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サンパウロ・トロリーバス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
左写真:SPトランスのトロリーバス(2012年撮影) 右写真:EMTUのトロリーバス(2017年撮影) 左写真:SPトランスのトロリーバス(2012年撮影) 右写真:EMTUのトロリーバス(2017年撮影)
左写真:SPトランスのトロリーバス(2012年撮影)
右写真:EMTUのトロリーバス(2017年撮影)

この項目では、ブラジルの都市・サンパウロで運行するトロリーバスについて解説する。2024年現在、サンパウロには以下の2種類の事業者が所有するトロリーバス路線が存在しており、別個の運営が行われている[1][2][3]

SPトランス

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サンパウロ・トロリーバス
(SPトランス)
ノンステップ3軸トロリーバス(2014年撮影)
ノンステップ3軸トロリーバス(2014年撮影)
基本情報
ブラジルの旗 ブラジル
サンパウロ州の旗 サンパウロ州
所在地 サンパウロ
種類 トロリーバス[3]
路線網 10系統(2023年時点)[1]
開業 1949年[3][4]
運営者 SPトランスポルトガル語版[3]
路線諸元
路線距離 137 km[3][5]
電化区間 全区間[3]
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サンパウロに電気を動力とするバスであるトロリーバスを導入する動きは既に1939年の時点で存在していたが、第二次世界大戦による影響や当時の公共交通機関の運営企業の対立やトロリーバスへの関心の薄さもあり、本格的な導入の動きは公営企業であったサンパウロ市営交通公社ポルトガル語版(Companhia Municipal de Transportes Coletivos、CMTC)が設立された第二次世界大戦後となった。そして1949年4月22日、老朽化が進んだ路面電車を置き換える形で、ブラジル初のトロリーバス路線が営業運転を開始した[3][4]

近代的で騒音が少なく、排気ガスを出さないトロリーバスはサンパウロ市民から高く評価され、開業時に7.2 kmだった路線網は10年後の1959年には31.9 kmに拡大し、4つの系統が運行され、以降も順次路線網が拡大した。そしてこの成功を受け、ブラジル各地にトロリーバス路線の開通が盛んに行われた。車両についても、開業当時はアメリカ合衆国イギリスで生産された車両を輸入する形であったが、1950年代後半からはブラジルの国内企業がトロリーバス製造に携わるようになり、サンパウロにも多数の車両が導入された他、1960年代にはCMTCによる車両の生産も実施された[3][4][6]

だが、1970年代は新型車両の生産を始めとした近代化が行われず、老朽化が進んだ事から多くの路線が廃止されていった。この状況の打開に加え、石油危機によってトロリーバスの見直しが行われるようになった事を受け、1977年サンパウロ市やサンパウロ市交通局(Secretaria Municipal de Transporte、SMT)を主体とし、民間企業も参加したトロリーバスの開発・近代化プロジェクト「シストラン(Sistran)」が始動した。海外企業のトロリーバス車両を参考にした新型車両の開発、大規模な路線網の拡張、道路と分離した専用レーンの採用などの革新的な計画が進められたが、サンパウロ市議会の政権交代の影響もあり、専用レーンを始めとした計画の全ては実現しなかった。ただしトロリーバスの近代化は以降も進められ、1985年にはブラジル初の連接式トロリーバスが発注された他、その後も新型車両の導入が進められた[3][7]

1994年から1995年にかけて、それまでサンパウロ市内の公共交通機関を運営していたCMTCは民営化が行われ、サンパウロ市が全株を所有する「SPトランス」へと移管された。だが、その後同事業者が所有するトロリーバス路線は、ディーゼルバスと比較しての維持費用の高さ、柔軟性の低さなどを理由として2000年代に路線網の削減が相次いで行われ、廃止前(274 km)と比較して路線網は半分以上縮小した。ただし、残された路線については架線や変電所、整流器の改修工事が行われている他、車両についても2008年以降バリアフリーに適したノンステップバスの導入が実施され、近代化が進められている[1][3][7]

サンパウロ都市交通会社

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バス・ラピッド・トランジット(BRT)で使用される連節式トロリーバス(2017年撮影)

サンパウロ都市交通会社が所有するトロリーバス路線は、サンパウロ郊外と大サンパウロ都市圏を構成する都市を結ぶ系統である。これらは道路から分離された専用レーンを経由するバス・ラピッド・トランジット(BRT)でもあり、定時性や快適性が確保されているのが特徴である。2024年現在は民間企業の「ネクスト・モビリダード(Next Mobilidade)」が運営・維持管理を行っている[1][8][9]

1988年から2010年にかけて「サン・マテウス-ジャバクアラ都市間回廊(Corredor Metropolitano São Mateus - Jabaquara)」、もしくは「ABD都市間回廊(Corredor Metropolitano ABD)」とも呼ばれる系統が支線を含めて開通し、2011年までに全区間の電化が行われた。ただしそれ以降もトロリーバス車両が輸送量に比べて不足しているため、ディーゼルバスやハイブリッドバスも使用されている[8][10]

また、2024年時点では新たなバス・ラピッド・トランジットの系統として「BRT-ABC」の建設が進められており、2026年の営業運転開始以降は大型トロリーバス車両が運用に用いられる事になっている[11][12]

関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d Dirk Budach (2023年6月27日). “Electric BRT in São Paulo: Which model to choose?”. Urban Transport Magazine. 2024年8月17日閲覧。
  2. ^ Corredor Metropolitano ABD (São Mateus - Jabaquara)”. 2024年8月17日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Trólebus 74 anos: Um meio de transporte que é viável para os dias de hoje e para o futuro”. Diário do Transporte (2023年4月21日). 2024年8月17日閲覧。
  4. ^ a b c Jorge Françozo de Moraes 1996, p. 70.
  5. ^ Roney Domingos (2010年12月5日). “Eletropaulo transfere manutenção da rede de trólebus para SPTrans”. globo.com. 2024年8月17日閲覧。
  6. ^ Jorge Françozo de Moraes 1996, p. 71.
  7. ^ a b Jorge Françozo de Moraes 1996, p. 72.
  8. ^ a b Histórico”. 2024年8月17日閲覧。
  9. ^ Renato Lobo (2021年9月25日). “10 linhas da EMTU serão assumidas pela Next Mobilidade”. ViaTrolebus. 2024年8月17日閲覧。
  10. ^ Roberto Bartolomeu Berkes; Carlos Alberto Pinto Coecho; Caroline Claudino Lage (2013). “Trólebus no Corredor ABD História e evolução na ampliação da rede”. Brasil Engenharia 61: 110-113. http://www.brasilengenharia.com/portal/images/stories/revistas/edicao616/616_6trolebus.pdf 2024年8月17日閲覧。. 
  11. ^ BRT ABC”. 2024年8月17日閲覧。
  12. ^ Libor Hinčica (2024年8月5日). “92 nových trolejbusů o délce 21,49 m pro São Paulo”. Československý Dopravák. 2024年8月17日閲覧。
  13. ^ Linha 20 não será afetada com a remoção da rede de trólebus de Santos”. PLAMURB (2022年10月12日). 2024年8月17日閲覧。

参考資料

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外部リンク

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