スキタイ組曲
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スキタイ組曲(《アラとロリー》)作品20(ロシア語 : Скифская сюита "Ала и Лоллий";仏語:Suite scythe ("Ala et Lolli"))は、セルゲイ・プロコフィエフの管弦楽曲である。
概要
[編集]1916年にまとめられ、同年1月29日に、作曲者プロコフィエフ自身の指揮によって、ペトログラード(現サンクトペテルブルク)で初演された。
スキタイ人を題材としたバレエ音楽《アラとロリー》として作曲されたが、スケッチを書き上げたところでセルゲイ・ディアギレフに示したものの、ディアギレフの関心を惹くことに失敗した。ディアギレフは、これは《春の祭典》の二番煎じだ、と言って断わったという。そこで、演奏会用の管弦楽組曲《スキタイ組曲》として書き直された。
バレエ音楽としては成立しなかったが、本来の曲名である《スキタイ組曲》に、《アラとロリー》の題名が添えられることが多い。
編成
[編集]以下のように、大きな編成が要求される規模の大きな楽曲となっている。
- ピッコロ1、フルート3(アルトフルート1持ち替え)、オーボエ3、コーラングレ、クラリネット3(小クラリネット1持ち替え)、バスクラリネット、ファゴット3、コントラファゴット1、ホルン8、トランペット5(第3奏者はソプラニーノ・トランペット持ち替え、第4奏者はアルト・トランペット、第5奏者は省略可)、テナートロンボーン3、バストロンボーン1、テューバ1、ティンパニ、シンバル2、大太鼓、トライアングル、タムタム、タンブリン、小太鼓、グロッケンシュピール、シロフォン、チェレスタ、ハープ2、ピアノ、弦五部
構成
[編集]楽曲は、以下の4楽章から成る。演奏時間は、約20分である。
- ヴェレスとアラへの讃仰(Поклонение Велесу и Але; L'adoration de Vélès et d'Ala):野蛮で色彩的な音楽は、スキタイ人の太陽信仰を表している。兇暴な部分は太陽神ヴェレスを、柔和な部分はその娘アラを表している。
- 邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り(Чужбог и пляска нечисти; Le dieu ennemi et la danse des esprits noirs):スキタイ人がアラに生贄を捧げていると、7匹の魔物に取り囲まれた邪神チュジボーグが野卑な踊りを舞い始める。
- 夜(Ночь; La Nuit):邪神チュジボーグは夜陰に乗じてアラを襲う。月の女神たちがアラを慰める。
- ロリーの栄えある門出と太陽の行進(Поход Лоллия и шествие Солнца; Le départ glorieux de Lolli et le cortège du soleil):勇者ロリーがアラを救いに現れる。太陽神ヴェレスがロリーに肩入れして、チュジボーグを打ち負かす。勇者と太陽神が勝ち、日の出を表す音楽によって組曲が終わりとなる。