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ストゥヴァー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ストゥヴァー(Stoewer [ˈʃtøːvɐ])は、かつて存在したドイツ自動車製造業者である。シュテッティンに本社を置いていた。シュテーヴァー[1]、シュテーバー、シュテーヴェルなどとも。

概要

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ストゥヴァーLT4(1910年)

エミール(Emil 、1873年 - 1942年)とベルンハルト(Bernhard 、1875年 - 1937年)のストゥヴァー兄弟により1896年シュテッティンミシンの製造会社として設立された。1899年に「ストゥヴァー兄弟自動車製造」(Gebrüder Stoewer, Fabrik für Motorfahrzeugen )を設立し、自動車の製造を始めた。彼らの最初の自動車は出力6.5hp(4.8kW)で最高速度17km/hの「グローサー・モトールヴァーゲン」(Großer Motorwagen 、大型自動車)であった。

ストゥヴァー・ゼディナ(1937 - 40年)

1908年にストゥヴァーは「ストゥヴァー・G4」を製造し、このモデルは非常に成功を収め1,070台が生産された。1910年ストラスブールのマティス(Mathis)の車をライセンス生産した。 1916年に会社の同族経営の形態を「ストゥヴァー製造株式会社」(Stoewer-Werke AG, vormals Gebrüder Stoewer )という株式会社に改組した。

1920年代半ばに直列4気筒エンジン搭載の「D3」、「D9」、「D10」や直列6気筒エンジン搭載の「D5」、「D6」、「D12」といった新しいモデルが導入された。 1921年120hpの6気筒航空用エンジンを搭載した「D7」という特殊なモデルは、当時としては最強の出力の車であった。

ストゥヴァー・アルコナ(1940年)

1928年にストゥヴァーは「S8」と「G14」という直列8気筒エンジンを搭載したモデルの製造を開始した。 1930年代の初めにストゥヴァーは「G15 ギガント」(Gigant )、「M12 マーシャル」(Marschall )、「P20 レプレゼンタント」(Repräsentant )といった看板モデルを発売した。これらのモデルは60から120hp(45から90kW)の出力の直列8気筒エンジンを搭載し、最高速度は130km/hであった。2,500台が生産された後、世界恐慌の影響でこれらのモデルの生産はキャンセルせざるを得なかった。1931年にストゥヴァーは25hp(19kW)で最高速度80km/hの「V5」という世界でも初めての量産前輪駆動車を製造した。「グライフ ユニオール」(Greif Junior )というモデルはタトラのライセンス生産モデルであった。この車の前モデルである「V8グライフ」(V8 Greif )はストゥヴァー自身が製造に関わった最後のモデルであり、「アルコナ」(Arkona )と「ゼディナ」(Sedina )はストゥヴァーが生産した最後の民間市場向けの自動車であった。

ストゥヴァー製の小型軍用車

第二次世界大戦が始まるとドイツ国防軍向けの「l.E.Pkw」(Leichter Einheits-Personenkraftwagen軽統制型乗用車)の生産を開始した。この多用途四輪駆動車の多くは四輪操舵機構を持っていた。ストゥヴァーの生産能力の問題により同じ設計の車両がBMWハノマーグでも生産され、この3社合計で総計約1万台が製造された。第二次世界大戦後、赤軍が残った製造設備を差し押さえ、分解した後ソビエト連邦へ送った。この有名な工場での自動車生産の日々の最後であった。

