ジョーカー (小説)
表示
ジョーカー 旧約探偵神話 | ||
---|---|---|
著者 | 清涼院流水 | |
発行日 | 1997-01-05 | |
発行元 | 講談社 | |
ジャンル | ミステリー | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 新書 | |
ページ数 | 778 | |
前作 | コズミック 世紀末探偵神話 | |
コード | ISBN 4-06-181946-1 | |
|
『ジョーカー』は、講談社から発行されている清涼院流水の推理小説。JDCシリーズ第一期の作品。
本作と 『コズミック』 は、互いに対となる作品であり、講談社文庫版を『コズミック 流』 → 『ジョーカー 清』 → 『ジョーカー 涼』 → 『コズミック 水』の順番(清涼in流水)で読むと、初めて浮かび上がる仕掛けが施されている。
著者はこの両作品を一つの作品「コズミック・ジョーカー」と位置づけている。
ストーリー
[編集]京都府内の旅館・幻影城で合宿を行っていた推理作家たち。その中の一人、濁暑院溜水がミステリマニアなら誰でも知っている『ノックスの十戒』と『ヴァン・ダインの二十則』=『推理小説の構成要素三十項』を網羅した実名小説作品の構想を発表。他の作家らの期待を集めるが、翌日、まるでその構想に則ったかのように殺人事件が起こる。
現場には、『芸術家』と名乗る犯人が、
聖なる眠りにつく前に、我は八つの生贄を求める
すべては、(華麗なる没落のために)
――芸術家
という言葉を残す。
偶然、幻影城に滞在していた螽斯の要請により、他のJDC探偵たちが続々と到着する中、殺人は続いていく……。
登場人物
[編集]JDC
[編集]- 鴉城蒼司、九十九十九、刃仙人
- 氷姫宮幽弥
→「JDCシリーズの登場人物 § JDC所属探偵」を参照
幻影城滞在者
[編集]関西本格の会
[編集]関西在住の推理作家らが任意で所属する団体。毎年2回合宿を行う。「麗しき華のごとく、没落は夢のように(略称・華没)」という会報誌を発行している。
- 濁暑院 溜水(だくしょいん りゅうすい)
- 24歳。本名・溜井秀鷹。自分の作品群を「流水小説」と命名。代表作は「永遠の輪廻」という長編推理小説。双子の妹(なぎさ)がおり、彼女も小説家を生業としている。
- 今回の合宿の幹事。犯人が残した「華麗なる没落のために」という名で、事件の整理を兼ねて事件の記録物語を執筆。
- 葵 健太朗(あおい けんたろう)
- 24歳。本名・氷柱木真二。
- 氷龍 翔子(ひりゅう しょうこ)
- 本名・成瀬翔子。推理小説界の若き女王と呼ばれる。葵と溜水が所属していた大学のサークル「創作会」の先輩でもある。
- 虹川 良(にじかわ りょう)
- 43歳。本格派の旗手と呼ばれる推理作家。今回の合宿には娘同伴で参加。
- 虹川 恵(にじかわ めぐみ)
- 虹川良の娘。小学生。植物図鑑を眺めるのが好き。父とドイツに数年住んでいたことがあり、ドイツ語が分かる。
- 風紋寺 光世(ふうもんじ こうせい)
- 本名・星野健治。
- 星野 多恵(ほしの たえ)
- 風紋寺光世の6歳下の妹。兄・健司の付き添いで、幻影城を訪れる。作家ではない。調理が趣味。深窓の令嬢という言葉が似合う女性である。過去に、龍宮城之介とお見合いをしたことがある。
- 魅山 薫(みやま かおる)
- 22歳。溜水の妹・なぎさとは親友。義父が平井太郎と知り合い。
- 柊木 司(ひいらぎ つかさ)
- 27歳。本名・梶洋介。会の中では地味な作家。
- 水野 一馬(みずの かずま)
- 32歳。本名・礼石和也。柊木同様、地味な作家。柊木にネタを盗用されたと疑っている。
JDC
[編集]- 霧華舞衣、龍宮城之介
- 螽斯太郎、九十九音夢、鴉城蒼也
→「JDCシリーズの登場人物 § JDC所属探偵」を参照
幻影城関係者
[編集]- 平井 太郎(ひらい たろう)
- 大富豪。71歳。幻影城の当主。江戸川乱歩の本名と同姓同名。私財を投じて、大旅館・幻影城を建造した。大のミステリマニアでもある。幻影城には、趣味が高じて、ミステリに因んだ様々な趣向を凝らした部屋が多々ある。
- 小杉 寛(こすぎ かん)
- 幻影城の執事。
- 小杉 勝利(こすぎ しょうり)
- 執事・寛の息子。13歳。
- 那須木 武彦(なすき たけひこ)
- 幻影城の料理長。オランダ仕込み。30歳。
- 間宮 てる(まみや てる)
- 幻影城客室係。螽斯の亡き妻・華乃に瓜二つ。
- 平井 華(ひらい はな)/平井 麗(ひらい れい)
- 幻影城に住む双子の姉妹。平井太郎にとっては娘のような存在。
- 使用人A~K
- 平井の意向で、アルファベットで呼ばれる。胸に「A」「B」などのネームプレートを付けている。作中で名前が判明しているのは、「C」こと椎野木はじめと、「D」こと金井英貴。
警察関係者
[編集]- 料所 拓治(りょうしょ たくじ)
- 京都府警警部。「捜査の鬼」と呼ばれる。愛想はいい。JDCの探偵たちの手柄を横取りしようとしているのが見え見え。
- 玄矢 孝志(くろや たかし)
- 料所の信頼する部下。
- 有馬 みゆき(ありま みゆき)
- 料所の信頼する部下。
- 榊 一郎(さかき いちろう)
- 警官。
- 佐藤 一郎(さとう いちろう)
- 警官。
- 鮎川 哲子(あゆかわ てつこ)
- 料所の後の新しい捜査主任として赴いた。京都府警警部。15歳の時、母親を強盗に殺害されている。妹の鶴美は、JDC入りを希望しており、猛勉強中。
- 佐渡 九冬(さど くとう)
- 京都府警刑事。寝坊癖がある。炭酸飲料が好き。
- 空 席(くう せき)
- 巡査。妙な名前だがこれがフルネーム。
既刊一覧
[編集]- ジョーカー 旧約探偵神話 ISBN 4-06-181946-1
- ジョーカー 清 ISBN 4-06-264846-6
- ジョーカー 涼 ISBN 4-06-264869-5
- 「コズミック 流」「コズミック 水」の文庫版と表紙の絵柄が繋がる趣向が成されている。また、繋げ方も一通りでない。
- ジョーカー 旧約探偵神話 新装版 ISBN 978-4-06-537087-2
漫画
[編集]あすかコミックスDX(作画:蓮見桃衣)
- エキストラ・ジョーカー JOE ISBN 4-04-853399-1
- エキストラ・ジョーカー KER ISBN 4-04-853513-7
幻冬舎コミックス漫画文庫(作画:蓮見桃衣)
- エキストラ・ジョーカー ISBN 978-4-344-81721-0