ショク川
ショク川(ショクがわ、Shyok River、ウルドゥー語: دریائے شیوک)は、インドのラダック北部や、パキスタンのギルギット・バルティスタン州ガンチェ県を貫流する、全長およそ550 km (340 mi)の河川。この川の名の、ウイグル語ヤルカンド方言における文字通りの意味は「死の川」である。
この川の名称のローマ字表記には揺れがあり、「Shoyok」とされることもある。日本語では、シュヨク川[1]、ショック川[2]、シヨック川[3]などの表記が用いられることもある。
概要
[編集]ショク川はインダス川の支流のひとつであり、シアチェン氷河の一部を成すリモ氷河に発している。ヌブラ川と合流してからは、川幅が広くなる。ショク川の流れる経路は極めて珍しいもので、リモ氷河に発した流れは最初南東に向かうが、パンゴン山脈にぶつかると北西に向きを変えて、それまでの上流部の流れと並行するように逆向きに流れている。広い河谷を流れて来たシャク川は、チャルンカを過ぎると狭い峡谷に入り、トゥルトゥクを貫流し[4]、ティアクシ (Tyakshi) を通って、パキスタン側に入る。シャク川は、スカルドゥの町の東にあるケリス (Keris) で、インダス川に注ぐ[5][6]。
シアチェン氷河に発するヌブラ川は、ショク川と似た流れ方をする。ティルキット (Tirkit) までは南東に向かって流れるヌブラ川は、ショク川に近づくと北西に向きを変える。これら二つの重要な河川の経路が似ているということは、おそらくこの近辺で北西-南東方向に何本もの一連の古い断層が走っており、上流部の流れを限られた範囲に封じているものと思われる。インダス川とショク川は、分厚い第四紀の堆積層をもっており、地質学研究者にとっては貴重な研究材料の宝庫となっている。
ショク河谷
[編集]ショク河谷 (the Shyok Valley) は、ラダックに位置するショク川の河谷である。この河谷は、ヌブラ河谷にも近い。
レー北方に位置するラダック山脈を越える峠であるカルドゥン・ラは、ショク河谷やヌブラ河谷への入口にあたる。ヌブラ河谷を遡っていくと、やがてシアチェン氷河に達する。
脚注
[編集]- ^ 大谷具幸、小嶋智、今枝久典、永広昌之、板谷徹丸・N.X. Thanh・T. Ahmad「インド北部・カラコルム断層に発達するマイロナイトの形成過程」『日本地質学会学術大会講演要旨』2007(0)、2007年、432頁。 NAID 130004594501
- ^ Mayumi (2016年8月18日). “世界の最果て!天空のオアシス「ヌブラ渓谷」”. Wanderlust Inc.. 2018年11月28日閲覧。
- ^ 風神 (2017年7月7日). “ヒマラヤ西端の地を行く 3カプルー渓谷へ、カプルーパレス”. forTravel, Inc.. 2018年11月28日閲覧。
- ^ “Turtuk, the village on the India-Pak border, is where the clichés stop and fantasies begin”. 2018年11月27日閲覧。
- ^ Aerial view of river junction
- ^ Bennett-Jones, Owen; Brown, Lindsay; Mock, John (2004-09-01). Pakistan and the Karakoram Highway. Lonely Planet Regional Guides (6th Revised ed.). Lonely Planet Publications. p. 306. ISBN 978-0-86442-709-0 2009年8月26日閲覧。
参考文献
[編集]- Sharad Singh Negi: Himalayan Rivers, Lakes, and Glaciers. Indus Publishing 1991, ISBN 81-85182-61-2
- H. N. Kaul: Rediscovery of Ladakh. Indus Publishing 1998, ISBN 81-7387-086-1, p. 30-31 (restricted online version (Google Books))