ジェラルド・リーヴン
ジェラルド・リーヴン Gerald Reaven | |
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生誕 |
Gerald M. Reaven 1928年7月28日 アメリカ合衆国 インディアナ州ゲアリー |
死没 |
2018年2月12日 (89歳没) アメリカ合衆国 カリフォルニア州スタンフォード |
国籍 | アメリカ合衆国 |
教育 |
ミシガン大学 シカゴ大学 |
著名な実績 | 糖尿病研究 |
医学関連経歴 | |
職業 | 大学教授・医学者 |
所属 |
スタンフォード大学医学部名誉教授 シャーマン製薬(Shaman Pharmaceuticals, Inc.)研究担当上級副理事 |
受賞 | バンティング・メダル |
ジェラルド・M・"ジェリー"・リーヴン(Gerald M. "Jerry" Reaven, 1928年7月28日[1] - 2018年2月12日)は、アメリカ合衆国の内分泌学者、スタンフォード大学医学部名誉教授。
生涯
[編集]シカゴ大学にて学業を修了し、医学実習生となる。カリフォルニア州スタンフォードとアメリカ陸軍医療部隊で医学研究に従事したのち、ミシガン大学にて研修医となる。のちにスタンフォード公衆衛生局の研究職を経て、スタンフォード大学の教授に就任し、内分泌学と老年学の研究の主導的立場となる[2][3]。リーヴンは、少なくとも1965年から、ジョン・W・ファークァー (John W. Faquhar) とともにインスリン抵抗性 (Insulin Resistance) および糖尿病についての研究を行ってきた[4]。リーヴンが研究者への道を歩み始めた1950年代は、糖尿病の原因は「インスリンの分泌不足である」と信じられていた[5]が、「なぜ分泌量が足りなくなるのか」についてまでは研究されていなかった。リーヴンはインスリン抵抗性の存在を主張した数少ない研究者でもあった[5]。
1980年代、リーヴンは、「高血糖、インスリンの過剰分泌、ならびにインスリン抵抗性と高インスリン血症(Hyperinsulinemia)こそが、メタボリック症候群 (The Metabolic Syndrome) の根本的な原因である」と考え、「高血糖とインスリンの過剰分泌をもたらすのは炭水化物および砂糖・果糖である」とした。1987年、アメリカ国立衛生研究所(The National Institutes of Health)は総意委員会を招集し、糖尿病の予防や治療について、集まった委員たちに議論させた。出席者の1人であったリーヴンは、「Anyone who consumes more carbohydrates has to dispose of the load by secreting more insulin.」(「誰であれ、炭水化物の摂取量が多いほど、その人の体内ではインスリンがさらに分泌され、身体はその処理に追われることになる」)と述べた[6]。1988年、アメリカ糖尿病協会(The American Diabetes Association)が主催した「バンティング講義」(Banting Lecture[注釈 1])に出席したリーヴンは、メタボリック症候群は肥満・糖尿病・高血圧とも密接に関係している趣旨を述べた[7][8][9]。リーヴンは、当時の病気の診断基準は恣意的であり、病態生理学的な外的要因以上に、病気の診断に役立つような独立的な構成要素などありえない、と考えていた[10]。リーヴンの唱えた「メタボリック症候群」は、心臓病、脳卒中、糖尿病の危険性を高める指標として使われるようになった[5]。
リーヴンはまた、サンフランシスコにある『シャーマン製薬』(Shaman Pharmaceuticals, Inc.) の研究担当上級副理事も務めていた[11]。リーヴンは、メタボリック症候群と心血管疾患との関係について記した著書の共著者でもあり[12]、複数の研究機関に所属していた。
1988年にはバンティング・メダル (The Banting Medal) を受賞している[13]。
スタンフォード大学の医学部教授で医学部長のロバート・ハリントン(Robert Harrington)は、ジェラルド・リーヴンについて「ジェリー・リーヴンは医学部の優れた研究者であった。インスリン抵抗性について書き、さらに定義した彼の科学的貢献は、過去50年間の代謝性疾患の研究において、偉大な業績の一つだ」と語った[5]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ インスリン (Insulin) の共同発見者の1人、フレデリック・バンティング(Frederick Banting、1891年 - 1941年)に敬意を払って名付けられた。
出典
[編集]- ^ Kraemer, Fredric B.; Ginsberg, Henry N. (May 2014). “Gerald M. Reaven, MD: Demonstration of the Central Role of Insulin Resistance in Type 2 Diabetes and Cardiovascular Disease”. Diabetes Care 37 (5): 1178–1181. doi:10.2337/dc13-2668. PMID 24757223 August 19, 2015閲覧。.
- ^ “CURRICULUM VITAE” (PDF). 20 March 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。4 May 2023閲覧。
- ^ “Gerald Reaven, MD”. Stanford School of Medicine. 9 June 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。4 May 2023閲覧。
- ^ Reaven, G M; Hill, D B; Gross, R C; Farquhar, J W (1965), “Kinetics of triglyceride turnover of very low density lipoproteins of human plasma.”, Journal of Clinical Investigation 44 (11): 1826–1833, doi:10.1172/JCI105290, ISSN 0021-9738, PMC 289683, PMID 5843713
- ^ a b c d e Tracie White (20 February 2018). “Gerald Reaven, scientist who coined ‘Syndrome X,’ dies at 89”. Stanford Medicine News Center. 11 March 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。5 May 2023閲覧。
- ^ “The Braille Monitor”. The National Federation of the Blind (April 1987). 25 September 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。8 October 2022閲覧。
- ^ Banting lecture 1988. Role of insulin resistance in human diseaseGerald Reaven. 1988 Dec;37(12):1595-607. doi:10.2337/diab.37.12.1595. PMID 3056758
- ^ Myths about Insulin Resistance: Tribute to Gerald ReavenSun H. Kimcorresponding author and Fahim Abbasi. Endocrinol Metab (Seoul). 2019 Mar; 34(1): 47–52. Published online 2019 Mar 21. doi:10.3803/EnM.2019.34.1.47, PMC 6435844, PMID 30912338
- ^ Metabolic Syndrome and Insulin Resistance: Underlying Causes and Modification by Exercise TrainingChristian K. Roberts, Andrea L. Hevener, and R. James Barnard. doi:10.1002/cphy.c110062 PMC 4129661 NIHMSID:NIHMS604042 PMID 23720280
- ^ Reaven, GM (2005). “The metabolic syndrome: requiescat in pace”. Clin Chem 51 (6): 931–8. doi:10.1373/clinchem.2005.048611. PMID 15746300.
- ^ “Shaman Pharmaceuticals promotes Gerald M. Reaven to Senior Vice President”. The Free Library (February 14, 1996). 17 July 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。4 May 2023閲覧。
- ^ Reaven, Gerald; Strom, Terry Kirsten; Fox, Barry (2000). Syndrome X - Overcoming the Silent Killer that Can Give You a Heart Attack. Simon & Schuster. ISBN 978-0-684-86862-2. OCLC 42719952
- ^ “Banting Medal for Scientific Achievement”. American Diabetes Association. 26 June 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。28 August 2022閲覧。
外部リンク
[編集]- Interview - Canadian Association of Cardiac Rehabilitation