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シャルル・ルヌーヴィエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シャルル・ルヌーヴィエ
生誕 (1815-01-01) 1815年1月1日
モンペリエ
死没 1903年9月1日(1903-09-01)(88歳没)
ピレネー=オリアンタル県プラード[1]
時代 19世紀哲学
地域 西洋哲学
学派 大陸哲学
研究分野 形而上学
主な概念 新批判主義
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シャルル・ベルナール・ルヌーヴィエ(Charles Bernard Renouvier, 1815年1月1日 - 1903年9月1日)は、フランス哲学者ルヌヴィエとも表記。

略歴

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シャルル・ルヌーヴィエはモンペリエに生まれた。出身校はパリエコール・ポリテクニークで、当初は政治学に興味を持っていた。生涯一度も公職につかず、喧騒から離れて執筆に力を注いだ。

思想

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ルヌーヴィエはフランス人としてはニコラ・マルブランシュ英語版以来となる観念論哲学体系の構築者であり、以後のフランス哲学に多大なる影響をもたらした。彼の体系はイマヌエル・カント哲学に基礎を置いていたが、それは「新批判主義」 (néo-criticisme) を自称していたことからもうかがえる。だが、その思想はカント主義の単なる継承ではなく、独自の変貌を遂げたものであった。

ルヌーヴィエの哲学には大きな特徴が二つある。一つはあらゆる種類の「不可知なるもの」に対する嫌悪、そしてもう一つは個人的経験の妥当性に対する信頼である。前者の意味は、ルヌーヴィエがカントの現象主義を受け入れつつも、「物自体」を想定することを拒否した、ということである。また、一方で実体的な、あるいは仏教的な絶対者、無限の霊的実体の存在に反対しつつも、他方で自然主義一元論が非神秘的な物体や動的な基体によって世界を説明することにも彼は反対していた。彼によれば、現象以外の何ものも存在しないが、現象は単に感覚的であるだけでなく、主観的側面と同じ程度に客観的な側面も持ち合わせているという。人間の経験が備えている形式的な組成を説明するために、ルヌヴィエはカントのカテゴリーを修正して自らの理論に取り入れた。

個人的経験の妥当性を主張したルヌヴィエは、意志作用をどう位置づけるかに関して、さらに重要な点でカントと袂を分かつことになった。彼によると、自由とは、カントが考えたよりも遥かに広い意味において、人間の根源的な特性である。人間の自由は、仮想的な英知界においてではなく、現象界において行使されるものだとされる。信念は知性的なだけでなく、何が道徳的に良いかを肯定する我々の意志の作用によって規定されるものなのである。

宗教について、ルヌーヴィエはゴットフリート・ライプニッツとかなり近似する思想を持っていた。彼によれば、人間の不死性を肯定すること、そして人間の魂を統べる、専制君主ならぬ立憲君主たる有限な神の存在を肯定することは、ともに合理的に正当化される。しかしながら、彼は無限の神を信じるくらいならば無神論の方が好ましいと考えていた。

ルヌーヴィエの不可知なるものへの嫌悪は、実無限という観念への反感にもつながっている。無限の和とは不完全な名であるはずだと彼は考えたのである。というのも、「1、2、3、…」と数を数え始めた人が、どこかで「無限!」と声を上げることが許される時点など決して来ないからだ。新批判主義的な観点から言えば、無限とはプロジェクトのことであって、決して事実なのではない。

ルヌーヴィエはアメリカ合衆国心理学者・哲学者のウィリアム・ジェームズの思想に重要な影響を与えた。ジェームズは次のように書いている。「1870年代に彼[=ルヌーヴィエ]による多元論の見事な擁護を読んで決定的な印象を受けていなければ、私は自らが共に育ってきた一元論的な迷信から自由になることなどできていなかっただろう」。

著作

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  • Essais de critique générale (1854–64)
  • Science de la morale[2] (1869)
  • Uchronie (1876)
  • Comment je suis arrivé à cette conclusion (1885)
  • Esquisse d'une classification systématique des doctrines philosophiques (1885–86)
  • Philosophie analytique de l'histoire (1896–97)
  • Histoire et solution des problèmes métaphysiques (1901)
  • Victor Hugo: Le Poète (1893)
  • Victor Hugo: Le Philosophe (1900)
  • Les Dilemmes de la métaphysique pure[2] (1901)
  • Le Personnalisme (1903)
  • Critique de la doctrine de Kant[2] (1906)

脚注

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参考文献

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  • Emmanuel Carrère: Le Détroit de Behring. P.O.L., Paris 1986.
  • Paul K. Alkon: Origins of Futuristic Fiction. University of Georgia Press, 1987.
  • Bernard J. Looks: How I Arrived At This Conclusion: A Philosophical Memoir. Translation to English of Renouvier's Comment je suis arrivé à cette conclusion. YBK Publishers, 2011.
  • 合田正人『思想史の名脇役たち 知られざる知識人群像』河出ブックス、2014年
  • 川口茂雄「IV 十九世紀フランス哲学の潮流」、伊藤邦武編『哲学の歴史 第8巻』中央公論新社、2007年

外部リンク

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