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シャンム・ナシーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シャンム・ナシーム
正式名称 شم النسيم
挙行者 エジプト、コプト正教会
種類 文化、季節、農業
日付 東方教会の復活祭の翌日
行事
関連祝日 復活祭
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シャンム・ナシーム (アラビア語エジプト方言: شم النسيم‎、シャンム・ナスィームシャム・エルネシーム[1]シャンム・エルネシーム[2]シャム・エンニシームなどと表記することもある) は春の始まりを祝うエジプトの休日である。エジプト最大のキリスト教の宗派であるコプト正教会にあわせて、東方教会復活祭の翌日にあたる日に祝われる。このため、移動祝祭日である。「そよ風を嗅ぐ」ことを意味する祭りであるので、「エジプトの春風祭[3]」「春香祭[1]」などとも言われる。キリスト教徒以外も祝う祭りで、「エジプト人全体の国民的祭日[4]」と見なされている。

内容

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キリスト教に関連する日であるが、この祝日は宗教を問わずエジプト人が祝う[5]ムスリムの住民の間でも、この日を祝うことはシャリーアに反するとは見なされていない[6]

この日には野原や公園などでピクニックをする習慣があり、エジプトの公園はこの祭りを祝う人々でいっぱいになる[7][8]ボラなどの魚を塩漬けにして発酵させたフィシーフや塩漬けニシンの燻製であるリンガなどを食べる習慣がある[2][9]。フィシーフは非常に独特のにおいを発する食品で、シャム・エンニシームの日には街中がフィシーフのにおいになるという[10]イースターエッグのように卵に色を付けて装飾したり、卵を食べたりする習慣もある[9][7]レタス玉ねぎなどもよく食べられる[11]

フィシーフなどを食すため、食中毒が頻発する[9]。自宅で作ったフィシーフを食し、死亡する事例もあるという[1]。このためエジプトの医療機関はシャンム・ナシームの時期には国民に注意を呼びかけている[1]。2018年には2134台の救急車が食中毒その他の健康被害に備えて配備された[12]

来歴

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この種の春祭りはキリスト教が生まれるはるか前、紀元前2700年頃から存在していると考えられている[11][13]。紀元1世紀にプルタルコスが残した記録によると、古代エジプト人はシェムと呼ばれる春の収穫祭には神々に塩漬けの魚、レタス玉ねぎなどを供えていた[5]。古代エジプト人は春祭りの時期をギザの大ピラミッドと太陽の位置を用いて決定していたという[7]。卵などを食す習慣も既にこの時期から存在していたと考えられる[7]

エジプトにキリスト教が導入された後、この祭日はキリスト教の春祭りである復活祭と融合した。シェムが復活祭の翌日に祝われるようになり、エジプトがイスラーム化されるまでにはイースターマンデーに行われる祭りとなっていた。ヒジュラ暦太陰暦であり、太陽暦とは合わないため、シャンム・ナシームはキリスト教の暦にあわせて決められていた。「シャンム・ナシーム」とはコプト語由来の名称で、「そよ風を嗅ぐ」という意味である[7]

日付

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  • 2012年…4月16日
  • 2013年…5月6日
  • 2014年…4月21日
  • 2015年…4月13日
  • 2016年…5月2日
  • 2017年…4月17日
  • 2018年…4月9日
  • 2019年…4月29日

脚注

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  1. ^ a b c d “<Life around the World> 食べ笑い、外で団欒”. 東京新聞. (2018年4月21日). オリジナルの2019年4月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190429034041/https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:LVk3qd6xdRoJ:https://web.archive.org/web/20180421061436/https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201804/CK2018042102000174.html+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp 
  2. ^ a b カイロスタイル”. 日本貿易振興機構. p. 37. 2019年4月29日閲覧。
  3. ^ 黒田日出男他編『歴史学事典: かたちとしるし』弘文社、1995年、233頁。 
  4. ^ 『「こよみ」と「くらし」―第3世界の労働リズム』アジア経済研究所、1987年、147頁。 
  5. ^ a b Al Ahram Weekly Archived 2010-10-10 at the Wayback Machine.
  6. ^ Easter Day celebration does not contradict Islamic Sharia: Dar al-Iftaa” (英語). Egypt Independent (2019年4月25日). 2019年4月28日閲覧。
  7. ^ a b c d e A very ancient Egyptian Easter: Sham El-Nessim - Street Smart - Folk - Ahram Online”. english.ahram.org.eg. 2019年4月28日閲覧。
  8. ^ PHOTOS: Egypt's oldest parks - Photo Heritage - Folk - Ahram Online”. english.ahram.org.eg. 2019年4月28日閲覧。
  9. ^ a b c ‘Renga cake’, latest Egyptian invention ahead of Sham El-Nessim”. EgyptToday. 2019年4月28日閲覧。
  10. ^ Breathe in the Spring Breeze: Egyptians mark Sham el-Nessim” (英語). english.alarabiya.net. 2019年4月28日閲覧。
  11. ^ a b Killgrove, Kristina. “The Curious History Of Easter Eggs From Birth To Burial” (英語). Forbes. 2019年4月28日閲覧。
  12. ^ Al-Masry Al-Youm (2018年4月8日). “Health Ministry deploys 2134 ambulances for Sham el-Nessim celebrations” (英語). Egypt Independent. 2019年4月28日閲覧。
  13. ^ National parks, gardens prepared ahead of Sham el-Nessim celebrations”. EgyptToday. 2019年4月28日閲覧。