シンハリ石
シンハリ石 | |
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水流により角が削れた淡褐色のシンハリ石。 | |
化学式 | MgAlBO4[1] |
結晶系 | 斜方晶系 |
晶癖 | Grains, rolled pebbles, irregular masses. Rarely euhedral crystals. |
へき開 | 無し |
断口 | Conchoidal |
モース硬度 | 6+1⁄2-7 |
色 | 白、灰色、灰青色、淡褐色、黄、黄色がかった褐色、緑がかった褐色、緑、褐色がかった桃色、淡桃色 |
条痕 | 白 |
透明度 | 透明から半透明 |
比重 | 3.46 から 3.50 |
密度 | 3.475 から 3.5 |
光学性 | 二軸性 (-) |
屈折率 | 1.665 から 1.712 |
複屈折 | 0.036 から 0.042 |
多色性 | Trichroism: green, light brown, dark brown |
光軸角 2V | 56 ° |
分散 | 0.018 |
蛍光 | 無し |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
シンハリ石(シンハリせき、英語: sinhalite)とは、ホウ酸塩鉱物の1種である。20世紀半ばまでは、組成が似た別な鉱物と混同されてきた歴史を有する。宝石としては無価値なシンハリ石も産出してきたものの、見栄えのする良質な石は、宝石として扱われ得る。
性質
[編集]シンハリ石の組成は、MgAlBO4である[1]。ただし、Mg(Al,Fe)BO4と、 アルミニウムの一部が鉄に置換される場合も有る [2] 。 色調は、淡い黄色を帯びた褐色や、濃い緑色を帯びた褐色などが産出してきた [3] 。 ただし、シンハリ石は多色性を顕著に示す石であり、同じ石であっても、見る角度により、例えば、淡褐色、緑色を帯びた褐色、濃褐色と、ヒトの視覚では異なる色に見える [3] 。 もちろん、シンハリ石が含有する不純物の違いにより、その他の色の石も産出してきた。また、見栄えがせずに、宝石として扱われないシンハリ石も産出してきた。
歴史
[編集]シンハリ石は、1952年にスリランカで初めて発見されたため、サンスクリット語でスリランカを意味する「シンハラ」の石と命名された[4]。それまでシンハリ石は、褐色の橄欖石だと勘違いされていたが、実は新鉱物だったと1952年に判明した [3] [注釈 1] 。
所在
[編集]宝石としても扱われる良質なシンハリ石は、ほとんどがスリランカの宝石砂礫層の中から水流によって摩耗した礫の形で産出してきた [3] 。 宝石足り得ない質のシンハリ石は、アメリカ合衆国などでも産出してきた [3] 。 一方で宝石としても扱われる良質なシンハリ石は、スリランカ以外ではミャンマー、マダガスカル、タンザニアなどでも産出した。これらの産地の中で、シンハリ石において一般的な色ではない桃色を帯びたシンハリ石は、タンザニアで産出した。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 橄欖石とシンハリ石は、大雑把に性質を言えば、モース硬度も6+1⁄2程度と同じくらいで、屈折率もだいたい1.6から1.7程度と同じくらいで、比重も3.4前後と同じくらいである。また、結晶構造も同じ、斜方晶系である。挙句の果てに、本文で説明した通り、シンハリ石の組成にはアルミニウム以外に鉄も入る場合も有るわけだが、そうするとシンハリ石の主な組成は、マグネシウムとアルミニウムと鉄のホウ酸塩と説明できる。一方で、橄欖石の主な組成は、マグネシウムと鉄のケイ酸塩である。このように、シンハリ石と橄欖石は、似た鉱物である。
出典
[編集]- ^ a b “Sinhalite”. Mindat.org. 21 March 2019閲覧。
- ^ Cally Hall著、砂川 一郎(日本語版監修)『宝石の写真図鑑』 p.153 日本ヴォーグ社 1996年3月1日発行 ISBN 4-529-02691-4
- ^ a b c d e Cally Hall著、砂川 一郎(日本語版監修)『宝石の写真図鑑』 p.114 日本ヴォーグ社 1996年3月1日発行 ISBN 4-529-02691-4
- ^ “Sinhalite gemstone information”. Gemdat.org. 21 March 2019閲覧。