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サブジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サブジ(Sabji, Sabzi, ヒンディー語: सब्ज़ी sabzī[1] ウルドゥー語: sabzī سبزی)は直訳すると「野菜」の単数形。日本で野菜料理のことを「お野菜」と言うのに似ている。サブジは日本固有の発音であり、現地の発音ではサブズィーまたはサブジーと語尾を伸ばす。北インド料理パキスタン料理の一種で、基本的に野菜だけの蒸し煮炒め煮のことである。これに肉や魚介類や玉子が入るとサブジ―ではなくなる。一方、乳製品には動物の殺生が伴っていないので、ホウレンソウカッテージチーズの料理はサブジーに分類されることがある。また、大粒のひよこ豆料理はダールではなくサブジーに分類されることもある。また、ジャックフルーツ果物だが、これもサブジーにされる。日本のカレーのように具を何種類も入れるのではなく、具は一つの料理に1~2種類のものが普通である。また、日本の調味料のような動物性食材やアルコール類を使ったもの(麺つゆコンソメ、鶏がらスープの素、ワイン料理酒など)を入れると、厳密な意味でのサブジーではなくなる。日本では副菜付け合わせのように扱われることがあるが、宗教上の理由から動物性食材を食べない人々にとっては、これが主菜となる。廃仏毀釈が行われる前の日本では仏教による食材の制限があったが、明治以降の日本では主菜であるカレーに肉や魚介類などの動物性食材が入っていて当たり前であるし、「インド料理カレー」だと思い込んでしまっている日本人は少なからずいるので、これは現代の一般的な日本人にとって理解しがたいことである。

蓋のある一つの鍋を使って、植物油で香辛料と香味野菜と塩と具を蒸し煮炒め煮にして作る料理である。日本ではカレーのじゃがいもをシチューのような大きさに切る傾向があるが、現地では小さめに切るので、下茹で電子レンジの使用はしない。塩と熱によって出た野菜の水分だけでできるので、素材が焦げるようなときを除いて基本的に水はほとんど加えない。現地の大衆食堂では、日本のカレーライスのように単品で注文するのではなく、2~3種類のサブジを汁物ダール)漬物アチャール)と共にそれぞれ小皿で注文し、別皿の主食と共にあれこれ食べて味の違いを楽しむのが普通である。料理名に「サブジー」を付けなくても、ただ野菜名を言うだけで現地の食堂では通じる。ベジタリアンの多いインドと共に、肉食が一般的なパキスタンでもキーマの付け合わせとしてよく食べられている。ネパールでもサブジと同じようなものがあるが、ネパール語ではそれをタルカリーと言い、これも直訳すると「野菜」。日本のインド・ネパール料理店では、「タルカリー」と銘打って肉類を混ぜているところもあるが、それはカレーに肉が入っていて当たり前の日本人に対する配慮であり、現地のタルカリーに肉類は一切入っていない。

主に使われるスパイスは調理に使用される順で、クミンシードコリアンダー(パウダー)、唐辛子(パウダー)またはパプリカ(パウダー)、ターメリック(パウダー)、仕上げにガラムマサラ

主なサブジ料理(ヒンディー語ウルドゥー語の日本語読み:大体の発音)

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  • オクラのサブジ(ビンディー:bhindee)
  • じゃがいものサブジ(アル―:aaloo)
  • キャベツのサブジ(パッタゴビー:patta gobhee)
  • カリフラワーのサブジ(ゴビー:gobhee)
  • じゃがいもとカリフラワーのサブジ(アルーゴビー:aaloo gobhee)
  • じゃがいもとグリーンピースのサブジ(アルーマタル:aaloo matar)
  • じゃがいもと玉ねぎのサブジ(アルーピヤーズ:aaloo pyaaj)
  • ナスのサブジ(バインガン:baingan)
  • じゃがいもとナスのサブジ(アルーバインガン:aaloo baingan)
  • ナスときのこのサブジ(バインガンマッシュルーム:baingan masharoom)
  • かぼちゃのサブジ(カッドゥー:kaddoo)
  • ズッキーニのサブジ(トゥリー:toree)
  • ピーマンのサブジ(ハリーミルチ:haree mirch)
  • ひよこ豆のサブジ(チャナー:chana)
  • ゴーヤーのサブジ(カレラ:karela)
  • ジャックフルーツのサブジ(カタハル:katahal)
  • ホウレンソウのサブジ(パラク:paalak)
  • ホウレンソウとナスのサブジ(パラクバインガン:paalak baingan)
  • ホウレンソウとカッテージチーズのサブジ(パラクパニール:paalak paneer)

脚注

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  1. ^ ペルシア語: سبزی‎「ハーブ」の借用