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スカー・シンメトリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スカー・シンメトリー
Scar Symmetry
基本情報
出身地  スウェーデン
ダーラナ県 アヴェスタ
ジャンル メロディックデスメタル[1]
デスメタル[1][2]
ヘヴィメタル[2]
プログレッシブ・メタル[2]
活動期間 2004年 -
レーベル コールド・レコード
ニュークリア・ブラスト
サウンドホリック
アヴァロン・レーベル
ケイオスレインズ
公式サイト www.scarsymmetryofficial.com
メンバー
  • ロバート・カールソン (ボーカル)
  • ラーズ・パームクヴィスト (ボーカル)
  • ペル・ニルソン (ギター、ボーカル)
  • スティーヴン・プラット (ギター)
  • ローレンス・ディナマルカ (ドラムス)
旧メンバー

スカー・シンメトリーScar Symmetry)は、スウェーデンメロディックデスメタルバンドである。2004年4月に結成された。

クリスチャンを始めとして、メンバーのほとんどが既に他のバンドで中核として活躍している面々が集まって結成したことから、当初より相当な期待を持って迎えられた。

独特の浮遊感漂う音響に加え、キャッチーなギターリフとバスドラムが層を成す正統派メロディック・デスの構成だが、バンドとして印象的な個性を出す音作りには、アンムーアド等でも活躍しているクリスチャン・アルヴェスタムボーカル技巧に依るところが大きかった。

2008年『Holographic Universe』がアメリカ・ビルボード誌のHeatseekers Chartで23位を記録、発売から半年間で50万枚を売上げる成功を収めた。

低音部をグロウルでリズムを刻み、高音部をクリーンでメロウに奏でるという、凶暴なデスヴォイスと哀愁的クリーンヴォイスとの極端なヴォーカルチェンジが特徴だったが、2008年9月にクリスチャンが脱退したため、ロバート・カールソン(デスヴォイス担当)とラーズ・パームクヴィスト(クリーンヴォイス担当)のツインボーカル体制となった。クリスチャン1人でグロウル、クリーンの2パートを担当する体制から、ツインボーカル体制となったため、グロウルとクリーンのボーカルが交錯したり、2つのボーカルが重なるなど、楽曲に幅が広がった。

略歴

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アルタード・イーオンアルバムレコーディングのために、ヨナス・キェルグレンレコーディングスタジオ、ブラック・ラウンジ・スタジオ (英語: Black Lounge Studios)にヘンリク・オールソンが入り、2人が知り合う[3]。知り合ってすぐにヨナス・キェルグレンからバンド結成の話が持ち上がり、キェルグレン (G)とオールソン (Ds)の2人でスカー・シンメトリーを結成[3]。キェルグレンは、スカー・シンメトリー結成前にデスラッシュバンド、カーナル・フォージから脱退しており、もっとメロディアスなバンドをしたいと考えていた[4]。結成後、間もなくオールソンとアルタード・イーオンで活動を共にするペル・ニルソン (G)と、キェルグレンの友人ケネス・ザイル (B)が加入。ザイルは、それまでヘヴィメタルバンドでの活動歴はほとんどなく、ソウルミュージックを中心に活動していた。その後、最後にアンムーアドなどで活動するクリスチャン・アルヴェスタム (Vo)が加入、バンド体制が整う。アルヴェスタムの加入は、オールソンの強い要望で実現した[3]

バンド体制が整ってからすぐにデモテープ『Seeds of Rebellion』をリリース。このデモがきっかけでコールド・レコードと契約[3]。ちなみに、コールド・レコードはアルヴェスタムが参加するインキャパシティトーチベアラーも当時所属していた。2005年、1stアルバム『Symmetric in Design』をリリース。シンセサイザーをキェルグレンとニルソンが担当し、レコーディング・エンジニアはキェルグレンが担った[4]。日本では、サウンドホリックから日本盤がリリースされた。リリース後、ドイツの大手ヘヴィメタルレコード・レーベルニュークリア・ブラストに移籍。2006年に2ndアルバム『pitch|black|progress』をリリース。日本では、アヴァロン・レーベルからのリリースとなった。2ndアルバムリリース後、ヒポクリシーソイルワークらとのツアー「European Neckbreaker's Ball」に参加[5]2007年には、カタトニアインソムニウムスワロー・ザ・サンと初のアメリカツアーも果たしている[5]2008年に3rdアルバム『Holographic Universe』をリリース。

