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ジュネーブサロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジュネーブサロン (Salon international de la haute horlogerie、SIHH、国際高級時計サロン) は、スイスジュネーブにて毎年1月頃に3日間程度かけて行われていた世界最大の宝飾時計見本市のひとつ。高級時計財団 (Fondation de la Haute Horlogerie、FHH)が主催していた[1]

2020年と2021年には新型コロナウイルス感染症の世界的流行をうけてウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(Watches and Wonders Genava)と名前を変えてオンライン展示会のみで開催し、2022年に改めて第1回と位置付けたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブのリアル展示会(オンライン展示会も併存)を開催した。同展示会の成功を受けてリシュモングループ、ロレックスパテックフィリップにより2022年9月にウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ財団(WWGF)が設立され、財団理事会の会長にはロレックス会長のジャン・フレデリック・デュフールが、CEOには高級時計財団(FHH)CEOのマチュー・ユメールが就任した。[2]第2回の2023年展示会は3月末から4月初旬の7日間で開催される[3][4]。2020年に高額な出展料やホスピタリティの欠如の問題でバーゼルフェアが事実上終了したことで[5]、そちらに出展していたロレックス・LVMHグループ傘下の各ブランド、グランドセイコーなどは本展で新作の発表と展示を行っている[6]

歴史

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元々バーゼル・フェアに出展していたカルティエを中心とする高級時計メーカーグループ(現在のリシュモングループ)が1991年に独立し現在の形となった。

当初、バイヤー以外は報道関係者のみしか入場を認めておらず、有料で一般客の入場を認めているバーゼル・フェアとは一線を画していた。また、リシュモングループ以外では、ソーウインドグループ(ジラール・ペルゴなど)とオーデマ・ピゲ、パルミジャーニ・フルリエなどしか参加を認められていなかった。

2009年にリシュモンとの合弁で時計事業に乗り出したラルフローレンが参加。その後、時計価格全体の高騰、有力な顧客だった中国マーケットの停滞[7]などの事情から、リシャール・ミルなどの新規高級時計メーカー、独立時計師の参加を認めた。

2017年には最終日のみながら事前登録した一般客の有料での入場(70スイス・フラン)を認めた[8]。ソーウィンドグループは2013年度からバーゼルへと発表の場を移したものの、2017年ジラール・ペルゴがジュネーブに復帰している。ケリンググループからもユリス・ナルダンが同年ジュネーブへ復帰した。2018年にはエルメスがジュネーブへ移行した。

2019年の開催後、ビジネスモデルの変化などを理由にオーデマ・ピゲとリシャール・ミルがジュネーブサロンから撤退した[9]。両ブランドは以降は独自のフェアを開催している。

スウォッチグループなどのメーカーがバーゼル・フェアを撤退したのを受けて、2020年のジュネーブサロンは、バーゼル・フェアと同時期開催になるとされていた。ジュネーブサロンは4月26日から4月29日に開催され、バーゼル・フェアはその直後に4月30日から5月5日まで開催される予定であった[10]。結局、上記の通りコロナ禍のためバーゼルワールドは開催できないまま事実上終了し、ジュネーブサロン改めウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブはオンラインでの開催となった。翌2021年もオンライン開催となっている。

2022年、オンラインと併催したうえでようやくリアル開催が実現。2023年に7日間のフル開催となった。

2024年は7日間で計54ブランドが参加。最初の4日がメディア公開、残りの3日が一般公開となった。2025年は4月1日から4月7日まで開催される予定。ただし、メディア公開日が短いためすべてのブランドを取材できないことが問題とされている [11]。同年には、WWGFの理事会メンバーにシャネルエルメスLVMHが参加した。

スウォッチグループのニック・ハイエック Jr.CEOは、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブを「エリート主義の集まりであり、私たち業界人にとって最も重要な要素である世界中の消費者を排除して」いるとして今度も参加することはないと表明しており[12]、代わりに独自のフェアを開催している。

脚注

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  1. ^ Fondation de la Haute Horlogerie”. 2019年4月18日閲覧。
  2. ^ ロレックス、チューダー、パテック フィリップ、シャネルそしてショパールがバーゼルワールド撤退を表明”. HODINKEE (2020年4月14日). 2023年9月12日閲覧。
  3. ^ 参加ブランドも増え、さらに存在感を増す『Watches and Wonders Geneva』 Gressive
  4. ^ リアル展示会の重要性を再認識したWWGFの結論 Gressive
  5. ^ かつて世界最大だった時計見本市「バーゼル・ワールド」が、“やめるをやめるをやめる”…… WWF
  6. ^ Watches and Wonders Geneva 2023 (ウォッチズアンドワンダーズ ジュネーブ2023)の開催日程・出展ブランドが発表!一般公開も決定 TRENDGATE Co.,Ltd.
  7. ^ “ジュネーブサロン(SIHH)2017、洗練の伝統美”. 朝日新聞. (2017年1月30日). https://web.archive.org/web/20170130022843/http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2017012778721.html 2017年3月6日閲覧。 
  8. ^ “SIHH(ジュネーブサロン)がついに一般公開へ踏み切った!”. PiAZO. (2016年11月14日). https://piazo.jp/article/20161114-SIHH-2017-OPEN-TO-THE-PUBLIC/ 
  9. ^ リシャール・ミルとオーデマピゲのSIHH出展は2019年が最後に”. 腕時計の読みもの. 2019年4月20日閲覧。
  10. ^ SIHHとバーゼルワールドが2020年より同時期開催へ”. 腕時計の読みもの. 2019年4月12日閲覧。
  11. ^ 早くも「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」の開催日程が決定!シャネル、エルメス、そしてLVMHも理事会入り!”. Web Chronos. 2024年7月14日閲覧。
  12. ^ ムーンスウォッチとスキューバ フィフティ ファゾムス製造の舞台裏へ潜入”. HODINKEE. 2024年7月14日閲覧。