スティーブ・キルシュ
スティーブ・キルシュ | |
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2011年 | |
生誕 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス |
教育 | 理学修士 |
出身校 | マサチューセッツ工科大学 |
著名な実績 | 光学式マウスの発明 |
スティーブン・トッド・キルシュ(英語: Steven Todd Kirsch、1956年または1957年[1] - )は、アメリカ合衆国の起業家。光学式マウスの発明者の1人。
キルシュは医療研究の慈善家であると同時に、COVID-19ワクチンに関する誤った情報を広めた人物でもある[2]。
学歴
[編集]1980年、マサチューセッツ工科大学で電気工学と計算機化学の学士と修士を取得した[3]。
活動
[編集]1980年、リチャード・F・リオンとともに光学式マウスを独自に発明したほか[4]、さまざまな会社をおこした。1993年に検索エンジンであるインフォシークを設立し、その後1999年にウォルト・ディズニー・カンパニーへ売却した[5][6]。また、1995年にアドビ社に買収されたFrame Technology Corp.を共同設立した[7]。2002年には、Propel SoftwareのCEOに就任した[6]。
2005年、電子メールフィルタリングを製造するAbacaを設立した[8][9]。
2011年9月、公開鍵暗号を用いたユーザ中心の電子IDシステムを構築するOneID[10]を立ち上げ、ユーザー名とパスワードに代わる、NSTIC[11]の目標に適合したデジタルIDを提供するサービスを開始した[12]。
2021年3月までに、金融機関向けのブロックチェーンを販売するM10を立ち上げた[13][14]。
陰謀論者
[編集]新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際して、2020年3月時点で既存の薬品からCovid-19治療薬を探す方針を固め基金(Covid-19 Early Treatment Fund, 略称:CETF)を設立した[2]。この方針は、当初ワクチン開発に数年を要するという見方から理にかなっていた。なお、CETFにはキルシュの私財100万ドルが投じられ、マーク・ベ二オフやイーロン・マスクがそれぞれ設立した財団も寄付団体として名を連ねていた[2]。
研究が進むにつれ、抗うつ剤のフルボキサミンや抗マラリア剤のヒドロキシクロロキンが治療薬の有力な候補となったがいずれも治験においてCovid-19に対する効果が認められなかった[2]。
しかしながら、キルシュはこれらの結果を受け入れようとせず、慈善家から反ワクチン活動家へと変貌した。Covid-19ワクチンは有毒であるという極端な言説を繰り返すようになると、周囲との対立が強まり、2021年9月には先述のM10の最高経営責任者を辞任し取締役会からも姿を消すこととなった[2]。
それ以前の2021年5月、キルシュはCOVID-19ワクチンが生殖能力に影響を与えると主張する記事をオンラインに投稿した[15]。一方で、ワクチンが病気や死亡を予防する能力を過小評価しており、ファクトチェックにより不正確で誤解を招くと批判された[15]。2021年6月、キルシュは、ロバート・W・マローンと共にブレット・ワインスタインとヘザー・ヘイングのポッドキャストに出演し、MITテクノロジーレビューによると、このポッドキャストは「キルシュを『知的ダークウェブ』の信奉者に紹介」し、「フルボキサミンの陰謀に関する彼の主張を受け入れる多くの聴衆」にアクセスできるようにしたという[13][16]。2021年9月、キルシュはFDAの会合でCETFのエグゼクティブ・ディレクターを名乗り、ワクチンが「救った数の2倍を殺す」と主張した[13][17]。FDAはキルシュがデータを誤って解釈しており、真実である証拠はないとした。ロイターはこの主張を虚偽と評価した[17]。
2021年10月には、反ワクチン団体「Vaccine Safety Research Foundation」(VSRF)を設立し[2][18]、ワクチンのせいで死亡したとする広告を作成した[19][20]。財団の顧問には、ロバート・W・マローン、ピーター・A・マッカロー、ステファニー・セネフらがいる。
私生活
[編集]この節には内容がありません。(2022年2月) |
脚注
[編集]- ^ Markoff, John (December 3, 2007). “Spam's End? Maybe, if Time Allows”. New York Times
- ^ a b c d e f カット・ファーガソン (2021年11月16日). “インフォシーク創業者が反ワクチン陰謀論の「英雄」になるまで”. MITテクノロジーレビュー. 2022年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月12日閲覧。
- ^ “Kirsch makes $2.5 million pledge” (英語). Massachusetts Institute of Technology. January 20, 2022閲覧。
- ^ Sherr, Sol (December 2, 2012). Input Devices. Elsevier Science. p. 221. ISBN 978-0-323-15643-1
- ^ Price, Christopher (2000) (英語). The Internet Entrepreneurs: Business Rules are Good : Break Them. FT Press. p. 115. ISBN 978-0-273-64921-2
- ^ a b Bank, David (2002年6月19日). “Major Philanthropists Lobby To Promote Their Pet Causes” (英語). Wall Street Journal. ISSN 0099-9660 2022年1月21日閲覧。
- ^ “Frame painting pretty picture for itself” (英語). Computerworld. p. 111. January 20, 2022閲覧。
- ^ “Tolly Group Review of Abaca”. Tolly Group. December 25, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。September 22, 2011閲覧。
- ^ “Spam Star”. Network Computing. December 25, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。September 22, 2011閲覧。
- ^ “oneid.com”. oneid.com (June 14, 2012). June 18, 2012閲覧。
- ^ “National Strategy for Trusted Identities in Cyberspace”. Nist.gov. June 18, 2012閲覧。
- ^ Hardy, Quentin (November 3, 2011). “OneID Aims to Unite Devices to Fight Hackers”. The New York Times November 3, 2011閲覧。
- ^ a b c Ferguson, Cat (October 5, 2021). “This tech millionaire went from covid trial funder to misinformation superspreader”. MIT Technology Review. October 24, 2021閲覧。
- ^ Perry, Tekla S. (March 30, 2021). “Optical Mouse Inventor Hunts for a Covid Cure—and May Have Found One” (英語). IEEE Spectrum. January 20, 2022閲覧。
- ^ a b “COVID-19 vaccines don’t affect ovaries or fertility in general; the vaccines are highly effective at preventing illness and death 1.3k SHARES Share Tweet”. Science Feedback. Health Feedback (2021年6月24日). 2024年8月9日閲覧。
- ^ “Steve Kirsch and the Seduction of Simplicity”. McGill (2022年5月20日). 2024年3月20日閲覧。
- ^ a b “COVID-19 vaccines do not kill more people than they save; FDA experts did not make this false claim”. Reuters Fact Check (2021年9月28日). 2024年3月20日閲覧。
- ^ “Mysterious Medical Organizations Are Calling for an End to COVID Vaccines”. vice (2022年2月22日). 2024年3月20日閲覧。
- ^ “Covid vaccines for children are coming. So is misinformation.”. NBC (2021年11月3日). 2024年3月20日閲覧。
- ^ “More Than Half a Dozen “Stop the Steal” Attendees Were Elected to Public Office Last Night”. Vanity Fair (2021年11月3日). 2024年3月20日閲覧。