サイレンス (1998年の映画)
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サイレンス | |
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سکوت | |
監督 | モフセン・マフマルバフ |
脚本 | モフセン・マフマルバフ |
製作 | モフセン・マフマルバフ |
製作総指揮 | モハマド・アーマディ |
出演者 |
タハミネー・ノルマトワ ナデレー・アブデラーイェワ |
音楽 | モハメッド・レザダルヴィッシ |
撮影 | エブライム・ガフリ |
編集 | モフセン・マフマルバフ |
配給 | ニューセレクト、アルバトロス・フィルム |
公開 |
1998年9月9日 2000年12月2日 |
上映時間 | 76分 |
製作国 |
イラン フランス タジキスタン |
言語 |
ペルシア語 タジク語 ロシア語 |
『サイレンス』(ペルシア語: سکوت sokūt、タジク語: Сукут、フランス語: Le Silence)は1998年のイラン・フランス・タジキスタン共同制作の映画[1]。監督・製作・脚本はモフセン・マフマルバフ。1998年ヴェネツィア映画祭上院議員金メダル賞受賞。
あらすじ
[編集]盲目の少年コルシッドは、戦争でロシアに行った父親を待ちながら、母親と暮らしている。コルシッドは楽器の調律師として働いていたが、ある日、大家から家賃を払わなければ家から追い出すと言われてしまい、母親は親方から金を借りるように彼に頼む。しかしコルシッドは金を借りるどころか、職場への途中で聴いた音や音楽につられて迷子になり、たびたび遅刻してしまったため、仕事を解雇され、結局家も追い出されてしまう。経済的に全てを失ったコルシッドであったが、最後に彼は一つの音楽に目覚める。
キャスト
[編集]- コルシッド:タハミネー・ノルマトワ
- ナデレー:ナデレー・アブデラーイェワ
- コルシッドの母:ゴルビビ・ジアドラーイェワ
- 親方:ハケム・ガッセム
エピソード
[編集]- イランでの検閲が厳しかったため、タジキスタンで撮影が行われた。そのため台詞はほとんどタジク語(ペルシア語と実質的に同一言語)だが、母親と釣り人の会話のシーンはロシア語である。
- 主人公を演じているのは少年ではなく、少女である。監督に物乞いをしてきたほど貧しかったため、出演料がもらえないことを恐れて、撮影が終了するまで隠していた。
- 映画の中で引用されている詩はオマル・ハイヤームの『ルバーイヤート』の詩である[2]。また、ナデレーが耳にさくらんぼをイヤリングにし、花びらをマニキュアにして踊るシーンはフォルーグ・ファッロフザードの「新たなる生」の一節からヒントを得たものである[3]。
- 日本語の字幕は重訳のためか、人名の表記に問題が多い。例えば主人公の少年の名は、ペルシア語ではホルシード(خورشید 「太陽」という意味)、タジク語ではフルシェ(ー)ド(Хуршед)に近い発音である。
脚注
[編集]- ^ このページの作成には、マフマルバフ監督の公式サイトで公開されている日本語版のフライヤーとパンフレットを参考にした。(外部リンクの項を参照)
- ^ オマル・ハイヤーム、黒柳恒男訳注『ルバーイヤート』(大学書林)136番 (pp. 136-7)
小川亮作訳(岩波文庫)や岡田恵美子訳(平凡社ライブラリー)等には収録されていない模様。 - ^ 日本語版パンフレットのインタビューで「ファウロー」となっているのはフォルーグのことであると思われる。
岡田恵美子、北原圭一、鈴木珠里編著『イランを知るための65章』(明石書房)、鈴木珠里「映像になった言葉たち」p.130
「新たなる生」の全訳は、鈴木珠里、前田君江、中村菜穂、ファルズィン・ファルド編訳『現代イラン詩集』(土曜美術社出版販売)、フォルーグ・ファッロフザード、鈴木珠里訳「あらたなる生」pp.75-78