乗用車

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モデル 製造期間 気筒数 排気量 出力 最高速度
10PS(7kW;10hp) 1901–1902 直列2気筒 1,527cc 18PS(13.2kW) 50km/h
8/14PS 1902–1905 直列2気筒 1,527cc 14PS(10.3kW) 50km/h
20PS(15kW;20hp) 1904–1905 直列4気筒 7,946cc 45PS(33kW) 85km/h
P4(11/22PS) 1905–1910 直列4気筒 3,054cc 22PS(16.2kW) 70km/h
P2(9/12PS) 1906–1907 直列2気筒 2,281cc 16PS(11.8kW) 55km/h
P4-1(24/36PS) 1906–1910 直列4気筒 5,880cc 40PS(29kW) 80km/h
P6(34/60PS) 1906–1911 直列6気筒 8,820cc 60PS(44kW) 95km/h
G4(6/12PS) 1907–1911 直列4気筒 1,500cc 12PS(8.8kW) 60km/h
PK4(11/20PS) 1909–1912 直列4気筒 2,544cc 20PS(14.7kW) 70km/h
C1(6/18PS) 1909–1915 直列4気筒 1,546cc 18PS(13.2kW) 70km/h
B1(6/16PS) 1910–1912 直列4気筒 1,556cc 16PS(11.8kW) 65km/h
B6(9/22PS) 1912–1914 直列4気筒 4,900cc 45PS(33kW) 95km/h
C2(10/28PS) 1913–1914 直列4気筒 2,412cc 28PS(20.6kW) 75km/h
C5(6/18PS) 1915–1919 直列4気筒 1,546cc 15PS(11kW) 70km/h
D2(6/18PS) 1919–1920 直列4気筒 1,593cc 18PS(13.2kW) 70km/h
D6(19/55PS) 1919–1921 直列6気筒 4,960cc 55PS(40kW) 100km/h
D7(42/120PS) 1919–1921 直列6気筒 11,160cc 120PS(88kW) 160km/h
D3(8/24PS) 1920–1923 直列4気筒 2,120cc 24PS(17.6kW) 70km/h
D5(12/36PS) 1920–1923 直列6気筒 3,107cc 36PS(26.5kW) 80km/h
D9(8/32PS) 1923–1924 直列4気筒 2,290cc 32PS(23.5kW) 90km/h
D12(12/45PS) 1923–1924 直列6気筒 3,107cc 45PS(33kW) 100km/h
D10(10/50PS) 1924–1925 直列4気筒 2,580cc 50PS(37kW) 120km/h
D9V(9/32PS) 1925–1927 直列4気筒 2,290cc 32PS(23.5kW) 90km/h
D12V(13/55PS) 1925–1928 直列6気筒 3,386cc 55PS(40kW) 100km/h
F6(6/30PS) 1927–1928 直列4気筒 1,570cc 30PS(22kW) 70km/h
8タイプS8(8/45PS) 1928 直列8気筒 1,999cc 45PS(33kW) 85km/h
8タイプG14(14/70PS) 1928 直列8気筒 3,633cc 70PS(51kW) 100km/h
8タイプS10(10/50PS) 1928–1930 直列8気筒 2,464cc 50PS(37kW) 90km/h
ギガント(Gigant)G15K(15/80PS) 1928–1933 直列8気筒 3,974cc 80PS(59kW) 110km/h
ギガントG15 (15/80PS) 1928–1933 直列8気筒 3,974cc 80PS(59kW) 100km/h
リプレゼンタント(Repräsentant)P20(20/100PS) 1930–1933 直列8気筒 4,906cc 100PS(74kW) 120km/h
マーシャル(Marschall)M12(12/60PS) 1930–1934 直列8気筒 2,963cc 60PS(44kW) 90km/h
V5 1931–1932 V型4気筒 1,168cc 25PS(18.4kW) 80km/h
V5シュポルト(Sport) 1931–1932 V型4気筒 1,168cc 30PS(22kW) 100km/h
R140 1932–1933 直列4気筒 1,355cc 30PS(22kW) 85–105km/h
R140 1933–1934 直列4気筒 1,466cc 30PS(22kW) 85–105km/h
R150 1934–1935 直列4気筒 1,466cc 35PS(25.7kW) 90–110km/h
グライフ(Greif) V8 1934–1937 V型8気筒 2,489cc 55PS(40kW) 110km/h
R180 1935 直列4気筒 1,769cc 45PS(33kW) 105km/h
グライフ V8 シュポルト 1935–1937 V型8気筒 2,489cc 57PS(42kW) 120km/h
グライフ ユニオール(Junior) 1936–1939 水平対向4気筒 1,484cc 34PS(25kW) 100km/h
ゼディナ(Sedina) 1937–1940 直列4気筒 2,406cc 55PS(40kW) 110km/h
アルコナ(Arkona) 1937–1940 直列6気筒 3,610cc 80PS(59kW) 120km/h–140km/h

脚注

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  1. ^ 山崎敏夫ドイツにおける標準化運動の展開と合理化」『高知大学学術研究報告 社会科学編』第42巻、高知大学、1993年12月、1-38頁、hdl:10126/765ISSN 0389-0465NAID 120001107220 

外部リンク

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