PMID 17976920. 
  7. ^ Blue MG; Wittkopp RW (July 1981). “Clinical and structural features of equine enteroliths”. Journal of the American Veterinary Medical Association 179 (1): 79-82. PMID 7251465. 
  8. ^ 白毛宏和 (2005). “MAP法によるリン回収資源化システム”. J Environ Biotechnol 4 (2): 109-115. http://www.jseb.jp/jeb/04-02/04-02-109.PDF. 

外部リンク

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