『Holographic Universe』リリースから数か月後、アルヴェスタムが脱退。脱退の理由は、「ビジネス面と音楽面での相違と、メンバー間のケミストリーが失われた」というものだった(原文ママ)[6]。その実態は、バンドの活動の方針、主にツアーを巡ってアルヴェスタムと、ニルソン、ザイル、オールソンの3人とが衝突したためであった[7]。ツアーに対してかなり消極的だったアルヴェスタムと、ツアーを積極的に行いたい3名とが対立し、3名は「クリスチャン(・アルヴェスタム)が脱退しない場合は自身達が脱退する」と言うほどまでになっていた[7]。バンドの中心人物であるキェルグレンはこの2者の間に入っていたが、対立の解消は難しく、自身のツアーを積極的に行いたいという希望もあって、アルヴェスタム解雇の決断をしたという[7]。この脱退までには、アルヴェスタムは何回かツアーを拒否しており、中には地元での単発のライヴですらキャンセルすることもあった[7]。ただ、現在はアルヴェスタムとバンドメンバーとの間にわだかまりはないとのことである[7]

アルヴェスタムの後任には、元エッジ・オブ・サニティフェイスブレイカーのロバート・カールソン (Vo)が加入[6]。キェルグレンは、カールソンを『スウェーデン最強のグロウラー』と評している[6]。カールソン加入後、カールソンの友人であるラーシュ・パームクヴィスト (Vo)が加入。カールソンが主にグロウルパート、パームクヴィストが主にクリーンパートを担当するが、両者ともバッキング・ボーカルで、互いのパートを補完するなど、完全に分業しているわけではない[6]2009年に、4thアルバム『Dark Matter Dimensions』をリリース。

『Dark Matter Dimensions』リリース後、ツアーを活発に行うようになる。リリース直後の2009年10月には、ベヒーモスデヴィルドライヴァーアーシスらと『Neckbreaker's Ball Tour』を行い、翌年2月にはヒポクリシーの『A Taste of Extreme Divinity Tour』に同行している[7]。また、同年後半にはエピカ北米ツアーを行っている。2011年に、5thアルバム『The Unseen Empire』をリリース。

2013年8月、バンドの創設者の一人で中心人物でもあるキェルグレンが脱退[8]。脱退の理由は、多忙によりスカー・シンメトリーの活動に参加できないため[8]。後任は据えず、5人組で活動を継続し、ライヴではサポートを立てることとなった[8]2014年に6thアルバム『The Singularity (Phase I: Neohumanity)』をリリース。

2015年10月27日にベーシストのケネス・ザイルが脱退したことが発表された[9]。この時点で後任は発表されておらず、ベーシストについてもセッションメンバーを起用してライブ活動を継続する[9]

2016年に元ブラッドショット・ドーンのベンジャミン・エリス (G)と元ヒポクリシーのアンドレアス・ホルマ (B)の加入が発表された[10]。同年より7thアルバムの曲作りを開始し、2017年には主要部分のレコーディングも完了した[11]。しかし、同年にバンドの中心人物であるニルソンがノクターナル・ライツに加入、その直後にフレドリック・トーデンダルの活動休止に伴い、メシュガーにサポートとして参加することとなった[11]。この背景には、キェルグレンの脱退後、スカー・シンメトリーのマネジメントを一手に引き受けていたニルソンのストレスもあったという[11]。この結果、スカー・シンメトリーの活動は下火となり、アルバムの制作も凍結状態となった[11]。更に2019年3月には、アンドレアス・ホルマの脱退が発表された[12]。この脱退は友好的なものでは無く、中心メンバーのニルソンによれば、数か月前から決まっていたツアーを、ホルマがツアー開始数週間前になって、別バンドでのライヴを理由に突然参加しないと通告したことがきっかけだったとのことである[12]。ツアー直前の通告だったため、代役のベーシストを立てようにもベースパートの習得や査証などが間に合わず、ニルソンが演奏したベースパートの録音音源を流すことで対応することとなった[12]。ニルソンは声明の中でホルマに対して失望したと何度も述べているが、ホルマへの感謝も述べている[12]

2021年にトーデンダルがメシュガーに復帰することとなり、ニルソンのサポート参加が終了、所属レーベルであるニュークリア・ブラストからの働き掛けもあり、スカー・シンメトリーの活動を再開する[11]2023年に、9年ぶりとなる7thアルバム『The Singularity (Phase II: Xenotaph)』をリリースした[11]。なお、ベーシスト不在のベースパートはニルソンが兼任している。

2024年3月末。結成メンバーのヘンリク・オールソンとギタリストのベンジャミン・エリスの脱退が発表された[13]。オールソンは家庭の事情により、2019年から続いている新型コロナウイルス感染症の世界的流行が落ち着いた後もライヴ活動に復帰することができずそのまま脱退し、エリスは他の音楽活動に注力するために脱退することになった[13]。また同時に、ローレンス・ディナマルカ (Ds)とスティーヴン・プラット (G)の加入も発表された[13]。オールソンの脱退により、オリジナルメンバーが2名とも脱退し、残る初期メンバーはニルソンのみとなった。

