スキャップトラスト
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株式会社スキャップトラスト(ScapTrust)は、かつて東京都渋谷区神宮前に本社を置いていた日本のコンピュータゲームの企画、開発、販売会社。
1986年にクリスタルソフト、システムサコム、システムソフト、シンキングラビット、ハミングバードソフト、ビーピーエス(BPS)、ボーステック、マイクロキャビンの8社による共同出資で設立された。
1986年春、ソニーからボーステック株式会社に対しアニメビデオ「ガルフォース『GALL FORCE』」(SVI=ソニービデオインタラクティブとも言われた、ソニービデオソフトウェアインターナショナル、ソニー系列のビデオ販売会社などが発売のアニメビデオ)を元にゲーム制作依頼の話があり、それを機にプロジェクト(プロジェクト名:Session61=1986年;昭和61年、ジャズセッションのように数社が共同で行う、ことから命名された)が企画され当社スキャップトラストが設立された。
「ガルフォース」は、衛星カオスを敵から守るために旅立った7人の少女たちの冒険活劇を描くSFアニメ。原作は柿沼秀樹、脚本は富田祐弘、監督は秋山勝仁がそれぞれ担当した。主題歌は、小比類巻かほる(「両手いっぱいのジョニー」)。
当時、ゲームメーカーとしてのライバル会社の経営者どうしのいわば情報交換会的なトリニティやSST(クリスタルソフト、シンキングラビット、ハミングバードソフト、システムサコム、システムソフト、ボーステック、日本ファルコム、BPS)というグループがあり、当社スキャップトラストの出資者はそれらの会社の社長や経営陣であった。当社の立ち上げの企画前の段階で、本企画とそれに伴う当会社の設立と経営を依頼された中心幹部(会社の発起人且つ出資者ともなる)が、ある事情により会社設立後1年で辞めてその後責任は一切持たないがそれでも良いかとの旨の確認を他の発起人に提示した。その条件は、他の発起人・出資者でもある中心幹部の”当該条件を許可しないと当社設立はほぼ不可能でありこの機を逃さすわけにいかない”との判断により、当該条件が企画前に許可された、という経緯を経て当社が設立された。このことは当社のその後の命運を分ける大きな要素の1つとなったとの見方も結果からはいえる(他の大きな要素もあるが)。そうなった背景には、ソニーという大企業からの単なる”請負をする”だけでは(メーカーとしてのアイデンティティにも関わることでもあるし)面白くないので「少しは面白いことをしよう!」語弊があるかもしれないができるなら「小が大を食っちまおう」との、当初の企画発起メンバー数人の、いささか無謀かもしれない夢を持った(小さいながらもオリジナルなゲームソフトを制作する”メーカー会社”に関わった)者としての思いも強く働いて企画されたという状況もあった。プログラマーの中にはそういった”思い”に心を一に動かした者もいた。(その者たちなどは、21世紀以降においても、スタートアップであれベンチャーであれ、面白いことを社会のためにやってやろう!という気概がある者たちが多くいずることを切に願う者たちでもある)。そうしてボーステック以外の各社への呼びかけや現場のプログラマーなども含む合同の会議なども行われた結果、当社は設立された。これはプリンスホテルで公式にお披露目会も行われ当時のパソコンゲーム業界に少なからずのインパクト・興味をもたらせた。武道館のすぐ近くにある科学技術館での(当時の広告代理店、国際通信社が依頼され、行われた)ゲームソフトの告知主旨イベントは大盛況となった。そうして第1弾のアドベンチャーゲーム『ガルフォース 創世の序曲』発売がされたが、その後に当該幹部は辞め、そのあとは当初の企画段階では発売計画にあったアクションゲームとロールプレイングゲームは諸事情により発売されないこととなった。そして数本のゲームソフトを発売したのちに当社は清算された。(この『ガルフォース 創世の序曲』は主にマイクロキャビンのスタッフが制作した。ファミコン版は当プロジェクトとは全く別にソニーから依頼されたハル研究所が発売した)。当初としてはライバルどうしのゲームメーカーであるソフトウェアハウスの共同出資会社ということで、ゲーム業界にはひとつのインパクトであった。当時のコンピュータゲーム業界にとっては、本来ライバルである複数のゲームソフト制作販売会社の共同出資によるベンチャー会社の立ち上げ、という意味では世界初のプロジェクトであったともいえる。結果からいえば、当時の日本のゲームソフト業界としてはライバル会社同士の共同といった、それまでの業界の常識を覆した想定外のできごとだったことが、かえってこのプロジェクトが、当時のログインやOh!PCなどパソコン(ゲーム)雑誌などにも(当社設立関係者からの通知があるまで)嗅ぎつけられずにいるなどと、極秘のうちに進められた要因の1つともなったわけである。そしてこの後、いくつかのゲームソフト会社による共同出資会社など(例:システムソフト、アスキー、コナミ工業株式会社、ボーステック株式会社、株式会社システムサコムなどの共同出資でのソフトウェアの流通会社、株式会社ソフトウィング:後に経営終了(?))が設立&トライされていくベンチャーの、パソコンゲーム業界的にはそういった契機にもなった、繰り返しになるが、世界初の特異なプロジェクトであったともいえるだろう。会社名におけるスキャップ(SCAP)は複数の会社の”連合”会社との連想から第2次世界大戦後の日本での「連合国軍最高司令官総司令部」から連想されたがそれを超えて”地球生命をおびやかす脅威や敵への連合軍”という意味として、また、トラスト(TRUST)は信頼、から由来して、当時のヒットメーカーの共同出資”連合”による信頼関係によって創られた会社という意味で命名された。蛇足だが、そうしてその後は当時の8社はそれぞれの道をいくことになるといった、まさに現実は小説よりも奇なりのゲームのようなドラマが展開されて行った。(ちなみに当時1986年の世情は日本バブルのきっかけ「プラザ合意(1985年)」という出来事があった経済の大転換の翌年である)。
会社概要
- 設立 1986年7月1日
作品
[編集]オリジナル作品
[編集]- ガルフォース 創世の序曲 (1987年6月、PC-88・FM-7・X1・MSX2) - 当時の人気OVA『ガルフォース』を題材にしたアドベンチャーゲーム。開発の中心は、アドベンチャーゲームで数多くの実績を持つマイクロキャビンが担当した。
- スターシップランデブー (1988年、PC-88・MSX2) - 開発はアークライトが担当。
- 紫禁城 (1990年、PC-88・X68・MSX2) - 麻雀牌を使用したパズルゲーム。1991年にサン電子からメガドライブ版・ゲームギア版が、東映動画からファミリーコンピュータ版が、2004年にメディアカイトからWindows版が発売。
他社作品移植
[編集]- クリムゾン(1988年、MSX2) - 1987年にクリスタルソフトが発売したロールプレイングゲーム。
- ディープダンジョン 魔洞戦記(1988年、MSX2) - 1986年にスクウェアが発売したロールプレイングゲーム。
- ディープダンジョンII 勇士の紋章(1988年、MSX2) - 1987年にスクウェアが発売したロールプレイングゲーム。
発売中止
[編集]- ガルフォース 虹のかなたに… - アクションゲーム。設立当時から開発が進められていたが、発売中止。
- ガルフォース 怒涛のカオス - ロールプレイングゲーム。設立当時から開発が進められていたが、発売中止。
- ベトナム1968 - シミュレーションゲーム。1988~89年頃にかけて雑誌媒体でPC-98版の画面写真入り記事が掲載されていたが、発売中止?