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シンタグマ (言語学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

言語学におけるシンタグマsyntagma: σύνταγμα、横の関係)とは、具体的な表現において一体となる、言語要素のまとまりである。対になる概念は、パラディグマ英語版paradigms、パラダイム、縦の関係)である。ギリシア語で「統合」や「構造」などを意味する「σύνταγμα」に由来する概念である。

シンタグマとパラディグマ

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言語学にシンタグマという用語を導入したのはフェルディナン・ド・ソシュールであり、現前する発話を構成する要素の連なりを意味していた[1]。これらの諸要素は、全体を分節化(セグメント化)、つまり切り分けることで得られるものであり、aus Lauten, Wörtern, Wortgruppen, Teilsätzen oder ganzen Sätzen bestehen(→発音、単語、語句、文節、あるいは文)を要素として扱うことができる[2][3]。原則的に、諸要素の統語論的、つまりシンタクティックな一体性は重要とされる[4]。なお、あるシンタグマを成す諸要素は通常、間を空けずに連なっているが、これは必須のことではない[3][4]

言語には線的な性格があるため、ひとつひとつの要素の「水平的」な軸に沿った連鎖は、より複雑な単位を構成でき、例えば、文字の連鎖は単語を作り、単語の連鎖は語句や文節を作って、それらがまとまると文になる。

ロラン・バルトは、1965年フランス語で発表した『Éléments de sémiologie英語版wikidata』において、このような結びつきを言語学の中心に置き、パラディグマとシンタグマが言語の構造パターンを形づくると述べた[5]。シンタグマにおいて、諸要素は結合され、パラディグマにおいては垂直的に比較される[5]

シンタグマにおいて一体化される言語の諸要素は、互いにシンタグマティック、つまり統合関係にある。あるシンタグマにおける特定の要素に代えて、置き換えることができる別の要素があるとき、これらの要素はパラディグマティック、つまり連合関係にある。シンタグマとパラディグマの関係は、「水平」なシンタグマ、「垂直」なパラディグマという図式で説明することができる。日本語では、これを「横の関係」、「縦の関係」と呼ぶこともある[6][7]

統合関係と連合関係は、そこに含意された意味を考慮することで、言い換えれば意味論的関係を導入することで見極めることができる。

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私は 毎回 出席する。 ← 横の関係=統合関係=シンタグマティックな関係
彼女は ときどき 欠席する。
鈴木君は しばしば 早退する。
縦の関係=連合関係=パラディグマティックな関係

脚注

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  1. ^ Kjørup, Søren (2009) (ドイツ語). Semiotik. Uni-Taschenbücher. Paderborn: W. Fink. p. 24. doi:10.1515/9783110156614.2. ISBN 9783825230395. OCLC 639162740 
  2. ^ Bußmann, Hadumod, ed (2002) (ドイツ語). Lexikon der Sprachwissenschaft (3., aktualisierte und erweiterte Auflage ed.). Stuttgart: Kröner. ISBN 9783520452030. NCID BA59606665. OCLC 52379933. "Syntagma" 
  3. ^ a b Bogdal, Klaus-Michael; Kauffmann, Kai; Mein, Georg; Schumacher, Meinolf; Volmert, Johannes (2008) (ドイツ語). Ba-Studium Germanistik : ein Lehrbuch. Rowohlts Enzyklopädie. Reinbek bei Hamburg: Rowohlt. p. 41. ISBN 9783499556821. NCID BB06789043. OCLC 244049383. "der nur von „Worten“ spricht" 
  4. ^ a b Kessel, Katja; Reimann, Sandra (c2005) (ドイツ語). Basiswissen Deutsche Gegenwartssprache. Uni-Taschenbücher. Tübingen: Fink. p. 29. ISBN 3825227049. NCID BA74708762. OCLC 560341202. "z. B." 
  5. ^ a b Kocsány, Piroska (c2010) (ドイツ語). Grundkurs Linguistik: ein Arbeitsbuch für Anfänger. Uni-Taschenbücher. Paderborn: Fink. p. 92. ISBN 9783825284343. NCID BB03586254. OCLC 588111281 
  6. ^ 髙橋 龍之介 (2023年8月26日). “平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題2解説”. 毎日のんびり日本語教師. 毎日のんびり日本語教師. 2023年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月28日閲覧。 “これが縦に並んでいるように見えるので、縦の関係とも呼ばれたりします。”
  7. ^ Tak: “言語記号の特徴8〜統合関係と連合関係〜” (2022年11月10日). 2023年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月23日閲覧。 “この要素と要素が横につながっている関係が統合関係です。横の関係とも言われます。 統合関係を横の関係と言うなら、連合関係は縦の関係と呼べます。”

参考文献

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外部リンク

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