メンバー

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現メンバー

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  • ロバート・カールソン (Roberth Karlsson) - ボーカル (2008 - )
エッジ・オブ・サニティインキャパシティフェイスブレイカーソーラー・ドーンでも活動していた。
  • ラーズ・パームクヴィスト (Lars Palmqvist) - ボーカル (2008 - )
  • ペル・ニルソン(Per Nilsson1974年3月5日-) - ギター (2004 - )
ワールド・ビロウアルタード・イーオンノクターナル・ライツメシュガー(サポート)でも活動。7thアルバム『The Singularity (Phase II: Xenotaph)』ではベースも兼任した。
  • スティーヴン・プラット (Stephen Platt) - ギター (2024 - )
デヴィン・タウンゼンドにライヴギタリストとして参加経験がある。
  • ローレンス・ディナマルカ (Lawrence Dinamarca) - ドラムス (2024 - )
ナイトレイジブリーディング・ユートピアカーナル・フォージロック・ヴォストークマンティコラエターナル・オータムなどでも活動。

過去の在籍メンバー

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ソーラー・ドーンソリューション .45アンムーアドインキャパシティトーチベアラーミザレーションで活動。
センティネクスカーナル・フォージ (ボーカル)、デラモート(ボーカル)でも活動。
  • ベンジャミン・エリス (Benjamin Ellis) - ギター、ボーカル (2016 - 2024)
ブラッドショット・ドーンでも活動。
他には、ソウルミュージックバンドで活動している。
  • アンドレアス・ホルマ (Andreas Holma) - ベース、ボーカル (2016 - 2019)
ヒポクリシーペインでも活動。
  • ヘンリク・オールソン(Henrik Ohlsson1975年9月29日) - ドラムス (2004 - 2024)
ミュータントアルタード・イーオンセオリー・イン・プラクティスでも活動。

ディスコグラフィー

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  • シンメトリック・イン・デザイン(Symmetric In Design(2005年
  • ピッチ・ブラック・プログレス(Pitch Black Progress)(2006年
  • ホログラフィック・ユニヴァース (Holographic Universe)(2008年
  • ダーク・マター・ディメンションズ (Dark Matter Dimensions)(2009年
  • アンシーン・エンパイア (The Unseen Empire)(2011年
  • シンギュラリティ~フェーズ1: ネオヒューマニティ (The Singularity (Phase I: Neohumanity))(2014年
  • ザ・シンギュラリティ(フェイズII - セノタフ) (The Singularity (Phase II: Xenotaph))(2023年

脚注

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  1. ^ a b Scar Symmetry reviews music, news - sputnikmusic・2017年1月27日閲覧。
  2. ^ a b c Scar Symmetry|Biography”. オールミュージック. All Media Guide. 2017年1月27日閲覧。
  3. ^ a b c d 渡辺清之『シンメトリック・イン・デザイン』(CDライナー)スカー・シンメトリー、サウンドホリック、東京都、2005年。TKCS-85117。 
  4. ^ a b 奥野高久『ピッチ・ブラック・プログレス』(CDライナー)スカー・シンメトリー、アヴァロン・レーベル、東京都、2006年、1-3頁。MICP-10588。 
  5. ^ a b 奥野高久『ホログラフィック・ユニヴァース』(CDライナー)スカー・シンメトリー、アヴァロン・レーベル、東京都、2008年、1-3頁。MICP-10742。 
  6. ^ a b c d 奥野高久『ダーク・マター・ディメンションズ』(CDライナー)スカー・シンメトリー、アヴァロン・レーベル、東京都、2009年。MICP-10858。 
  7. ^ a b c d e f 奥野高久『アンシーン・エンパイア』(CDライナー)スカー・シンメトリー、アヴァロン・レーベル、東京都、2011年。MICP-10982。 
  8. ^ a b c http://www.blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=193404 2013年8月9日閲覧。
  9. ^ a b IMPORTANT ANNOUNCEMENT Scar Symmetry Official Facebook 2015年11月3日閲覧。
  10. ^ Scar Symmetry Announce New Guitarist & Bassist”. THEPRP (2016年9月14日). 2016年11月9日閲覧。
  11. ^ a b c d e f 川嶋未来『The Singularity (Phase II - Xenotaph)』(CDライナー)スカー・シンメトリー、ケイオスレインズ、東京都、2023年。GQCS 91334。 
  12. ^ a b c d SCAR SYMMETRY part ways with Andreas Holma”. Scar Symmetry Official Facebook (2019年3月12日). 2019年3月30日閲覧。
  13. ^ a b c SCAR SYMMETRY ANNOUNCES NEW LINEUP”. Scar Symmetry Official Facebook (2024年3月28日). 2024年4月1日閲覧。

外部リンク

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