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シャピロの不等式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学におけるシャピロの不等式(シャピロのふとうしき、: Shapiro inequality)、またはシャピロの巡回不等式とは、ハロルド・S・シャピロ英語版によって1954年に提案された不等式である。

内容

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自然数 を非負の実数で、

であるとする。ただし、 とする。このとき、

  • 以下の偶数
  • 以下の奇数

のいずれかであれば、次の不等式が成り立つ。

より大きな に対しては不等式は成り立たないが、厳密な下限 が存在する。ここで

重要なケース の最初の証明は Godunova と Levin によって1976年に、もう一方の の最初の証明は Troesch によって1989年に、それぞれ数値計算に依った方法で与えられた。2002年、P.J. Bushell と J.B. McLeod は のときの解析的な証明を発表した。

の値は1971年にウラジーミル・ドリンフェルト(1990年のフィールズ賞受賞者)によって求められた。特に、ドリンフェルトは下限となる で与えられることを示した。ここで は関数 の関数的凸包である。(つまり、 のグラフの上側の部分は、 のグラフの上側部分の合併の凸包になっている)。

左辺の、内部での極小値は常に となることが1968年 Pedro Nowosad により証明された。

より大きな n に対する反例

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最初の反例は、Lighthill によって1956年に発見された、 に対するものである:

(ここで は 0 に極めて近いとする。)

このとき不等式の左辺は となり、 が十分小さければ 10 より小さくなる。

次の反例は に対するもので、1985年 Troesch により与えられた:

また、 に対して次の反例がある:

n が小さなときの証明

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より自明である。
この場合をネスビットの不等式といい、様々な証明が知られている。
正の数 a に対して、相加平均と相乗平均の不等式から、
よって、 とおくと
ゆえに
正の数 a, b に対して、相加平均と調和平均の不等式から、
また、正の数 a, b, c, d に対して、相加平均と相乗平均の不等式から、
ここで とおくと
ゆえに

参考文献

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  • Fink, A.M. (1998). “Shapiro's inequality”. In Gradimir V. Milovanović, G. V.. Recent progress in inequalities. Dedicated to Prof. Dragoslav S. Mitrinović. Mathematics and its Applications (Dordrecht). 430. Dordrecht: Kluwer Academic Publishers.. pp. 241–248. ISBN 0-7923-4845-1. Zbl 0895.26001 
  • Bushell, P.J.; McLeod, J.B. (2002). “Shapiro's cyclic inequality for even n”. J. Inequal. Appl. 7 (3): 331–348. ISSN 1029-242X. Zbl 1018.26010. ftp://ftp.sam.math.ethz.ch/EMIS/journals/HOA/JIA/40a3.pdf.  They give an analytic proof of the formula for even , from which the result for all follows. They state as an open problem.

外部リンク

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