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シロヒレタビラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タビラ > シロヒレタビラ
シロヒレタビラ
婚姻色を呈するシロヒレタビラのオス(三重県)
保全状況評価
絶滅危惧IB類環境省レッドリスト
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 骨鰾上目 Ostariophysi
: コイ目 Cypriniformes
上科 : コイ上科 Cyprinoidea
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : タナゴ亜科 Acheilognathinae
: タナゴ属 Acheilognathus
: A. tabira
亜種 : シロヒレタビラ A. t. tabira
学名
Acheilognathus tabira tabira
Jordan and Tompson, 1914
和名
シロヒレタビラ

シロヒレタビラ(白鰭田平、Acheilognathus tabira tabira)は、コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属に属する淡水魚で、タビラの基亜種である。種小名と亜種名は、日本語でタナゴを意味する「タビラ」に由来する[1]

形態

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  • 全長は約10cm[1]
  • 背鰭の不分岐軟条が3本、分岐軟条9-11本、臀鰭の不分岐軟条が3本、分岐軟条が8-10本である。
  • 側線鱗数は34-39枚、側線上方横列鱗数は6枚、側線下方横列鱗数は4〜5枚である。[2]
  • 鰓蓋の上方に明瞭な暗色班がある。
  • ミナミアカヒレタビラセボシタビラと異なり、稚魚期の背鰭に黒班は出現しない。
  • 日本に生息するタビラ5亜種の中では体高が高い場合が多い[3]
  • 琵琶湖産の本亜種の鰭は黄色みを帯び、婚姻色は派手な発色はしない[2]

繁殖期のオスは、腹鰭と臀鰭の基部は黒く、外縁は白くなり、体色は著しく寒色系で統一されている。[2]

よく似た種

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婚姻色が出ていない時期は、同所に生息するヤリタナゴとよく似る。 両種は外見上酷似しているが、

  • ヒゲの長さは、本亜種はヤリタナゴより短い。
  • 本亜種は肩部に明瞭な暗色班がある。
  • 体側に腹鰭の基部程まで青い縦帯がある。
  • 背鰭の鰭膜には、本亜種は黒斑が並んでいない。

といった相違点がある。[1]

生態

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雑食だが、植物食の傾向が強く、付着藻類を主に[3]イトミミズなどを食べる。

水深70cm以深[2]水草や岩などの障害物が多い場所に生息し[3]琵琶湖では水深30-40mまで観察されている[3]。底層を好むタビラ5亜種の中で最も深い場所を好む[2]

主に湖沼や河川などに生息し、ミナミアカヒレタビラキタノアカヒレタビラと異なり、閉鎖的な溜池では再生産をすることが出来ない。

他のタビラ5亜種よりもオスは単独での傾向を好み、成長と共にオスは群れを作らなくなる。

産卵は4-9月頃[3]に1-2回[2]行う。鶏卵形の卵を1-10数個程、イシガイタテボシガイオトコタテボシガイマツカサガイヨコハマシジラガイなど流水性の淡水二枚貝に産むが、産地により好む産卵母貝が異なり、三重県櫛田川付近ではオバエボシガイ、岡山県旭川付近ではカタハガイを利用する[3]。繁殖期のオスは気性が荒く、広い縄張りを主張する[3]

受精後2日程で孵化し、約1ヶ月で8mm程に成長し、産卵母貝から出て行く[3]。1年で4-5cm、2年で6-8cmに成長し、成熟する[3]

分布

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大きく、瀬戸内海集水域と伊勢湾集水域の遺伝的に2系統分けられる。

濃尾平野、琵琶湖・淀川水系と岡山県高梁川水系以東の山陽地方、徳島県に分布する[4]。人為移入による青森県、島根県にも分布する[4]

本亜種は伊勢湾集水域において、三重県櫛田川水系を除き、木曽川水系(愛知県、岐阜県)では在来の系統がほとんど確認できず、琵琶湖産の移植個体により置き換わってしまったとされる。

脚注

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  1. ^ a b c 佐土・松沢(2011) 18頁.
  2. ^ a b c d e f 赤井ほか(2009) 48頁.
  3. ^ a b c d e f g h i 佐土・松沢(2011) 19頁.
  4. ^ a b シロヒレタビラ 侵入生物DB”. 国立環境研究所. 2022年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月18日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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関連項目

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