ジェニー (オランウータン)
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別名・愛称 | Lady Jane |
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生物 | オランウータン |
性別 | 雌 |
死没 | 1839年5月28日 |
ジェニー(Jenny, ? - 1839年5月28日[1])はロンドン動物園で飼育されていたメスのオランウータンである。
1837年11月、ロンドン動物園はボルネオ帰りのモス(Moss)という名の水夫からオランウータンを購入した。3歳ほどの雌で、レディー・ジェーン(Lady Jane)と名付けられ、縮めてジェニーと呼ばれた[1]。ジェニーはロンドン動物園では初めてのオランウータンであった[2][3]。ジェニーは服を着せられて公開され、多数の見物客を集めた[4]。
見物客の中には、ビーグル号の航海から帰国したチャールズ・ダーウィンもいた。ジェニーはダーウィンが観察した最初の類人猿であった。ダーウィンが観察に訪れた際、ジェニーはちょうど飼育係からリンゴを与えられるところで、まるで人間の子供のように足をばたつかせていた。こうしたジェニーの挙動はダーウィンの感情研究の契機となり、1839年に長男(ウィリアム・ダーウィン)が誕生すると、その挙動をオランウータンを比較しながら研究を進めていくことになった[4]。
その後、ジェニーは1839年5月に病死した。
脚注
[編集]- ^ a b Wyhe, John van; Kjærgaard, Peter C. (2015). “Going the whole orang: Darwin, Wallace and the natural history of orangutans”. Studies in History and Philosophy of Biological and Biomedical Sciences 51: 56 .
- ^ Ito, Takashi (2014). London Zoo and the Victorians, 1828-1859. Woodbridge, Suffolk: The Royal Historical Society. p. 162. ISBN 978-0-86193-321-1
- ^ 類人猿(ape)としては初めてと説明されることもあるが(Ash, Patricia; Robinson, David (2010). The emergence of humans: an exploration of the evolutionary timeline. Hoboken, NJ: Wiley. §10.4.1. ISBN 978-0-470-01313-7)、ジェニー以前にチンパンジーの受け入れ事例がある。
- ^ a b 伊東剛史「VI 観察――ダーウィンと象の涙」『痛みと感情のイギリス史』伊東剛史・後藤はる美編、東京外国語大学出版会、2017年、220ページ。ISBN 978-4-904575-59-8。